◎保健当局などのまとめによると、チリのコロナワクチン接種数は4月15日時点で1,250万回を超えたという。なお、2回目の接種を終えた成人は人口の約22%、430万人に達した。
2021年4月15日/チリ、首都サンティアゴ、棺を運ぶ関係者(ロイター通信)

地元メディアによると、チリのエンリケ・パリ保健相はコロナウイルスの感染急拡大に直面し、悲観的なコメントを発表したという。

保健当局のまとめによると、人口約1,900万人のチリの新規陽性者数は4月9日に過去最高を更新する9,151件に達し、専門家は昨年6月の第一波と今年1月の第二波を上回る感染拡大の波が迫っていると警告した。

パリ保健相は4月9日の記者会見で、「心配です」と述べた。「私たちは第三波の真っただ中にいます。私は全国民、全ての家族に感染予防対策の徹底と自宅にとどまることを推奨します」

報道によると、全国の集中治療室(ICU)の占有率は90~100%近くに達したという。これに伴い、政府は再び国境を封鎖し、厳格な感染予防規則を発効した。

首都サンティアゴ在住のソフィア・ピント氏は地元メディアの取材に対し、「私たちは後退しています」と述べた。「外出は食料品の買い出しや医師の診察以外、全て禁止されました。また、外出する際は必ず政府のウェブサイトから許可証をダウンロードし、携帯しなければなりません」

野党議員や医療の専門家は、セバスティアン・ピニェラ大統領の制限解除は時期尚早だったと非難している。

チリ政府は国境を2020年3月に封鎖し、厳格な制限で新規症例の抑え込みに何とか成功した。その後、政府は新規症例が1,000件台まで減少したことを受け、11月に国境を開放し、海外の観光客の受け入れを再開した。

2021年1月/チリの海岸、海水浴を楽しむ人々(ロイター通信)

保健当局などのまとめによると、チリのコロナワクチン接種数は4月15日時点で1,250万回を超えたという。なお、2回目の接種を終えた成人は人口の約22%、430万人に達した。しかし、チリのワクチン展開は12月下旬に始まったばかりであり、1月~2月の夏休み前に接種を終えた人は医療従事者、90歳以上の高齢者、教師などに限られていた。

医療の専門家は地元メディアの取材に対し、「大多数の市民は夏休みまでにワクチンを接種できませんでした」と述べた。「症例の減少と封鎖の解除は、ワクチンを接種していない人たちの大移動を引き起こしました」

教皇庁カトリック大学の免疫学教授、スーザン・ブエノ博士は報告の中で、「最近の急増は様々な問題が組み合わさった結果」と述べ、ブラジルの変異種(P.1)なども大きな影響を与えていると主張した。「マスクの着用や手洗いなどの基本的な感染予防対策も幾分無視されていたと思います。基本的な対策の欠如は感染急拡大を招く要因のひとつであり、それに変異種の流行が重なり、より大きな波の発生につながったと考えられます」

またブエノ博士は国内で展開されたコロナワクチンの機能についても疑問を投げかけている。保健当局のまとめによると、チリで接種されたワクチンの93%以上が中国のシノバックワクチンだという。

シノバックワクチンの臨床試験結果は国によって大きく異なる。ブラジルでは保護率50.4%、インドネシアとトルコの後期臨床試験では、65~83%を示したと伝えられている。

中国疾病対策予防センター(CCDC)の高 福(ガオ・フ)所長は4月10日に四川省成都で開催された会議の中で、「中国のコロナワクチンの保護率はそれほど高くない」と述べ、物議を醸した。

チリ大学は先日、シノバックワクチンの臨床試験結果を公表した。報告によると、2回目の接種を受けてから2週間経過した接種者の保護率は56.5%だったが、「1回目と2回目の間の保護率はわずか3%だった」という。

チリ大学のエニオ・ビバールディ学長は臨床試験結果を説明した会見の中で、「シノバックワクチンの初回投与で得られる効果はゼロと考えた方がよい」と述べた。

医療の専門家も「1回目の接種を終えた750万人以上が大移動を始め、感染拡大につながった可能性がある」と指摘している。

一方、ブエノ博士は、シノバックワクチンもコロナウイルスに対して「一定の効果」を期待できると断言した。「ブラジルの臨床試験の結果は50.4%でしたが、2回目の接種後にコロナに感染した人の多くは軽度または無症状でした。そして、最も重要なことは2回目の接種後にICUに入った人はひとりもいなかったということです。シノバックは重症や死亡を抑え、ブラジルの変異種に対しても一定の効果を期待できることを示しています」

チリ政府は公式ウェブサイトでワクチン接種キャンペーンに関する最新情報を提供している。

<地域・人口・最新の新規症例・10万人当たりの新規症例>
・チリ 1,895万人 9151件 48.3人
・日本 1.26億人 4,572件 3.6人
・大阪府 882万人 1,208件 13.7人
・東京都 927万人 729件 7.9人
・インド 13.6億人 200,739件 14.7人
・ブラジル 2.1億人 73,513件 34.8人
・アメリカ 3.2億人 75,265件 22.9人

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