2021年6月2日/中国、北京のコロナワクチン接種センター(AP通信/Ng Han Guan)

オンライン調査サイトのOur World in Dataによると、中国の保健当局は先月末のわずか5日間で国民にコロナワクチンを1億回接種したという。

中国共産党は一党独裁体制の利点を活かして、驚異的なスピードでワクチンを接種している。地元メディアによると、公衆衛生の指導者たちは、年末までに人口の80%(10億人以上)の接種を終えたいと考えているという。

「ワクチンを接種しなさい」という呼びかけは社会の隅々まで行き渡っており、企業は従業員にワクチンを提供し、学校は学生と教員に注意を促し、地方自治体の職員は住民を監視している。

中国のゲイツ財団の公衆衛生専門家であるレイ・イップ氏はAP通信の取材に対し、「共産党はあらゆる地域、あらゆる村を監視し、ワクチン接種を促しています」と述べた。「共産党の指導は過酷ですが、コロナに関しては非常に有効に機能しています」

Our World in Dataによると、中国は現在、1日あたり平均約1,900万回ワクチンを接種しているという。なお、共産党は接種の正確なデータを公表していないため、完全に接種を終えた人の割合は明らかにされていない。

国家衛生健康委員会に所属する専門家グループの代表は5月30日の声明で、「少なくとも1回ワクチンを接種した人の割合は人口の40%に達した」と述べた。「現在の接種スピードを維持できれば、完全に接種を終えた人の割合は6月末までに人口の40%に達すると予想しています」

<ワクチン接種数/少なくとも1回接種した人の割合/6月3日時点
アメリカ:2億9,600万回/50%
イギリス:6,500万回/58%
ドイツ:5,200万回/44%
イタリア:3,500万回/39%
フランス:3,700万回/38%
カナダ:2,400万回/58%
日本:1,400万回/8%
中国:6億8,200万回/40%
インド:2億1,300万回/12%
イスラエル:1,100万回/63%

世界:19億8,000万回/11%
アジア:10億9,000万回/6%
北米:3億6,300万回/37%
ヨーロッパ:3億6,300万回/32%
EU:2億5,200万回/39%
南米:1億2,100万回/19%
アフリカ大陸:3,300万回/2%

2021年6月2日/中国、北京のコロナワクチン接種センター(AP通信/Ng Han Guan)

地元メディアによると、首都北京で少なくとも1回ワクチンを接種した人の割合は人口の87%に達したという。街の中にはワクチン接種会場が数百カ所設置されており、IDさえあれば誰でも好きな時にワクチンを接種できる。

しかし、北京のようなシステムを採用している都市は限られており、ソーシャルメディアには予約が取れないという苦情が相次いで寄せられている。

甘粛省北西部の蘭州市に住むジョウ・ホンシア氏はAP通信の取材に対し、「私は午前9時から午後6時まで列に並び、何とか接種できました」と述べた。ホンシア氏の夫は予約の空きを待っている状態だという。

共産党指導部は1日、地域のワクチン供給量を均等にするよう関係機関に指示したと述べた。

中国は世界で最も厳しい国境管理と強制検疫でコロナウイルスをあっという間に抑え込んだため、国民はワクチン接種をそこまで急いでいなかった。結果、各地で小規模なクラスターが何度か発生したが、それも強制検疫でほぼ処理されている。

中国国内で流通しているワクチンの大部分を生産しているシノバックとシノファームは、どちらも共産党の指導に基づき、積極的に設備投資を行い、新しいワクチン工場を建設していると伝えられている。

シノバックの生産能力は年間20億回分、シノファームは年間最大30億回分と伝えられているが、シノファームは実際に供給した数を明らかにしていない。シノバックは先月末時点で5億4,000万回分を供給したと発表した。

AP通信の取材に応じた北京のある研究者(匿名)は、共産党の関係者から月に1回電話がかかってくると述べた。この研究者は中国のワクチンを信用しておらず、ファイザーワクチンの接種を望んでいるという。

研究者はAP通信の取材に対し、「当局はワクチンの予約を手伝うとしつこく電話してきます」と述べた。

共産党はまだファイザーワクチンの使用を許可しておらず、研究者は「いつまで持ちこたえられるか分からない」と語った。「指導部はワクチン接種を義務化するかもしれません...」

一方、ゲイツ財団の公衆衛生専門家であるレイ・イップ氏は、「共産党はワクチン接種を義務化しないと思います」と述べた。「共産党は圧力をかけます。接種を拒否する人は致命的な圧力に直面するでしょう」

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