3月23日の完全封鎖以降、インド全土が混乱状態に陥っている

 23日、インドのナレンドラ・モディ首相は、コロナウイルス感染拡大を遅らせるという理由で、全土の完全封鎖を発表。卸売り市場で働く者たちや配送業者などは、突然の発表に対応しきれず、多くの地域で警察との衝突に発展、町は混乱状態に陥っている。

 何百万人もの個人販売者が、インド国内で野菜や果物等を販売し生計を立てている。しかし、モディ首相の突然の発表により、彼らの日常は壊された。

 完全封鎖が発表された翌日、野菜を販売している者たちは警察に退去を命じられ、酷い者は警棒で激しく殴りつけられたという。政府/警察の指示に逆らうことはできず、彼らのような個人販売者が活動する市場/コミュニティは閉鎖を余儀なくされた。

 13億人が暮らすインド。国民の多くが個人販売者から野菜や果物を安価で購入し、生活している。今回の措置により、スーパーなどの必要とされる施設以外は全て閉鎖されてしまったため、多くの国民がその日の食料を入手できない状態に追いやられてしまった。

 また、個人販売者たちも、限られた野菜や果物を売り生計を立てている。それが許可されなければ、政府による補助を受ける以外手はない。しかし、政府の支援策は彼らのような貧しい人々に行き届いていない

 多くの国民、特に貧困層は、個人販売者の扱う野菜や果物を頼りにしている。今回の完全封鎖は、貧困層の食料入手経路を断ち切った。当然、販売者たちの生活もままならず、誰一人得をしない最悪の事態を招いてしまった。

 完全封鎖はコロナウイルス感染拡大を防ぐうえで必要な措置であろう。しかし、人々に食料を届け、販売者の生活を守る対策が講じられていなければ、愚策になりかねない。大切なことは、貧困層と販売者をつなげる市場/コミュニティの整備と彼らの生活、そして命である。

 インドで最も人口の多いウッタル・プラデーシュ州(約2億人)の警察最高責任者は、「これは前例のない挑戦である」とBBCに語った。また、部隊の最優先事項は、「国民全員が必需品を確実に入手できる環境を行政と共に作ることだ」と付け加えた。

 警察は政府の指示に従い、店、銀行、飲食店、集会、あらゆるものを禁じ、必要な措置をとらなければならない。結果、貧困層と数百万人の個人販売者たちは、生きるか死ぬかの瀬戸際に追い込まれている。

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