◎全米の入院患者は1月11日時点で146,000人に達し、昨年1月のピークをあっさり上回った。
2022年1月12日/カリフォルニア州パラマウントのコロナ検査所前(Jae C. Hong/AP通信)

世界の科学者によると、コロナ変異ウイルス「オミクロン株」の重症化リスクはデルタ株に比べると明らかに低く見え、入院患者は昨年のピークよりはるかに少ないという。

しかし、記録的な感染爆発に見舞われている米国のコロナ入院患者は急激に増加しており、医療機関は強烈な圧力をかけられている。

保健社会福祉省によると、全米の入院患者は1月11日時点で146,000人に達し、昨年1月のピークをあっさり上回ったという。

ジョー・バイデン大統領は13日、最も大きな打撃を受けている6つの州に軍の医療関係者を派遣する計画を発表した。

隣国カナダの入院患者も急増しており、ケベック州はパンデミックを宣言したうえで、ワクチン未接種者から制裁金を徴収すると誓った

イギリス、フランス、イタリアも新規陽性の急増に直面しているが、入院患者は2020年と昨年に記録したピークに比べるとはるかに低い。イギリスとイタリアの入院患者は1年前のピーク時のおよそ半分、フランスは約7割。

一方、米国の入院患者は10万人あたりに換算すると欧州3カ国より少ないが、現在の値は昨年1月のピークを超えた。カナダの10万人あたりはさらに少ないが、現在の値は昨年のピークの倍近くに達している。

全米の医療機関はオミクロン株が流行する前から陽性者の対応に追われていたため、今回の感染爆発で状況は劇的に悪化したと報告している。

ワシントンD.C.のジョージ・ワシントン大学病院の医療責任者であるフアン・レイエス博士はAP通信の取材に対し、「今回の急増は以前の波よりはるかに厳しい」と述べた。「今回の波はとてつもない大きさです。職員はひどく疲弊しています...」

ニュージャージー州のモリスタウン・メディカルセンターのルイス・ルービンソン博士は、「オミクロン株の重症化リスクは低いにもかかわらず、現在の入院患者は2020年冬の倍近くに達した」と報告した。

ルービンソン博士は「重症化リスクが低くても、陽性者が激増すれば入院患者もおのずと増える」と警告した。

一方、オミクロン株を最初に検出した南アフリカの新規陽性は順調に下がっており、直近1週間の陽性は昨年末の3分の1以下に減少した。また地元メディアによると、入院患者数も2021年初頭に記録したピークに比べるとはるかに少ないという。

一部の専門家は米国の入院患者が増え続ける理由として、「欧州諸国や南アフリカに比べると人口が圧倒的に多い」と指摘している。

ニューヨークのシラキュース大学のデビッド・ラーセン博士は「米国の人口は南アフリカより明らかに多く、高齢者も多い」と指摘したうえで、「米国の年齢構成は欧州に似ているが、健康な人の割合は欧州より少ない」と強調した。

またラーセン博士は、米国の高血圧と肥満率は大半の国より高く、入院患者と重症化リスクを押し上げていると指摘し、「オミクロン株を軽視する人を見るとイライラする」と述べた。「一部の米国民は南アフリカのように患者が急減すると信じています。私は信じられないほどイライラしています...」

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、米国の直近1週間の陽性は13日時点で約80万件、死亡者は約1,800人。ワクチン完全接種率は人口の約63%で、南アフリカ(27%)よりはるかに高い。

ホワイトハウスの首席医療顧問であるアンソニー・ファウチ博士を含む科学者はワクチン接種だけでなく、基本的な感染予防対策(マスク着用、社会的距離の確保、手洗いの励行)を徹底するよう繰り返し呼びかけている。

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