従業員200名中73名がコロナウイルスに感染

ウェスト・ミッドランズ、ヘレフォードシャー州の「AS Green and Co」が運営する農場従業員200名中73名がPCR検査で陽性反応を示し、農場の一時閉鎖が決まった。

同農場では野菜などの作物を生産している。ヘレフォードシャー州を代表する農場でのクラスター事件は地域の食品流通に影響を与えるかもしれない、と懸念されている。

今回、感染が確認された従業員の大半は、農場近くのトレーラーハウスに居住している。無症状者についてはトレーラーハウスで自己隔離ののち、再度PCRを実施。なお、食料などの生活必需品は、AS Green and Co事務所に届けられており、そこから感染者に配布されるという。

州の食料供給および配達を管理するヘレフォードシャー州の公衆衛生局は、今回のクラスター事案について、「ウイルスは封じ込められている」と強調した。

同農場で収穫された野菜はウスターシャー州マルバーンにある工場でピッキングと梱包作業を行っている。同社の経営者は記者団に対し、「私を含む全従業員、関係者および農場訪問もPCR検査を実施、全員の陰性を確認できた。今後は従業員の体調回復を最優先事項とし、感染予防に努めたい」と語った。

ヘレフォードシャー公衆衛生局は農場内でクラスターが発生したと認定、感染予防策を講じたうえで、外部への流出を防ぐと述べた。

AS Green and Coはウェブサイト上で声明を発表した。以下抜粋。

「英国公衆衛生局は、コロナウイルスが食品や食品パッケージを通じて伝染する確率は非常に低いと述べています。我々はお客さまが英国の果物や野菜、肉などをこれからも自信を持って購入すると確認しています」

ヘレフォードシャー州の10万人当たりの新規感染者発生率は、イギリス国内の平均値よりかなり高くなっている。10万人あたり116人の感染者が発生し、再ロックダウンされたレスター市と同水準まで上昇すれば、街の閉鎖もあり得るだろう。

AS Green and Coは、同州に基盤を置く家族経営農場である。豆、ブロッコリーなどを育て、地域に必要な作物を供給し続けてきた。

感染した従業員のほとんどが無症状であり、熱や喉の痛みを訴えた者は病院で隔離されることになった。

ヘレフォードシャー公衆衛生責任者を務めるカレン・ライト氏はBBCの取材に対し、「農場経営者、従業員、関係者が保健当局と協力して感染予防対策を実行している」と述べた。

またライト氏は、濃厚接触者へのPCR検査が感染経路の特定につながり、ウイルスの流出を防いだことに謝辞を述べ、「私たちは地域経済に欠かせない農場経営者、従業員たちを全力でサポートする。大切なことはAS Green and Coの皆を守り、感染を抑え込んだうえで、私たちの生活に欠かせない野菜や肉が再びスーパーマーケットに並ぶことだ」と付け加えた。

【関連トピック】
ドイツで第二波の兆し、ロックダウン復活と肉男爵
北海道/コロナウイルス第二波と世界に伝えた教訓
スペイン、ガリシア州でローカルロックダウンが発令
セカンドウェーブは本当にくるのか?

スポンサーリンク

感染予防対策の再徹底

最近、欧州の食肉加工場や農場などでクラスター事案が頻発している。

ウォリック大学の分子腫瘍学教授を務めるローレンス・ヤング氏はBBCの取材に対し、「工場内、特に室温が低く湿気のある屋内エリアは、コロナウイルスの蔓延に適した環境である」と述べた。

イギリス政府は食品製造における感染予防対策をまとめたガイドラインを発効している。ヘレフォードシャー公衆衛生局は、感染予防対策の再徹底を呼び掛けた。

現在、同州カウンシルエリアでは、749件(累計)の感染が確認されている。小さな町で発生した73人の大規模クラスターは、住人たちに大きな不安を与えた。

一方、同州のはるか西、北大西洋を6,800km飛行した先にあるアメリカ合衆国フロリダ州では、24時間当たりの新規感染者数が15,299人に達した

フロリダ州の人口は約2,150万人。巨大都市であることは間違いないが、それでもアメリカの全人口の7%に過ぎない。しかし、同州の新規感染者数は全土の4分の1を占め、カリフォルニア州(人口:3,950万人)を超えてしまった。

フロリダ州は5月にロックダウンの緩和を開始。東部ニューヨーク州やニュージャージ―州と比較すると、感染者および死者数は低空飛行を続けていた。

しかし、6月に入ると事態は一変。新規感染者が激増し、それに伴い重症化する患者も増えた。7月12日に記録した15,299人は、4月にニューヨーク州が記録した数字を大幅に上回っている。

ロイター通信によると、フロリダ州の累計感染者数は世界の都市別感染ランキングで4位にランクされた。また、州内の病院では集中治療室がフル稼働状態にあり、これ以上感染者が増加すれば医療崩壊もあり得るという。

7月11日、同州オーランドのウォルト・ディズニー・ワールドが再開、マスクを着用したミッキーマウスファンたちが、世界屈指のテーマパークに押し寄せた。

同州のロン・デサンティス共和党州知事は、6月中頃からの新規感染者の増加をうけ、バーを再ロックダウンしている。なお、その他の屋内レストランやカフェは収容率を制限したうえで営業を許可されている。

ホワイトハウスコロナウイルス対策チームの最高顧問を務めるアンソニー・ファウチ医師は記者団に対し、「ロックダウンを緩和するのであれば、それに見合った感染予防措置を講じなければならない。デサンティス氏は州内でのマスク着用義務化を拒否したが、今すぐ考えを改めるべきである」と警告した。

アメリカ国内におけるマスク着用義務化対策は政治問題に発展している。反対者たち(主に保守層)は個人の自由が侵害されていると憤り、徹底抗戦する構えだ。いくつかの州では、マスクやその他の予防対策(社会的距離のルール、手洗いなど)に反対するデモ活動が行われている。

しかし昨日、マスクを誰よりも否定し続けてきたトランプ大統領が、初めて公の場でマスクを着用した。これをうけ、共和党支持者も大統領に倣い、感染予防対策を徹底するかもしれないと期待されている。

ワシントン郊外のウォルターリード軍事病院を視察し、負傷した兵士や医療従事者を見舞ったトランプ大統領は、「私は一度たりともマスクに反対したことはない。ウイルスに感染する可能性があれば、着用すべきだ」と述べた。

トランプ大統領が着用しマスクには「アメリカ大統領紋章旗」が刻印されており、一般発売してほしい、というコメントや投降がSNSで広まっている。

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、7月12日時点のアメリカの累計感染者数は329万人、137,000人以上が死亡した。

【感染者数状況/7月12日時点】

感染者数
(累計)
死者数
(累計)
新規感染者
USA329万人13.7万人71,787人
フロリダ27万人4,241人15,299人
NW40.6万人32,029人677人
日本21,991人373人983人
東京7,927人325人206人
スポンサーリンク