◎中国はオミクロン株の対応に苦慮している。
世界保健機関(WHO)のテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は10日、中国のゼロコロナ戦略は持続不可能という見解を示した。
中国はオミクロン株の対応に苦慮しており、上海の住民約2600万人を含む多くの都市の住民が一斉検査と厳しい検疫に直面している。
上海の封鎖期間は1カ月を超え、共産党に従順な市民も懸念を表明している。一部の市民はSNSに不満をぶちまけ、当局の強引な対策に反対する抗議まで報告された。
テドロス氏は10日の定例会見で、「現在のコロナの感染力と将来を考えると、ゼロコロナ戦略が持続可能だとは思わない」と語った。「私たちは中国の専門家とこの問題について議論し、そのアプローチは持続不可能であると指摘しました...」
緊急事態対応を統括するライアン(Michael Ryan)氏は、「リセットボタンを押す時が来た」と指摘し、コロナと戦う中でも「個人の人権に配慮すべき」と語った。「私たちは社会への影響、経済への影響と感染対策のバランスをとる必要があります。ゼロコロナは容易ではありません...」
またライアン氏は、中国の死者は米国やインドに比べるとはるかに少ないと強調した。中国の累計死者は約1万5000人、米国は99万人、インドは50万人を超えている。
WHOの疫学者であるケルコフ(Maria Van Kerkhove)氏は、コロナを完全に抑え込むことは不可能であると述べた。「私たちの目標はすべての症例を発見し、すべての感染を阻止することではありません。それは不可能なのです」
しかし、中国指導部はゼロコロナを追求すると約束しており、政策を覆す可能性は低い。
一部の専門家は第20回党大会の年に規制を緩和する可能性はないと指摘している。
中国共産党第20回党大会(11月開催予定)はこの10年で最も重要な政治イベントのひとつであり、習近平 国家主席の歴史的な3期目が決まると予想されている。