◎ミュンヘン市の労働経済開発局の報告によると、2019年のオクトーバーフェストはミュンヘンに12億ユーロ(約1,500億円)以上の経済効果をもたらしたという。
2018年9月22日/ドイツ、ミュンヘンで開催された2018オクトーバーフェストビールフェスティバル(Getty-Images/AFP通信)

ドイツの現地メディアによると、世界で最も有名なビールの祭典オクトーバーフェストの2年連続中止は地域の住民に絶望感と虚無感をもたらしているという。

バイエルン州の州都ミュンヘン市の中心部にあるレストランでアメリカ料理とバイエルン料理をブレンドした料理を提供しているエヴリン・ミュラー氏は現地メディアの取材に対し、「地元の住民はビール祭りの2年連続中止に絶望し、虚無感に襲われている」と述べた。

この虚無感はオクトーバーフェストの開催地であるミュンヘン以外の都市にも波及している。

16日間続くオクトーバーフェストには多くの企業や個人事業主が参加する。期間中に消費されるビールは約750万リットル、600万人以上がミュンヘンに駆けつけ、食事を楽しみながらビールをがぶ飲みし、イベント会場で大騒ぎした男女は繁華街の飲食店になだれ込み2次会に移行する。

ミュンヘンの労働経済開発局の報告によると、2019年のオクトーバーフェストはミュンヘンに12億ユーロ(約1,500億円)以上の経済効果をもたらしたという。市当局は、地域の経済活動に大きな影響を与えるイベントが2年連続で中止されたことに強い危機感を表明した。

ミュンヘンのレストラン業界で15年以上働いているマイケル・クリスチャン氏は米ABCニュースの取材に対し、「ミュンヘンの家賃は高く、食べ物の価格は年々上昇しているように思う」と語った。ドイツの住宅およびアパートの検索サイトImmoweltの報告によると、ミュンヘンの家賃は過去5年間で約24%増加したという。

ミュンヘンの労働経済開発局の当局者はABCニュースに、「昨年のコロナ封鎖以来、多くの企業が政府の支援を受けたが、市内の飲食関係の事業所の約10%が閉鎖または閉店を余儀なくされた」と述べた。

今年5月にオクトーバーフェストの2年連続中止が決まった時、何とか生き残ったレストランやホテルは新たなハードルに直面し、困惑した。

オクトーバーフェスト会場の北にある地下鉄近くの宿泊施設で働いているフィリップ・フロイント氏は、「中小ホテルの大半がオクトーバーフェストの期間中に稼ぐ収益で経営を成り立たせている」と語った。「中止は死活問題です...」

ミュンヘンの労働経済担当責任者でオクトーバーフェストの責任者を務めるクレメンス・バウムガルトナー氏はABCニュースに、「フェストが重要なことは重々承知しているが、中止は避けられなかった」と語った。「私たちはフェストの中止がもたらす経済損失を理解しています。しかし、フェストがもたらすコロナウイルスの感染拡大は住民の命を奪い、ドイツだけでなくヨーロッパ全体に深刻な影響を与えるでしょう。中止は正しい決断でした」

バウムガルトナー氏によると、当局のチームは来年のイベント再開に向けて、様々な安全対策と準備を進めているという。

オクトーバーフェストに参加する企業や飲食店の労働者は約13,000人と見積もられている。しかし、広大な会場は現在ほぼ空っぽであり、古くから活動している地元の屋台2つだけが営業を行っている。

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