◎イスラエルの保健当局は、1月中旬時点で総人口(約930万人)の25%以上にファイザーワクチンを投与したと発表した。
◎ガザとヨルダン川西岸地区に住む500万人以上のパレスチナ人はワクチン接種プログラムから除外されている。
2021年1月9日 AP通信/イスラエル、ラマト・ガン、ファイザーワクチンを接種するベンヤミン・ネタニヤフ首相

報告によると、イスラエルのコロナウイルスワクチン接種プログラムは他国をはるかにリードしているという。

イスラエルの保健当局は、1月中旬時点で総人口(約930万人)の25%以上にファイザーワクチンを投与したと発表した。

これは他国を圧倒的に上回っており、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「イスラエルはコロナウイルスを最初に制圧するだろう」と述べた。

イスラエル政府はワクチン接種施設などの整備に緊急予算を投じ、ファイザーワクチン承認後も関係施設や部署をバックアップしたと伝えられている。

タイムズ・オブ・イスラエルによると、イスラエル政府は、予防接種費用(1人あたり)に47ドル投じたという。(ファイザーワクチンの接種費用は約40ドル)

なお、ガザとヨルダン川西岸地区に住む500万人以上のパレスチナ人はワクチン接種プログラムから除外されている。

2021年1月12日 AP通信/イスラエル、エルサレム

イスラエルは標準化された強力な公衆衛生システムを持っており、さらに人口も1,000万人以下と比較的少ないことから、ワクチンを効果的に展開できたと考えられている。

ネタニヤフ首相は1月10日の記者会見で、「接種のペースを1日17万人まで増やす」と目標を発表し、1月初めの時点で、60歳以上の72%がファイザーワクチンの初回接種を終えたと述べた。

当局者によると、16歳以上の市民へのワクチン接種は3月までに完了する予定であり、「研究で安全性が確認されれば、16歳未満へのワクチン接種も検討する」という。

イスラエルの医療従事者たちは、短期間で多数の予防接種を行うために迅速に働いている。

首都テルアビブのイチロフ病院は、スタッフへのワクチン投与を速やかに終了させ、患者の受け入れと予防接種を同時に行っているという。

イチロフ病院のヨーゼフ・クラウスナー外科部長はABCニュースの取材に対し、「早期予防接種プログラムの初期の成功は共同の努力の賜物」と述べた。

ヨーゼフ・クラウスナー外科部長:
「イスラエルの地域人口は他国に比べると少なく、ワクチンを展開しやすかった。また、医療機関や関係部署に資金が投入されたことも成功の要因だと思う」

2020年1月4日 ブルームバーグ/イスラエル、首都テルアビブの集団予防接種センター

ネタニヤフ首相はファイザー社のアルバート・クーラ会長兼CEOと緊密な関係を構築しており、首相はCEOを「友人」と呼んでいる。

ネタニヤフ首相は1月10日の記者会見で、「イスラエルはファイザー社とコロナウイルスを打ち負かすために、戦略および開発に役立つ統計データを共有するだろう」と語った。

ファイザーの広報担当者はABCニュースの取材に対し、「弊社とイスラエル保健省(MoH)は、ファイザー-BioNTechCOVID-19ワクチンの実際の影響を研究するための協力協定を締結した」と述べた。

広報担当者によると、保健省は「感染を抑え込むために必要な予防接種率を現在のワクチン配布期間中に導き出し、世界と情報を共有したい」という。

一方、ガザとヨルダン川西岸地区に住む約500万人のパレスチナ人はワクチンプログラムから完全に除外されており、人権団体とパレスチナ自治政府はネタニヤフ首相の対応を非難した。

アムネスティ・インターナショナルなどの人権団体は、「イスラエル軍は国際法を無視してパレスチナ人を隔離された地域に追いやった。政府は占領軍としての責任を果たさなければならない」と述べた。

パレスチナ自治政府のモハマド・シュタイエ首相も声明で、「予防接種のスピードを自慢し、占領下の人々にワクチンを提供しない占領国の人種差別を非難する」と述べた。

しかし、これらの意見はイスラエルの保健省に届いていない。

ユーリ・エデルスタイン保健相は、「パレスチナは考慮せず、まずはイスラエル人への予防接種を優先する」と述べた。

パレスチナ自治政府は他の企業とワクチン調達の交渉を進めている。ロシア直接投資基金は声明で、「パレスチナ保健相がスプートニクV(ロシアワクチン)の使用を許可した」と発表した。パレスチナの保健相によると、スプートニクVの接種は2月に始める予定だという。

ファイザー社のワクチンについて

・95%の確率で接種者を保護する。また、65歳以上の患者の保護率も94%を示した。

・2020年に最大5,000万回分、2021年に最大13億回分の投与を目指している。

・2回接種する必要がある。

・輸送時の温度管理(ー75℃前後)が懸案事項。

・16歳の以上の人々に十分な安全を保証できる。

・1回の投与で強力な保護を得られると米食品医薬品局(FDA)は判断した。ただし、最高の保護を得るためには2回接種すべきと推奨。

・男女、異なる人種や民族に等しく効果を発揮する。

種類保護率
接種回数
試験数
(公表数)
保管条件
期間
費用
ファイザー95%
2回
43,538人-75℃
5日
20ドル
モデルナ94.5%
2回
30,000人-20℃
6カ月
33ドル
オックスフォード62-90%
2回
24,000人冷蔵庫
4ドル
スプトーニクV92%
2回
20,000人冷蔵庫
10ドル
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