◎ジョー・バイデン大統領は21日の演説の中でワクチン接種を「愛国者の義務」と呼んだ。
2021年12月21日/ワシントンD.C.ホワイトハウス、ジョー・バイデン大統領(Patrick Semansky/AP通信)

12月21日、米国のジョー・バイデン大統領はコロナ変異ウイルス「オミクロン株」の急速な感染拡大を受け、家庭用検査キット5億回分を無料で支給すると発表した。

オミクロン株はニューヨークを含む多くの地域で主要な変異株になったと推定されている。

疾病予防管理センター(CDC)は20日、全国の新規陽性の約75%がデルタ株からオミクロン株に置き換わったとみられると明らかにした。

バイデン大統領は演説の中でワクチン接種を「愛国者の義務」と呼び、医療機関の体制を強化すると発表したが、全国封鎖には言及しなかった。「私たちはワクチンを持っています。私たちはこれまでの経験から多くを学びました...」

CDCによると、21日時点でオミクロン株に感染した患者1人の死亡が確認されたという。亡くなったのはテキサス州の50歳、基礎疾患持ちでワクチンは接種していなかった。

バイデン大統領はワクチンを接種するよう国民に呼びかけ、「未接種者の入院および死亡リスクは非常に高い」と警告した。

またバイデン大統領は、政権のワクチン接種に関する規則に多くの反対意見が寄せられていることを認め、「私たちは米国民とその家族の命を救うために規則を設定した」と述べた。

バイデン大統領は連邦政府職員とその請負業者、医療当局者、民間企業の労働者などにワクチン接種を義務付け、訴訟の嵐に直面している。

CDCによると、ワクチン完全を終えた18歳以上は21日時点で約73%、ブースター接種率は約33%。CDCとホワイトハウスはワクチン未接種者の感染と重症化に懸念を表明している。

バイデン大統領はテキサス州ダラスで19日に開催された政治集会の中でブースターを接種したと公表したドナルド・トランプ前大統領を珍しく称賛した。「多分、ブースターは彼と私が同意する数少ないことのひとつです...」

ホワイトハウスは21日のプレスリリースでオミクロン対策の詳細を発表した。

・5億回分の迅速検査キットを希望する全ての米国民に無料で支給する。キットは現在、7~15ドルほどで販売されており、一部地域では入手困難になっている。

・全国の医療機関に軍医を1,000人追加配備する。

・医療機関の収容能力を拡大し、必要な物資(個人用保護具や酸素濃縮器など)を提供する。

オミクロン株の感染拡大に直面している欧州では、制限を強化する国が相次いでいる。

世界保健機関(WHO)の欧州地域事務局長であるハンス・クルーゲ氏は21日、「嵐が迫っており、各国政府は陽性者の大幅な増加に備える必要がある」と警告した。

ドイツ政府は12月28日から以前の制限を復活させると発表した。ドイツ通信社によると、個人的な集会の人数は10人以下に制限され、ナイトクラブは閉鎖し、プロスポーツは期間中、無観客で行われるという。

ドイツのオラフ・ショルツ首相は21日の演説で、「コロナウイルスはクリスマス休暇を取らない」と述べた。

ワクチン完全接種率約90%のポルトガルは12月26日からバーとナイトクラブに閉鎖を命じ、国内の企業にテレワークを義務付けると発表した。期間は1月9日までの予定。

一方、欧州の震源地であるイギリスのボリス・ジョンソン首相はイングランドに新たな制限を課すことは考えていないと述べたが、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド政府は制限を強化した。

独自路線を貫くスウェーデンも飲食店で飲み食いできる日を水曜日のみとし、できる限りテレワークを行うよう国民に呼びかけている。

オランダは他国に先駆けて19日に全国封鎖を開始した。

2021年12月21日/ポルトガル、首都リスボンのコロナ検査所(Getty Images/AFP通信/PAメディア)
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