南アフリカ政府は、世界のどの国よりも冷酷なロックダウンを躊躇なく実施

 南アフリカ共和国がロックダウン(完全封鎖)を実施してから1週間。政府の公式発表によると、国内のコロナウイルス感染者は約1,400人、5人が死亡した

 シリル・ラマポーザ大統領と保険大臣の行動は全世界から注目を集めている。コロナウイルスが国内で蔓延し始めた時、彼らは躊躇なくロックダウンを全国民に命令した。

 南アフリカの最も貧しく、そして最も混雑したエリアでは、効果的な衛生活動など期待できない。そこで暮らす人たちは毎日を生きることで精一杯。厳しい制限が課されれば、いずれ混乱が起きることは明白だった。さらにコロナウイルスまで蔓延すれば、収拾のつかない事態になる、と多くの国民が恐れている。

 南アフリカ政府の実施したロックダウンは、各国の対応とさして変わらない。ジョギング、路上販売、犬の散歩、その他不必要な外出には重い罰金(懲役刑もある)を課されるが、許可を受けた者は外出できるようだ。しかし、政府の補償、サポートは、それを最も必要とする貧困層に届いていない。

 すなわち、南アフリカ政府は、ロックダウンにより発生する様々な問題を一切考慮していなかった。政府、州、民間企業のトップは長年にわたる腐敗・汚職・偽善に覆い尽くされており、今回のロックダウンに伴う混乱も全く想定していなかったようだ。

 また、無能なリーダーが任命した地方当局責任者も同じである。ウイルス検査は順調に進んでいるように見える。しかし、現場は政府からの指示に圧倒され、追い詰められている。地方当局責任者にリーダーシップを期待することもできない状態だ。

 ヨハネスブルグの端、貧困街と呼ばれるエリアでは、今でも路地裏に人が密集し、子供たちはサッカーを楽しんでいる。軍や警察の介入を逃れた(かわした)エリアは大概同じ状況にある。

 貧困層の住人たちは、長期間の隔離に耐えうる経済力を持っていない。路上で食品を販売する者、失業同然の者、事情は様々だが、「補償、サポートのないロックダウン」に従えば、ウイルスより先に飢えで多くの者が命を落とすだろう。

 南アフリカで実施されたコロナウイルス検査は約47,000件、医療体制が整備されている地域は一部の大都市だけである。一部では、貧困街を中心にコロナウイルスが蔓延している、という情報ももたらされている。

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