◎オランダの保健当局は、11月19日と23日付けのコロナウイルスサンプルから「オミクロン株」を検出したと明らかにした。
2021年11月30日/トルコ、イスタンブールの商店街(Francisco Seco/AP通信)

11月30日、オランダの保健当局は、11月19日と23日付けのコロナウイルスサンプルから「オミクロン株」を検出したと明らかにした。

南アフリカの科学者がオミクロン株の存在を公表したのは11月24日だった。

オランダのRIUM保健研究所が公表した情報は、コロナの感染拡大を抑えつつ経済活動を再開することの難しさを物語っている。

フランスの保健当局も、海外県で11月20日に帰国した男性からオミクロン株が検出されたと明らかにした。この男性は南アフリカとモザンビークに滞在していた。

60万人以上の死亡者を記録しているブラジルでも、南アフリカから帰国した旅行者2人が陽性、日本は国境封鎖を発表した翌日にナミビアの外交官の感染を報告した。

世界保健機関(WHO)は29日、「懸念される変異株」に指定されたオミクロン株が世界規模の感染拡大を引き起こし、深刻な結果をもたらす可能性があると述べた。

またWHOは、南アフリカの隣国ボツワナでオミクロン株が急増していることを考えると、南アフリカも同じような事態に陥る可能性が高いと指摘した。

南アフリカの保健当局によると、直近1週間の陽性者は1日あたり約3,000件まで急増したという。数週間前は500件台だった。

米国のコロナ対策最高顧問である国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ博士は昨日、「少なくとも20カ国の200人以上がオミクロン株に感染したと報告を受けている」と述べ、「感染者は恐らく急増すると思う」と危機感を示した。

これまでに感染を報告した国はEUの11カ国、イギリス、オーストラリア、日本、イスラエル、カナダ、香港など。米国ではまだ確認されていないが、公衆衛生研究所協会のスコット・ベッカーCEOは「見つかるのは時間の問題」と述べた。

オミクロン株は南アフリカの科学者が最初に発見したが、いつどこで誕生したかは不明である。オランダの発表は震源地の特定に役立つと期待されている。

オランダ政府は先日、南アフリカ便の乗客からオミクロン株を検出したと発表し、封鎖に移行した。しかし、RIUM保健研究所のサンプルは1週間以上前に取られたものだった。

オランダの公共放送NOSは30日、RIUM保健研究所のサンプルのひとつはアフリカ南部に滞在した患者のものと報じた。

一方、ベルギーでは11月11日にエジプトから帰国し、22日に軽度の症状を示した患者のサンプルからオミクロン株が検出されたことが明らかになった。

EUの医療専門家たちは、オミクロン株に対する最善の防御はワクチンであり、世界のありとあらゆる場所で接種を進めなければならないと強調し、恐怖を静めようとした。

欧州医薬品庁のエマー・クック事務局長は30日の声明で、「当局はオミクロン株に対する準備を進めており、必要に応じて3~4カ月以内に既存のワクチンをオミクロン株に適応させることができる」と述べ、国民に落ち着くよう呼びかけた。

北京2022冬季五輪を主催する中国もオミクロン株の拡大に懸念を表明し、東京2020と同じ事態(1年延期)になることを心配した。

中国外務省の趙立堅(ちょうりつけん)報道官は30日、「新たな変異株は予防と管理の面で大会にいくつかの課題をもたらすだろう」と述べた。

オミクロン株の懸念は世界市場に反映し、ウォール街とアジア市場は再び急落した。

一部のアナリストは主要国のワクチン接種は順調に進んでいるため、世界規模の景気後退は恐らく回避されるだろうと予想したが、観光業と飲食業界が打撃を受けることは間違いなく、オミクロン株がさらに拡大すれば、世界経済の回復はさらに遅れると警告した。

オミクロン株はまだワクチンを接種していない子供と保護者の恐怖を煽ったが、ファウチ博士はワクチン接種と感染予防対策の徹底で混乱は回避できると信じていると述べ、全米の保護者に落ち着くよう求めた。

バラク・オバマ元大統領とファウチ博士は30日にワシントンD.C.の児童向けワクチンクリニックを訪れ、子供たちにワクチンを接種するよう勧めた。

オバマ元大統領は子供と保護者に「注射が苦手」と述べた。「私は注射が好きではありません。しかし、ワクチンは私を保護してくれます...」

WHOと各国の保健当局によると、オミクロン株に感染し死亡した患者は今のところ報告されていないという。

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