◎現在の新規雍者数と死亡者数は4月初めのピーク時に比べると減少したが、それでも症例数は60,000件台、死亡者数は3,000人前後で推移している。
2021年4月28日/ブラジル、リオデジャネイロの墓地(ゲッティイメージズ)

保健当局のまとめによると、ブラジルのコロナウイルス累計死亡者数は4月29日に40万人を超えたという。

ブラジルの1日あたりの死亡者数は2月末頃からゆっくりと増加し、4月初めに4,000人を超えた。現在の新規陽性者と死亡者数はピーク時に比べると減少したが、それでも症例数は60,000件台、死亡者数は3,000人前後で推移している。

保健省によると、4月29日の死亡者数は3,001人で、累計は401,186人になったという。

ジャイール・ボルソナロ大統領と閣僚たちは最近の症例数と死亡者の減少および、医療機関の混雑の緩和を歓迎しているが、医療の専門家は、「気を緩めるのは時期尚早」と警告した。

専門家たちはヨーロッパ諸国のように増加と減少を何度も繰り返す事態は避けたいと考えている。AP通信の取材に応じた医師は、「感染が終息する前に規則を緩和もしくは解除すれば、4月初めのような事態に陥る可能性が高い」と警告した。

2021年4月28日/ブラジル、サンパウロの病院の医療従事者(AP通信/Bruna Prado)

コロナウイルス関連のデータを調査しているOur World in Dataによると、ブラジル国内で少なくとも1回ワクチンを接種した人は人口の約13%、完全に接種を終えた人は6%未満だという。

コロナ危機への対応で広範な非難に直面しているボルソナロ大統領はワクチンの接種を拒否したうえで、「州政府はコロナの制御に失敗した」と州知事や市長を非難している。

ボルソナロ大統領は4月29日にソーシャルメディアチャンネルに投稿した動画の中で、珍しく犠牲者を悼んだ。「多数の犠牲者が出たことを残念に思います。私は第三波が来ないよう神に祈っています。しかし、ロックダウンが続けば、ブラジルの経済はガタガタになり、死亡者数はさらに増加するでしょう」

<ワクチン接種数/1回接種した人の割合/4月30日時点
アメリカ:2億3,400万回/43%
中国:2億4,400万回/10%
インド:1億4,700万回/9%
イギリス:4,800万回/50%
ブラジル:4,100万回/13%
ドイツ:2,800万回/26%
トルコ:2,200万回/16%
ロシア:1,900万回/8%
イスラエル:1,000万回/62%
日本:320万回/2%

昨年まで保健省の健康監視局長を務めていた疫学者のワンデルソン・オリベイラ博士は地元メディアの取材に対し、「効果的な対策を講じなければ感染者数は再び増加するだろう」と述べた。「ブラジルはまもなく冬を迎えます。ワクチン接種を加速させなければ第三波の発生を防ぐことはできないでしょう」

「ワクチン接種をさらに加速させれば、2022年の夏は今年とは全く異なるものになると思います」

オリベイラ博士はヨーロッパ式の厳しいロックダウンより緩い封鎖を選択した州の指導者を非難したが、緩い封鎖でもマスクと社会的距離のルールを徹底すれば、感染者数を一定程度まで抑えることはできると強調した。「マスクと社会的距離のルールを全国民が徹底すれば、ワクチン接種が遅れても感染者数を一定レベルまで抑えることはできると確信しています...」

4月24日に公表された国内の死亡診断書のデータによると、ブラジルのコロナワクチンキャンぺーンは高齢者の死亡ペースを抑えていることが分かったという。しかし、ワクチンを接種していない若年層は無防備なままであり、感染力の高い変異種の流行も感染拡大の要因になった。

保健省はワクチンの追加供給が順調に進んでいないことを認めている。当局者によると、インドで生産されるワクチンの輸入停止が供給不足に拍車をかけているという。

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