◎当局は機動隊約3,000人をパリ周辺に配備し、略奪や暴動に備えた。
2021年7月31日/フランス、パリ、コロナワクチンパスポートに反対する抗議デモ(Michel Euler/AP通信)

7月31日、フランスの首都パリでコロナワクチンパスポートに反対する抗議デモが開催され、数千人が政府の政策に抗議した。地元メディアによると、ほとんどのデモは平和的だったが、一部地域で暴徒化した市民と機動隊が散発的に衝突したという。

当局は機動隊約3,000人をパリ周辺に配備し、略奪や暴動に備えた。

フランス議会は先日、コロナの感染再拡大を受け、施設や公共交通機関などを利用する際に「コロナウイルスヘルスパス」の提示を義務付ける法案を可決した。また、これに合わせて国内の全ての医療従事者はコロナワクチンの接種を9月15日までに終了するよう命じられた。

<コロナウイルスヘルスパスの取得条件>
・ワクチン接種を終えた人。
・最近コロナから回復したことを証明できる人。
・検査で陰性と診断され、検査結果を証明できる人。

フランス議会の決定はイタリアにも波及し、ローマ、ミラノ、ナポリなどの主要都市でワクチン反対デモが開催された。ミラノのデモ隊は市庁舎の外で、「恥!」「自由!」と叫び、イタリアとフランスの国旗を振り回しながら行進した。地元メディアによると、デモは騒々しかったが、暴力には発展しなかったという。

フランスのデモ隊のスローガンは「自由」だった。関係団体などによると、31日の抗議デモに参加した市民は全国で20万人を超えたという。1週間前に開催された抗議デモの参加者は全国で約1万5,000人ほどだった。

パリのデモに参加した37歳の元看護師はAP通信の取材に対し、「政府の脅迫にウンザリしたので仕事を止めました」と語った。「フランスの医療従事者はコロナの感染拡大で虐待されましたが、諦めませんでした。しかし、政府は突然、ワクチンを接種しない人は汚染されている、感染を抑えられないのは未接種者のせいだと言い始めました...」

パリ北部にあるムーラン・ルージュ(キャバレー)周辺に集まった抗議者たちは機動隊としばらくにらみ合い、衝突した。一部の警察官は反抗的な抗議者に鉄拳を叩き込んだと伝えられている。

一部の抗議者がガラス瓶などを投げ始めると、機動隊は群衆に催涙ガス弾を打ち込んだ。地元メディアによると、少なくとも警察官3人が負傷したという。その後、機動隊は暴徒に放水砲を発射した。

極右指導者のマリーヌ・ル・ペン党首の元参謀長、フランソワ・アスリノ議員は今回のデモを強く推奨した政治家のひとりである。同氏は人民共和連合のリーダーで、31日のデモには参加しなかったが、ソーシャルメディアに投稿した動画の中で「コロナウイルスヘルスパスは不条理で、不当で、自由を殺す」と述べ、人々に政府を非難するよう呼びかけた。

政府は感染力の強いデルタ株の感染拡大が続いていることを受け、パスポートの実装を決めた。保健当局によると、7月30日の新規陽性者数は24,000件を超えたという。ただし、1日あたりの死亡者は二桁を維持している。

8月9日からパスポートを実装するという政府の決定はコロナワクチン接種の加速につながり、多くの未接種者が接種会場に足を運んだ。地元メディアによると、当局は接種体制を強化し、ビーチを含む様々な場所でワクチンを接種できるようになったという。少なくとも1回ワクチンを接種した人は7月30日時点で人口の約62%、接種を終えた人は約47%。

2021年7月31日/フランス、パリ、コロナワクチンパスポートに反対する抗議デモ、警察の取り締まり(Adrienne Surprenant/AP通信)
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