◎政府と公衆衛生当局は工場、市場、その他の混雑したエリアで感染者が相次いで確認されていることを受け、首都バンコクで計画されていたコロナ制限の緩和を14日間延期することに決めた。
2021年5月31日/タイ、首都バンコクのコロナワクチン接種会場(AP通信/Sakchai Lalit)

5月31日、タイ政府はコロナウイルスの急拡大を受け、感染予防対策を強化すると発表した。

政府の報道官は記者団に対し、「業界団体と感染を抑え込むために必要な対策などを協議した」と述べた。

保健当局のまとめによると、31日の新規陽性者数は過去最高を大幅に更新する5,485件、入院患者数も過去最高の2,000人近くに達したという。死亡者は19人増加し、累計死亡者は1,031人になった。

政府と公衆衛生当局は工場、市場、その他の混雑したエリアで感染者が相次いで確認されていることを受け、首都バンコクで計画されていたコロナ制限の緩和を14日間延期することに決めた。バンコクの知事は6月1日から制限を緩和すると発表していたが、延期を受け入れたという。

タイは昨年、外国人観光客の入国をほぼ禁止することでコロナを抑え込むことに成功した。しかし、今年4月初めにバンコクのバーやクラブで相次いでクラスターが発生し、その後も感染の拡大に歯止めがかからない状態が続いていた。

保健当局によると、5月末時点の累計症例約16万件のうち、約82%が今年4月以降に確認された感染者だという。新規陽性者は刑務所、建設労働者の宿舎、工場、市場、スラム街、低所得者向けの住宅地域に集中していると伝えられている。

大手電子機器メーカーのカルコンプ社(Cal-Comp Electronics)の工場で発生したクラスターの確定症例は5月28日時点で3,730件に達した。同社のスポークスマンは声明で、「工場の換気システムを改善したうえで感染予防対策を徹底したい」と述べた。当該工場は5月21日に閉鎖されている。

バンコクの31日の新規陽性者は過去最高の1,356件だった。政府のコロナウイルスセンターの報道官は、「バンコクの各地でクラスターが発生している」と述べた。

現地メディアによると、バンコクを含む一部地域の建設労働者は現場の宿舎にとどまり、自宅や別の現場には移動しないよう命じられているという。コロナウイルスセンターの報道官は、「工場や建設現場などで働く労働者が感染急拡大に拍車をかけている可能性がある」と述べた。

「特定の工場や建設現場で働く下請け労働者たちは様々な地域から集まってきます。彼らはそこでクラスターに巻き込まれ、自分の住む地域や別の現場にコロナを運んでいる可能性があります...」

政府は現在、ワクチンの追加供給に向けた交渉を進めている。タイで少なくとも1回ワクチンを接種した人の割は、5月31日時点で人口の約4%にとどまっている。

<ワクチン接種数/少なくとも1回接種した人の割合/5月31日時点
アメリカ:2億9,500万回/50%
イギリス:6,500万回/58%
ドイツ:5,000万回/43%
イタリア:3,400万回/38%
フランス:3,600万回/38%
カナダ:2,300万回/57%
日本:1,200万回/7%
タイ:360万回/4%
中国:6億3,900万回/30%
インド:2億900万回/12%
イスラエル:1,100万回/63%

世界:19億回/11%
アジア:10億3,000万回/6%
北米:3億6,000万回/37%
ヨーロッパ:3億5,400万回/31%
EU:2億4,500万回/38%
南米:1億1,900万回/18%
アフリカ大陸:3,100万回/2%

2021年5月31日/タイ、首都バンコクのコロナワクチン接種会場(AP通信/Sakchai Lalit)
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