◎グエン・タン・ロン保健相は、今回見つかったハイブリッド型の感染力は従来型より強く、非常に危険と警告した。
2021年5月28日/ベトナム、首都ハノイの医療機関(ロイター通信)

5月29日、ベトナムの保健省は、イギリスで最初に検出された変異種とインドの変異種が組み合わさった新しいハイブリッド変異種を発見したと公表した。

グエン・タン・ロン保健相は声明で、「科学者たちは最近確認された感染者のコロナウイルスの遺伝子構造を調査し、新しいタイプのウイルスを発見した」と述べ、今回見つかったハイブリッド型の感染力は従来型より強く、非常に危険と警告した。

コロナを含むウイルスは常に変異しており、これまでに確認された変異種の大半はそこまで危険視されていないが、従来型より感染力の強いイギリス型やインド型は世界で猛威を振るっている。世界保健機関(WHO)はイギリス型、インド型、ブラジル型、南アフリカ型を「懸念すべき変異種」に指定し、世界に警戒を呼びかけている。

ロン保健相はハイブリッド型が国内の感染急拡大の主要因になっている可能性があると述べた。地元メディアによると、国内の63の地方自治体のうち30でハイブリッド型の感染者が確認されたという。

ベトナムの感染者数はここ数週間で急増しており、累計感染者(約6,400件)の半分以上が今年4月以降に確認された。

保健省によると、同国の最大都市ホーチミン市(人口900万人)のプロテスタント教会の集会でクラスターが発生し、少なくとも85人の新規陽性者を確認したという。信者はマスクを着用せず、社会的距離も無視していたと伝えられており、政府はすぐに宗教行事の禁止を命じた。

政府は現在、公園、対面式のレストラン、バー、クラブ、スパなどの営業を禁じている。ロン保健相は規則を守り、感染予防対策を徹底するよう呼びかけた。

昨年10月にインドで最初に検出されたB.1.617.2変異種とイギリスのB.1.1.7変異種は、それぞれ従来型より感染力が強いことが分かっている。

主要国の研究によると、ファイザーやアストラゼネカワクチンなどは、2回目の接種でこれらの変異種に対する感染予防効果を発揮するが、1回目の接種ではほとんど予防できないという。ただし、今回ベトナムで検出されたハイブリッド型を含む変異種がより深刻な症状を引き起こしたり、致死率が高いなどという証拠は見つかっていない。

米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ博士を含む専門家は、「感染力の強い変異種はより蔓延しやすく、ワクチン接種率の低い国では新規症例と死亡者の増加につながる可能性が高い」と警告している。

ベトナムで少なくとも1回ワクチンを接種した人は、5月30日時点で人口の約1%にとどまっている。

<ワクチン接種数/少なくとも1回接種した人の割合/5月30日時点
アメリカ:2億9,200万回/50%
イギリス:6,300万回/57%
ドイツ:4,900万回/43%
イタリア:3,400万回/37%
フランス:3,500万回/36%
カナダ:2,300万回/55%
日本:1,100万回/6%
ベトナム:370万回/1%
中国:6億300万回/29%
インド:2億300万回/12%
イスラエル:1,100万回/63%

世界:18億4,000万回/10%
アジア:9億8,900万回/6%
北米:3億5,500万回/37%
ヨーロッパ:3億4,800万回/31%
EU:2億4,100万回/37%
南米:1億1,600万回/18%
アフリカ大陸:3,100万回/2%

スポンサーリンク