◎インド政府の元チーフエコノミックアドバイザー、アルビンド・スブラマニアン氏と、グローバル開発センターおよびハーバード大学の研究者2人はレポートの中で、2020年1月から2021年6月までの間の過剰死亡者を300万~470万人と推定した。
2021年4月29日/インド、首都ニューデリー郊外の火葬場(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

7月20日、インドのコロナウイルス感染拡大における過剰死亡の調査レポートが公表され、同国の実際の累計死亡者数は400万人を超えている可能性があることが明らかになった。

超過死亡率は特定の集団の死亡率が一時的に増加し、本来想定される死亡率を超過した割合のことで、伝染病、パンデミック、飢饉、戦争などによって引き起こされる。

ほとんどの専門家はインドの公式死亡者数は過少報告されていると信じているが、政府はそれらの懸念は誤解と混乱を招くとして却下した。

インド政府の元チーフエコノミックアドバイザー、アルビンド・スブラマニアン氏と、グローバル開発センターおよびハーバード大学の研究者2人はレポートの中で、2020年1月から2021年6月までの間の過剰死亡者を300万~470万人と推定した。

スブラマニアン氏は、「正確な数字を特定することは困難だが、実際の死亡者数は公式数より桁違いに多い可能性が高い」と述べた。

レポートによると、期間中、コロナ患者に圧倒された医療機関は長期間病床使用率100%を維持したため、多くの患者と死亡者を見落とした可能性が極めて高いという。特に今年の3月中頃から始まった感染爆発時の混乱は異常だった。

2021年4月14日/インド、ウッタランチャル州ハリドワールで開催されたクンブメーラ宗教祭(ロイター通信)

研究者たちは3つの異なるデータソースを使用して、今年6月21日までの超過死亡率およびインドの人口の半分を占める7つの州の死亡者数を推定した。

次に、年齢別の感染死亡率(ウイルスで死亡した人の数)の国際的な推定値を、インドの2つの抗体検査データ(有病率を示す血液検査のデータ)に適用した。

最後に、国内の177,000世帯868,000人の過去4カ月間の死亡者数を含む動向を調査した。

その結果、期間中の過剰死亡者は340万~470万人の範囲であることが推定された。これは7月19日時点の公式死亡者数の約10倍に相当する。

一部の専門家はインドの超過死亡率は5~7倍と推定していたが、今回の推定値はそれよりかなり高かった。

グローバル開発センターのジャスティン・サンデファー氏とハーバード大学のアビシェク・アナンド氏はレポートの中で、「真の死亡者は数十万人ではなく数百万人にのぼる可能性が高く、私たちは1947年のパキスタン分離と独立以来、最悪の悲劇を目にしている」と述べた。

パキスタンの分離独立におけるパンジャブ州の分割時に発生した暴動では、民間人20万~200万人が死亡したと推定されている。

研究者たちは、死因を省略した調査などにはそれぞれ問題点があると警告したが、代わりに、177,700世帯のすべての死亡者を調べ、そのデータを過去数年間の死亡率と比較した。この調査方法は正確な指標と広く見なされている。

他の国々(特に開発途上国)もコロナの死亡者数を過小報告している可能性があると考えられているが、人口14億人のインドではコロナの発生前から国内の死亡者数を把握できていなかったため、専門家たちはほぼ間違いなく超過死亡は発生していると指摘する。

ペルー政府は5月末の調査で公式死亡者数を6万から18万人に見直した。オスカル・ウガルテ保健相は当時の声明で、「かなりの数の死亡者がコロナウイルスと診断されずに埋葬されていた」と明らかにした。

地元のジャーナリストは4月の感染爆発時に2億人以上が生活するウッタル・プラデーシュ州の州都ラクナウの火葬場の1つで火葬されたコロナ患者の遺体の数をチェックした。調査によると、4月14日に火葬された遺体は100体近くに達したが、その日の州全体の公式死亡者数は85人だったという。

研究者たちは、「重要なことは情報源や推定に関係なく、コロナの死亡者数は公式よりはるかに多い可能性が高いと認識することである」と述べた。

2021年4月21日/インド、西ベンガル州で開催された選挙集会(ゲッティイメージズ/AFP通信)
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