◎ギリシャのワクチン完全接種率は29日時点で人口の約63%。
2021年11月29日/ギリシャ、首都アテネのシンタグマ広場(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

11月30日、ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相は来年1月から60歳以上の居住者のコロナワクチン接種を義務化し、接種を拒否する者には毎月100ユーロ(約13,000円)の罰金を科すと発表した。

ギリシャ政府はコロナ変異ウイルス「オミクロン株」が急拡大していることを受け、この措置を決定した。ミツォタキス首相は30日に放送されたテレビ演説の中で、「対象者は2022年1月16日までにワクチン接種を予約しなければならない」と述べた。

保健当局によると、ワクチン完全接種率は29日時点で約63%まで上昇したが、1日あたりの接種数はここ数週間伸び悩んでいるという。データによると、60歳以上のワクチン未接種者は52万人以上。

義務化と罰則を含む新しい法案はこれから議会で審議される予定だが、ほぼ間違いなく可決されると伝えられている。ミツォタキス首相は、法律は1月16日に発効すると述べた。

政府は8月、医療従事者と消防士のワクチン接種を義務化し、9月にはワクチン未接種者に対する制限を強化した。これにより、ワクチン接種を終えた人と、6カ月以内にコロナから回復したと証明できる人には証明書が交付され、特定の屋内施設を利用できるようになった。未接種者に証明書は交付されない。また、国内の企業で働くワクチン未接種者は週1回または2回のPCR検査(有料)を義務付けられた。

ミツォタキス首相は演説の中で国境封鎖の可能性を除外したが、全国の集中治療室(ICU)の占有率は100%近くに達していると述べ、医療システムを保護するために60歳以上の接種を義務化すると述べた。

またミツォタキス首相は、先月ワクチンを接種した60歳以上はわずか60,000人にとどまったと述べ、義務化の対象者に速やかにワクチンを予約するよう促した。「まだ60歳以上の市民52万人以上がワクチンを接種していません。そして残念なことに、コロナで命を落としている人の大半は60歳以上です。死を避けるためにワクチンを接種してください」

ミツォタキス首相は欧州のオミクロン株拡大に深刻な懸念を表明し、国民に警戒を怠らないよう強く呼びかけた。

野党のシリザ党は義務化を「懲罰」と呼び非難した。

一方、アドニス・ゲオルガディス開発相は義務化を「政治的に困難な決定」と認めたが、デルタ株とオミクロン株の侵略を食い止めるためにはより強力な対策が必要と述べ、政府の方針を擁護した。

ゲオルガディス開発相は先日の議会演説で、「60歳以上の50万人以上はワクチンを接種しておらず、手を打たなければさらに数万人が死亡する」と訴えた。「保身のために国民に手を洗いマスクを着用するよう呼びかけますか?それは不道徳な行いです」

政府は60歳以上のワクチン接種有無をチェックする方法を明らかにしていない。一部の専門家は社会保障データベースの情報を利用すれば一元管理できると指摘したが、ギリシャの憲法によると、これを実行するためには独立したデータ管理機関にチェックを行うと通知し、さらに特別な法律が必要だという。

オーストリアも来年2月にワクチン接種を義務化する予定。

ギリシャの29日の新規陽性者数は約6,700件、死亡者は半年ぶりに100人を超えた。直近1週間の陽性者は1日あたり約6,500件。ギリシャの人口は約1,000万人。

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