◎8月9日から国内のカフェ、レストラン、長距離旅行、病院を利用する際にはコロナウイルスヘルスパスが必要になる。
2021年8月7日/フランス、南西部バイヨンヌ、政府のコロナウイルス政策に反対する抗議デモ(ボブ・エドメ/AP通信)

フランスの現地メディアによると、政府のコロナウイルスヘルスパス政策やワクチンの一部義務化に反対する抗議デモは4週目に突入し、8月7日のデモに参加した人は全国で23万人を超えたという。

フランスの憲法評議会は5日、ヘルスパスの提示を必要とする施設を拡大する法律を支持した。これにより、8月9日から国内のカフェ、レストラン、長距離旅行、病院を利用する際にはヘルスパスが必要になる。映画館、コンサートホール、スポーツ施設、50人以上の収容能力を持つイベント会場などを含むほぼ全ての文化およびレクリエーション施設はヘルスパスシステム導入済み。

現地メディアによると、デモの大半は平和的に行われたという。抗議者たちは「自由!」と叫び、医療従事者のコロナワクチン義務化に反対する旗やプラカードを持っている人も多く見られた。政府は国内の全ての医療従事者にワクチン接種を義務づけ、9月15日までに接種を終えるよう命じた。

マルセイユ、ニース、リールなどの主要都市でも数百から数人規模のデモが開催された。内務省によると、パリのデモ参加者は約17,000人、全国でデモに参加した人は約237,000人にのぼったという。

抗議者たちは、コロナウイルスヘルスパスは移動の自由を制限し、「政府は暗黙のうちにワクチン接種を義務化している」と主張している。

しかし、最近行われた世論調査によると、国民の大多数はヘルスパスの導入を支持していることが分かったという。

<コロナウイルスヘルスパスの取得条件>
・ワクチン接種を終えた人。
・最近コロナから回復したことを証明できる人。
・検査で陰性と診断され、検査結果を証明できる人。

パリのデモに参加した女性はAP通信の取材に対し、「政府のワクチン強制政策は、国民の選択する権利を信じられないほど侵害しています」と述べた。

極右政治家のフロリアン・フィリポ議員はパリの保健省近くで抗議デモを主催し、数千人が集まったと伝えられている。支持者たちはフランスの国旗を掲げ、エマニュエル・マクロン大統領の辞任を求めた。

フィリポ議員は群衆に、コロナウイルスヘルスパスの取得をボイコットするよう呼びかけた。「あなたには選択する権利があります。あなたはコロナウイルスを持っていません。しかし、あなたは怒りを持っています。マクロンは去らなければなりません...」

インド洋のフランス領レユニオンでも数千人が政府の政策に抗議した。

フランスの新規陽性者は今年春のピークからゆっくり減少し、6月末には1日1,000件を下回る日もあったが、再び上昇に転じ、最新の直近7日間の平均は21,000件を超えた。ただし、死亡者数は2桁を維持している。

フランスのワクチン接種率は順調に伸びており、総人口の約54%(3,600万人以上)が接種を終えた。保健当局によると、マクロン大統領がヘルスパスの導入を発表して以来、少なくとも700万人が1回目の接種を終えたという。

欧州諸国は様々なコロナパスポートを導入しており、規則は国によって大きく異なる。イタリアのグリーンパスシステムは6日に発効した。デンマークのワクチンパスに反対するデモはほとんど確認されていない。オーストリアのレストラン、劇場、ホテル、スポーツ施設、美容院を利用する際にはパスが必要。

ドイツの首都ベルリンで先週行われたコロナパスポートに反対するデモは予想以上に紛糾し、暴徒化した抗議者と警察の衝突に発展した。

2021年8月7日/フランス、南西部バイヨンヌ、政府のコロナウイルス政策に反対する抗議デモ(ボブ・エドメ/AP通信)
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