◎現地メディアによると、国内の集中治療室(ICU)はフル稼働し、ほぼ全ての人工呼吸器は使用中で、医療用酸素は不足し、死亡者が急増した影響で火葬場は24時間フル稼働しているという。
2021年4月26日/インド、首都ニューデリーの火葬場(ロイター通信)

インドの現地メディアによると、コロナウイルスの巨大な第二波に直面している首都ニューデリーの医師たちは、患者を生かすために友人や知人から酸素ボンベを借りているという。

ニューデリーの心臓専門医はソーシャルメディアで現場の窮状を訴えた。「酸素が足りません。酸素を送ってください。患者たちは死にかけています。政府はニューデリーに酸素を集めてください...」

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、インドの4月25日の新規陽性者数は5日連続で世界記録を更新する352,991件、死亡者も同国の過去最高を更新する2,812人、新規症例の過去7日間の平均は32万件を超えたという。

<インドの新規陽性者と死亡者>
2月1日:8,635件/94人
2月8日:9,110件/78人
2月15日:9,121件/81人
2月22日:10,584件/78人
3月1日:12,286件/91人
3月8日:15,388件/77人
3月15日:24,492件/131人
3月22日:40,715件/199人
3月29日:56,211件/271人
4月1日:81,466件/469人
4月8日:131,968件/780人
4月15日:217,353件/1,185人
4月18日:273,802件/1,619人
4月20日:295,158件/2,023人
4月21日:314,644件/2,104人
4月22日:332,921件/2,263人
4月23日:346,786件/2,624人
4月24日:349,691件/2,767人
4月25日:352,991件/2,812人

現地メディアによると、国内の集中治療室(ICU)はフル稼働し、ほぼ全ての人工呼吸器は使用中で、医療用酸素は不足し、死亡者が急増した影響で火葬場は24時間フル稼働しているという。

専門家はAP通信の取材に対し、「1日の新規症例と死亡者を正確に把握することは不可能」と述べた。「州の医療・保健当局は疲れ果て機能不全に陥っています、火葬場に運び込まれる遺体の数と公式の死亡者数はほぼ一致しません...」

最前線で働く医師たちは患者を生かすための物資を独自のルートで入手しようとしているが、人手、時間、資金、すべてが不足しているという。

ニューデリーの心臓専門医、シン博士はAP通信の電話インタビューの中で、「26日にガスシリンダーを20個確保しました」と述べた。「しかし、20個ではまったく足りません。患者たちは苦しい、死にたくないと私に懇願します。どうか酸素を送ってください。工業用酸素でも構いません...」

2021年4月26日/インド、ジャンムーの火葬場(AP通信/Channi Anand)

米デューク大学、デューク・グローバルヘルス・イノベーションセンターのクリシュナ・ウダヤクマール博士はAP通信の取材に対し、「少なくとも今後数日間、酸素の供給状況は改善しないだろう」と述べた。「政府は総動員体制で働いていますが、感染者の急増はそれを完全に上回っています。インドの現状は悲劇であり、今後数週間から数カ月間、事態は改善せず悪化し続ける可能性が高いと思います」

ホワイトハウスは26日の声明で、医療用酸素、個人用保護具(PPP)、人工呼吸器、検査、医療などをインドに提供すると述べ、ジョー・バイデン大統領も25日にインドをサポートするとツイートした。「パンデミックの初期段階、アメリカはインドの支援を受けました。私たちはインドを全力で支援すると誓約します」

ドイツの保健省も人工呼吸器、モノクローナル抗体、レムデシビル、N95マスクを含む保護具をインドに送る準備を進めていると発表した。

インドの新規陽性者数は昨年9月頃からゆっくりと減少し始め、今年2月初めには10,000件を下回り、死亡者も100人以下まで減少した。ナレンドラ・モディ首相は1月、仮想世界経済フォーラムの中でコロナウイルスに勝利したと宣言し、「インドの成功は世界でも群を抜いている」と語った。

2月、与党インド人民党は、コロナウイルスに勝利したモディ首相を称賛する決議案を可決した。

3月、インドの保健相は国民演説で、「パンデミックはまもなく終息する」と宣言し、国民を沸かせた。

しかし、ヒンドゥー教の聖なる祭りクンブメーラやその他の様々なイベントは二重変異種、三重変異種、未知の変異種などを生み出し、症例と死亡者数は3月末頃から爆発的な勢いで増加した。称賛されたモディ首相はクンブメーラを主導し、その結果、ウッタラーカンド州ハリドワールに集まった数百万人の信者はガンジス川で水を浴び、罪を清めた。

専門家と多くの市民は、クンブメーラやその他の様々なイベントが前例のない急増を引き起こしたと疑っている。

<インド政府の主な対応>
・軍のインフラ設備を民間人に解放した。
・退職した医療軍人を医療機関の支援に追加。
・工業用酸素を医療用に転用。
・新たな酸素生成プラントの設置計画を承認。新設数は500以上。
・2020年3月に改造された約4,000台のインド鉄道の長距離バスを、軽度から中等度の症状を持つCovid患者の治療支援に使用。
・国内のスポーツホール、スタジアム、アシュラムを応急医療センターに転用。

2021年4月24日/インド、首都ニューデリー、救急車で治療を受けるコロナ患者(ロイター通信)

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