◎イギリスのボリス・ジョンソン首相は、「国内で確認されたコロナウイルス変異種の致死率は従来型より高い可能性があると証拠が示している」と述べた。
◎イギリスの変異種を研究しているグループは、「変異種はより致命的になった可能性がある」と結論づけたが、専門家はデータが不十分であり、断言はできないと指摘した。
2021年1月22日 AP通信/イギリス、ロンドン、ボリス・ジョンソン首相

1月22日、イギリスのボリス・ジョンソン首相は、「国内で確認されたコロナウイルス変異種の致死率は従来型より高い可能性があると証拠が示している」と述べた。

その後、記者会見に同席したチーフメディカルオフィサーのクリス・ホウィッティ博士が、「感染に関するデータは不確実であり、ワクチンは機能すると予想している」と補足した。

ジョンソン首相が説明したデータは、変異種と従来型に感染した人々の死亡率を比較した科学者が提出したものである。

イギリス発と考えられている変異種は、イギリス全体に広がっている。

ジョンソン首相はオンライン会見の中で、「感染力の強い変異種が、国民保健サービス(NHS)に強烈な圧力をかけている」と述べた。

イギリス公衆衛生サービス、インペリアルカレッジロンドン、エクセター大学などは、変異種と従来型との違いや致死率などの評価を行っている。

これらのグループが提出したデータは、新型呼吸器系ウイルス脅威諮問グループ(Nervtag)の科学者によって評価されている。

グループはデータの中で、「変異種はより致命的になった可能性がある」と結論づけたが、専門家はデータが不十分であり、断言はできないと指摘した。

ジョンソン首相の主任科学顧問を務めるパトリック・ヴァランス卿は提示されたデータについて、「現時点で致死率が高いと断言することはできない」と述べた。

パトリック・ヴァランス卿:
「これらの数値には多くの不確実性があり、正確に処理するにはさらに時間がかかる。ただし、国内の死亡者が増加していることは間違いなく、変異種が事態をさらに悪化させると懸念している

2021年1月22日 Shutterstock/イギリス、ロイヤルロンドン病院

以前の研究データによると、イギリスで確認された変異種は従来型よりも30~70%ほど感染率が高く、致死率は30%上昇すると報告されていた。

<研究データを基にした例>
・従来型:感染者 60歳以上の1,000人 = 10人が死亡する

・変異種:感染者 60歳以上の1,000人 = 13人が死亡する

ただし、医療機関のデータのみを分析すると、致死率の増加は見られなかったという。これは「医療従事者のコロナに対する医療スキルおよび、医療体制が改善されたため」と考えられている。

変異種は9月にケント州で初めて報告された。イギリスの保健当局によると、変異種はイングランドと北アイルランドで従来型に置き換わったという。

ヴァランス卿はBBCニュースの取材に対し、「ファイザーとアストラゼネカワクチンは、イギリスの変異種には機能すると期待されているが、南アフリカとブラジルの変異種には警戒しなければならない」と述べた。

パトリック・ヴァランス卿:
「南アフリカとブラジルの変異種には特定の特徴があり、ワクチンの影響を受けにくい可能性がある

「この2種類は間違いなくイギリスの変異種よりも警戒しなければならず、非常に注意深く研究する必要がある」

ジョンソン首相は、「他の変異種の侵入を防ぐ国境封鎖措置を強化する準備はできている」と述べた。

イギリス政府は先週、ブラジル他の南米諸国とポルトガルからの入国を禁止し、多くのアフリカ諸国に対する入国禁止措置を延長している。

イングランドのロックダウン(完全封鎖、期間:2月中旬まで)

・不要不急の外出禁止。
・一部の例外を除き、学校および大学はオンライン授業に移行。
・保育園は継続。
・必須小売店(食料品店、薬局など)以外はすべて閉鎖。
・屋内外スポーツ施設は全て閉鎖。
・屋外の公園や運動場は営業可能。
・飲食店はデリバリーのみ許可される。ただし、アルコールの販売は禁止。
・アマチュアスポーツの活動は禁止。
・プレミアリーグなどのプロスポーツは継続。
・共同の宗教施設(礼拝所など)は営業可能。
・結婚式などのイベントは原則禁止。
・他の世帯の住民に会う場合、できるだけ早く、少なくとも5日間、不要な社会的接触を停止する。
・子供もガイダンスに従うこと。
・別居中の親とその子供の接触は免除される。
・違反者には200ポンド(28,000円)~最大6,400ポンド(900,000万円)の罰金が科される。

・1月15日に南米諸国およびポルトガルに対する入国禁止措置を発効。
・1月18日から海外からの旅行者の入国を禁止。期間は2月15日まで。

※スコットランド、ウェールズ、北アイルランドでも同様の制限が発出されている。

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