◎一部の専門家は大晦日に夜間外出禁止令を発効すべきと主張していたが、政府は年末年始の制限を回避した。
2021年12月26日/フランス、パリの通り(Getty Images/AFP通信)

12月27日、フランス政府はコロナウイルスの感染急拡大に対処する新しい対策を発表したが、年末年始の行動制限には踏み切らなかった。

国営メディアなどによると、制限は1月3日に発効する予定で、国内の企業は可能な限りテレワーク率を引き上げ、屋内外イベントには収容制限が設定される。プロスポーツを含む屋内イベントの収容人数は2,000人以下、屋外は5,000人以下。

ジャン・カステックス首相は27日、緊急閣議後の記者会見で「パンデミックは終わりのない映画のように感じる」と述べ、国民に制限を遵守するよう呼びかけた。

一部の専門家は大晦日に夜間外出禁止令を発効すべきと主張していたが、政府は年末年始の制限を回避した。

オリビエ・ベラン保健相は新規陽性の爆発的な増加に深刻な懸念を示し、「巨大津波の影響で陽性者は2日ごとに倍増している」と警告した。

政府のホームページによると、新しい対策に基づき、国内の映画館、劇場、スポーツ施設、公共交通機関などでの飲食は禁止され、国内の企業は従業員に少なくとも週3日はテレワークを命じるよう義務付けられる。

ナイトクラブは対策解除まで閉鎖。カフェやバーは営業を継続できるが、カウンター席の利用は禁止。繁華街ではマスク着用が義務付けられる。

また政府はブースターの間隔を2回目接種後4カ月から3カ月に短縮すると発表した。さらに、27日に議会に提出した新たなワクチンパスポートシステム法案は年明けに採決され、1月15日に発効する見込みだという。

公衆衛生当局によると、27日の新規入院患者は全国で1,600人を超え、ここ数週間の入院患者総数は17,000人を超えたという。

カステックス首相は会見の中で、「対策は少なくとも3週間は維持されるだろう」と述べ、ワクチン接種率が高いおかげで病院にかかる圧力は昨年の冬に比べるとはるかに低いと強調した。フランスの成人の完全接種率は90%を超えている。直近1週間の陽性者は1日あたり約70,000件、死亡者は約170人。

コロナ変異ウイルス「オミクロン株」は欧州で猛威を振るっており、ドイツとギリシャも新しい対策を発表した。イングランド政府は制限の導入に否定的な見方を示したが、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各政府は対策を強化した。

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