◎オーストラリア放送協会(ABC)によると、コロナウイルスの影響で帰国できないオーストラリア人は約37,000人にのぼるという。
◎アメリカのテニーズ・サンドグレン氏は搭乗前の検査で陽性と診断されたが、ビクトリア州当局は同氏の診断書をチェックしたうえで、入国を許可した。
2021年1月14日 AP通信/オーストラリア、アデレード空港、ラファエル・ナダル氏

オーストラリア政府はまもなく開幕する全豪オープンテニス選手権に向け、海外からスター選手および関係者など、1,200人以上の入国を許可した。

オーストラリア放送協会(ABC)によると、コロナウイルスの影響で帰国できないオーストラリア人は約37,000人にのぼるという。

政府は国際線の1週間当たりの入国人数に上限を設けており、入国した者は指定の施設で検疫を受ける必要がある。当局は上限について、「検疫施設のスペースを確保するための措置であり、今後も継続されるだろう」と述べた。

1月15日、エミレーツ航空はコロナウイルスの感染拡大を防止するために、メルボルン、シドニー、ブリスベンの航路を一時停止すると発表した。

一方、全豪オープンテニスの主催者は、スター選手や関係者のためにチャーター便を運航し、入国手続きも滞りなく進んでいるという。

国外で帰国の順番を待っているオーストラリア人および彼らの窮状を知る市民は、スター選手の優先入国に激怒した。

2021年1月14日 ロイター通信/オーストラリア、アデレード空港

選手たちは搭乗前にコロナ検査で陰性を証明する必要があり、その後、メルボルンとアデレードの指定された全豪オープン専用ホテルで検疫に入る。なお、選手たちは練習のために1日最大5時間部屋から出ることを許可されている。

しかし、入国後の検査で陽性と診断された者と同じ便に搭乗していた選手47人は、2週間施設の部屋に隔離されることになった。

現地メディアの報道によると、4大大会優勝経験者のビクトリア・アザレンカ氏とスローン・スティーブンス氏が隔離対象に含まれたという。

アメリカのテニーズ・サンドグレン氏は搭乗前の検査で陽性と診断されたが、ビクトリア州当局は同氏の診断書をチェックしたうえで、入国を許可した。

サンドグレン氏は11月にコロナに感染し、その後回復したが、1月11日の検査で陽性と診断された。

一方、元世界ランク1位のアンディ・マリー氏は搭乗前の検査で陽性が判明し、入国を拒否された。

2021年1月14日 AP通信/オーストラリア、アデレード空港、ラファエル・ナダル氏

帰国を待ち望んでいるロンドン在住のオーストラリア人女性はBBCニュースの取材に対し、「政府は感染が拡大した週の市民の入国上限を半分にすると発表し、その翌週にはテニス選手と関係者のために1,200人超の入国を許可すると発表した。これはとても興味深いことだと思う」と述べた。

女性は10月から帰国待ちの列に並び続けているという。

1月16日、政府は立ち往生している市民を「優先国(コロナ感染の少ない国)」から帰国させるために、チャーター便(計20本)を手配すると発表した。

ツイッターの利用者たちは、#strokeaussies で政府の対応を共有している。

あるユーザーは、「何千人もの市民が海外で立ち往生している。私はテニスの大ファンだが、この措置は間違いだ」と述べた。

別のユーザーは、「入国後の検査で陽性者が出たことを重く受け止めなければならない。これが変異種であれば、政府と市民は代償を支払うことになるだろう」とツイートした。

今週初め、ビクトリア州のダニエル・アンドリュース州首相は、「メルボルンが大会をキャンセルすれば、全豪オープンは他の国に奪われるだろう」と述べた。

オーストラリアの入国制限は2月15日まで続く予定。

ニューサウスウェールズ州の1週間当たりの入国可能人数は1,505人、西オーストラリア州は512人、クイーンズランド州は500人に設定している。

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