ロックダウンを緩和した数日後から感染者数が増加

ベルリンのロベルト・コッホ研究所(RKI)によると、ロックダウンを緩和した数日後から国内の感染者が増加傾向にあることが分かった。

6日水曜日、メルケル首相は州知事たちとの会談後、ロックダウンのさらなら緩和を発表。これに対し、封鎖の完全解除を求める数千人の市民が主要都市に集まり抗議活動を実施した。

ドイツ国内のあらゆる店舗は営業を許可され、学校も授業を再開、生徒たちはクラスに戻った。また、ブンデスリーガ他のサッカーリーグも今週末からの再開を予定している。

RKIによると、10日時点のドイツの累計感染者数は169,218人、これまでに7,395人が死亡した。

指標

繁殖率」はウイルスを監視するための3つの重要な測定値のひとつである。ただし、人々の行動の変化や免疫力の発達などに応じて数値は変化するため、固定値は存在しない。

すなわち、繁殖率はウイルスの発生を監視するための重要な測定値であり、”症状の重症度”と”症例数”を組み合わせることで、ウイルスの危険性を判断できる。

9日のドイツ公衆衛生局発表によると、現在の繁殖率は1.1と推定された。例を以下に記す。
1人の患者が1.1人にウイルスを感染させる = 感染者および新規感染者は2.1人
・10人の患者が11人にウイルスを感染させる = 感染者および新規感染者は21人
・100人の患者が110人にウイルスを感染させる = 感染者および新規感染者は210人

パンデミックを抑制するためには繁殖率を「1以下に抑える」必要がある。なお、この数値には不確実性も含まれているが、感染者数が増加傾向にあることは事実であり、監視体制の強化が必要なことも確かであろう。

ドイツ政府およびメルケル首相はコロナウイルス対応で一定の評価を勝ち取り、称賛された。PCR検査体制を拡充し、効果的なロックダウンが功を奏したと言えるだろう。また、他の欧州諸国より死者数を低く抑えることにも成功した。

しかし、6日に行われた州知事たちとの会談により決定した「ロックダウンの段階的な緩和」を批判する者もいる。またメルケル首相は、新規の感染者数が再度増加した場合には再封鎖を実行する、その指標として、「10万人当たり50人の新規感染者」を目安にすると説明した。

ノルトライン・ヴェストファーレン州とシュレースヴィヒ・ホルシュタイン州の食肉加工場で発生した集団感染は、再封鎖の指標を超え、地区当局は対応に苦慮しているという。

チューリンゲン州のある地区では、10万人当たり80人の新規感染者を確認。これは、介護施設での集団感染が原因であると報道された。

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第二波か?

最新の公式発表から、ドイツ国内の感染者数が再び増加していることは確かである。ただし、一時的な増加である可能性も否定できない。当局は短期的な変化を過度に解釈するべきではないと警告している。

しかし、増加が確認され始めたのは、ロックダウンの解除後から数日後、レストラン、工場、ホテルなどが営業を再開した結果と考えるのが普通であろう。

政府は感染者数の増加が「第二波」の兆候、始まりである可能性を想定し、注意深く監視しなければならない。そしてメルケル首相の言う通り、再びパンデミックの兆候が見られたら、再封鎖もやむなしである。

同国の1日当たりの死者数は、ここ1カ月下がり続け、現在最低レベルにある。5月10日の死者数は40人未満だった。

日々新規感染者および死者が確認されている状態でロックダウンを緩和してはならない、と心配する者もいるが、「一刻も早く解除すべき」と主張する者も多い。

主要都市に広がったデモ活動中、警察は社会的距離の確保を守らなかった約30人を逮捕した。なお、このデモ活動には右派グループと陰謀論者の一部も参加しており、混乱はさらに拡大したという。

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