◎欧米では新たなコロナ変異ウイルス「オミクロン株」の嵐が吹き荒れている。
2021年12月23日/スペイン、バルセロナの繁華街(Emilio Morenatti)/AP通信)

2021年も残すところあとわずか。コロナウイルスは今年も24時間年中無休を継続し、世界の指導者を困惑させ、様々な変異株を世に送り出した。

オーストラリアのニューサウスウェールズ州(NSW)政府は23日、2日連続で新規陽性が5,000件を超えたと明らかにした。連邦政府はブースターの接種間隔を来年1月4日から4カ月に、1月31日からは3カ月に短縮することを検討している。

NSWのドミニク・ペロテット州首相は屋内でのマスク着用義務化に強く反対している。

一方、欧米では新たなコロナ変異ウイルス「オミクロン株」の嵐が吹き荒れている。

米食品医薬品局(FDA)は23日、製薬大手メルクなどが開発した飲み薬「モルヌピラビル」の緊急使用を大急ぎで承認した。前日にはファイザー社の飲み薬「パクスロビド」が承認されている。

ジョー・バイデン大統領はブースターショットプログラムの強化、迅速検査キット5億回分の無料提供、そして2つの飲み薬でコロナを何とか抑え込みたいと考えているが、陽性者は増加し続けている。

ハワイ州は23日の声明で、島のウイルスの大半がオミクロン株に置き換わったと推定されると発表した。島の過去24時間の陽性者は1,511件で、過去最多に迫っている。保健当局によると、島民150万人のうち約40万人がまだワクチンを接種していないという。

南米エクアドルの政府は23日、基礎疾患などの影響でワクチンを接種できない人以外のワクチン接種を義務化すると発表した。政府は声明の中で、「義務化はオミクロン株を抑え込むために必要であり、正当な理由なく接種を拒否する者は罰せられる」と警告した。エクアドルのワクチン完全接種率は人口の約77%。

一方、チリのセバスティアン・ピニェラ大統領は来年2月から4回目のワクチン接種を開始する予定と明らかにした。世界のワクチン接種率を追跡しているour world in dataによると、チリのワクチン接種率はアメリカ大陸で最も高く、完全接種率は12月23日時点で人口の約85%、少なくとも1回接種した人は90%に達した。

チリの保健当局によると、人口の半分以上がブースター接種を終えたという。

スペインの医療機関はオミクロン株の猛襲に困惑し、医療専門家は政府にさらなる対策を要求した。保健当局によると、23日の新規陽性は3日連続で過去最多を更新する73,000件に達し、直近7日間の陽性は10万人あたり900件を超えた。

スペイン政府は感染急拡大を受け、クリスマスイブから屋外でのマスク着用を義務化すると発表し、国民を困惑させた。ただし、飲食店やアルコールを提供する店は営業継続を許可されている。

バルカン半島モンテネグロのミロ・ジュカノヴィチ大統領はコロナ検査で陽性を示したと23日の声明で明らかにしたが、症状は軽度で気分はとても良く、職務を遂行すると国民に約束した。大統領のウイルスがオミクロン株かどうかは明らかにされていない。

モンテネグロの人口は約62万人。累計感染者は人口の約25%にあたる16万人、累計死亡者は2,300人を超えた。

イタリアの過去24時間の新規陽性も過去最多を更新した。これを受け、政府は23日に新しい制限の詳細を発表した。それによると、屋外でのマスク着用が義務化され、公共交通機関、映画館、劇場、スタジアムではFFP2認証マスクの着用が求められる。クリスマスと大晦日のパーティは却下、ディスコも1月31日まで閉鎖。

またワクチン未接種者は、イタリア人に欠かせないイタリアンコーヒー店も利用できなくなった。

一方、イギリスの公衆衛生機関は23日にオミクロン株の初期調査データを公表し、オミクロン株の入院リスクはデルタ株より50~70%低いことが示唆されたと明らかにした。

世界の主要な科学者もオミクロン株の重症化リスクが低く見えることにおおむね同意しているが、陽性者が爆発的に増加すれば医療機関に大きな負担がかかり、昨年冬の感染爆発に匹敵する死亡者を記録する可能性があると警鐘を鳴らしている。

BBCニュースによると、イギリスの23日の陽性者は12万件に達する見込みだという。ただし、死亡者は150人前後を維持している。

ブルガリア政府は23日、ワクチン接種を促すために、接種を終えた65歳以上の市民に75レフ(約5,000円)の一時金を支給すると発表した。キリル・ペトコフ首相は声明で、年明けから一時金の支給を開始すると述べた。地元メディアによると、キャンペーン開始後に1回目、2回目、ブースターを接種した65歳以上の市民にそれぞれ75レフが年金と一緒に振り込まれるという。接種を終えている65歳以上に一時金が支給されるかどうかは不明。

ブルガリアのワクチン接種率はEUの中で最も低く、完全接種率は23日時点で約15%にとどまっている。

ギリシャ政府は23日に制限を強化し、クリスマスに関連するイベントをすべて中止すると発表した。制限はクリスマスイブに発効し、終了時期は明らかにされていない。公共エリアでは屋内外を問わずマスクの着用を求められる。

2021年12月23日/韓国、ソウルの幹線道路(Ahn Young-joon/AP通信)
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