◎ファイザー社のコロナ飲み薬「パクスロビド(PAXLOVID)」は、重症化リスクの高い人々がコロナウイルスに感染した際に使用することを目的としている。
2021年2月5日/ニューヨークのファイザー本社に表示されているロゴ(Mark Lennihan/ファイザー/AP通信)

11月5日、米ファイザー社は臨床試験段階にある抗コロナウイルス薬の中間試験結果を公表し、重症化リスクの高い人々の入院率と死亡率を89%低減させたと述べた。

ファイザー社のコロナ飲み薬「パクスロビド(PAXLOVID)」は、重症化リスクの高い人々がコロナウイルスに感染した際に使用することを目的としている。

食品医薬品局(FDA)は製薬大手メルク社のコロナ飲み薬「モルヌピラビル」の審査に向けた準備を進めている。イギリスは昨日、世界で初めてそれを承認した。

ファイザー社は声明の中で、「独立した専門家委員会はパクスロビドの臨床試験結果が好意的だったことから研究の中止を推奨し、FDAと国際規制当局にできるだけ早く承認するよう求めた」と述べた。

また、緊急使用申請の一環として、パクスロビドの中間試験結果をFDAに提出する予定と明らかにした。メルク社はまだ完全な臨床試験結果を提出していない。

米主要メディアによると、ホワイトハウスはすでに数百万回分の飲み薬を確保しているという。

ファイザー社は成人775人に対する中間試験結果を公表した。それによると、陽性を示した直後にパクスロビドと別の抗ウイルス薬を服用したグループと、プラセボ(ダミー薬)を服用したグループを比較した結果、入院率と死亡率は89%減少したという。

また、パクスロビドを服用したグループで入院した被験者は1%未満で、死亡者はゼロだった。プラセボグループでは7%が入院し、7人が死亡した。

臨床試験に参加した被験者は「ワクチンを接種していない」高齢者または肥満、糖尿病、心臓病などの疾患を持つ重症化リスクの高い人々で、軽度~中等症を発症していた。

ワクチン接種完了者に対する臨床試験が行われているかどうかは明らかにされていない。

データによると、両グループの被験者は発症から3日~5日の間にパクスロビドまたはプラセボを服用し、その後5日間服用を継続したという。発症から3日目にパクスロビドを服用した被験者は5日目の被験者よりわずかに良い結果を示したため、ファイザー社は迅速な検査と早期治療の重要性を強調した。

副反応の詳細は明らかにされていないが、ファイザー社は両グループの約20%でほぼ同じ副反応を確認したと述べた。

臨床試験を監視している独立した医療専委員会は、中間試験結果が好意的だったことを受け、ファイザー社に試験の早期中止を推奨した。

米疾病予防管理センター(CDC)と多くの医療専門家は、コロナウイルスから人々を保護する最良の手段はワクチン接種と強調している。しかし、世界の成人数十億人はまだワクチンを接種しておらず、一部はワクチン接種を拒否している。

飲み薬は注射器を使用するワクチンよりはるかに投与しやすく、一部の医療専門家は効果的で使いやすい抗ウイルス薬が将来のパンデミックを抑えるカギになると指摘した。

FDAは今月後半にメルク社のモルヌピラビルを検討する公開会議を行う予定。同社は9月の声明で、モルヌピラビルは入院と死亡の割合を50%抑えたと報告した。

ピッツバーグ大学の感染症責任者であるジョン・メラーズ博士は、パクスロビドとモルヌピラビルの中間試験結果を比較すべきではないと警告した。「89%と50%には大きな違いがありますが、試験の実施時期、場所、どの変異種が流行していたかなど、2つの試験には大きな違いがあると考えられるため、低減率だけで勝者を決めることはできません...」

メルクのモルヌピラビルは先天性欠損症などの潜在的なリスクがあるとして、臨床試験から妊婦を除外したが、ファイザーのパクスロビドに同様の制限はない。

パクスロビドはプロテアーゼ阻害剤として知られる数十年前に開発された抗ウイルス薬を利用したものである。プロテアーゼ阻害剤はHIVとC型肝炎の治療に革命をもたらした。

プロテアーゼ阻害剤は、2003年にアジアで発生したSARSの流行中に導入された。ファイザー社の研究グループは昨年、SARSとコロナの類似性を考慮し、プロテアーゼ阻害剤の研究を開始した。

米国はコロナウイルスに対する抗ウイルス薬レムデシビルと、3つの抗体療法を承認している。しかし、それらは病院や診療所での点滴または注射を必要とし、供給量にも限りがあった。

ファイザー社の株価は5日の取引で8%以上上昇した。

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