◎アメリカのワクチン保有量は今回の追加購入で計6億回分になり、18歳以下の全市民をカバーできる量を確保した。
◎一方、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は26日の記者会見で、「裕福な国がコロナワクチンを大量に買い占めている」と述べた。
2021年1月26日 ロイター通信/ワシントンD.C.ホワイトハウス、ジョー・バイデン大統領

1月26日、アメリカのジョー・バイデン大統領はファイザー社とモデルナ社のワクチン、計2億回分を追加購入したと発表した。

バイデン大統領はコロナ対策関連の大統領令に次々と署名し、ワクチン供給体制、検査体制、検疫体制、対策施設の拡充などを進めている。

<1月21日に署名した大統領令の要点>
国防生産法によるワクチン生産および接種の加速
・国防生産法による個人用防護具(PPE)の生産体制強化。
・検査体制の強化。
・ワクチン接種センターの全国展開(全国スタジアム、コミュニティ施設、薬局などを使用)。
・入国者に対する検疫体制の強化。
・マスク着用および社会的距離の規則の制定。
・公共交通機関利用時のマスク着用義務化。
・地方自治体を支援するコロナ対策施設の設置。
・100日以内の学校の再開およびそれに向けた支援の提供。
・教育、保健、福祉部門に学校を安全に再開するガイダンスの作成を指示。

アメリカのワクチン保有量は今回の追加購入で計6億回分になり、18歳以下の全市民をカバーできる量を確保した。

バイデン大統領は声明で、「州に配送する用量を今後3週間で週860万回から1,000万回に増やし、配送量を事前通知する体制を整える」と述べた。

ジョー・バイデン大統領:
「私たちはファイザーとモデルナのワクチンの供給量を短期的に15%以上増やしたうえで、州に配送状況を確実に提示する。100日以内の1億回接種に向けて、ワクチン供給をさらに加速させる」

「私たちは州のワクチン不足を全力で解消する。ただし、人口の大多数が接種を終えるまでには、まだ数カ月かかるだろう。当初の予想より早く皆の手元に届くかもしれないが、ゴールは遠い」

政府はワクチンの供給量を増やすオプションを両社と結んでおり、米主要メディアはまもなく供給増の発表があると予想していた。

トランプ政権はファイザー社と2億回、モデルナ社と2億回分の契約で合意しており、それらは7月までに配送される予定である。

2021年1月21日 Getty Images/カリフォルニア州トーランス、ファイザーワクチン

既に購入していた4億回分だけで2億人にワクチンを供給できるが、集団免疫を確立するためには、さらに数千万人の上積みが必要と考えられている。

一方、食品医薬品局(FDA)はメーカーの研究が完了するまで児童への接種は承認しない方針である。ファイザー社は16歳以上、モデルナ社は18歳以上の市民への接種を認められている。

コロナ対策チームおよび政府高官は追加購入の承認を歓迎したが、今回の2億回分の接種スケジュールは提示しなかった。

また、当局者によると、国防生産法による増産への対応には限界があるという。

バイデン大統領はワクチンだけでなく注射器やその他の原材料の増産も望んでいるが、メーカーの製造工程は複雑なものが多く、できることは限られているという。

当局者はABCニュースの取材に対し、「私たちはメーカーと協力し、市民にワクチンを届けるべく全力を尽くす」と語った。

バイデン大統領は、「コロナから身を守る最良の方法はマスクを正しく着用し、社会的距離を確保し、こまめに手を洗うことだ」と述べた。

ジョー・バイデン大統領:
今、命を守る最良の方法はワクチン接種ではなくマスク着用である。専門家は今から4月までの間、皆がマスクを着用すれば5万人の命が救われると予測している。まずは100日間マスクチャレンジを継続し、コロナから身を守ってほしい」

2020年12月20日 ロイター通信/ミシシッピ州オリーブブランチ、モデルナワクチン

一方、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は26日の記者会見で、「裕福な国がコロナワクチンを大量に買い占めている」と述べた。

ラマポーザ大統領は特定の裕福な国が「総人口の最大4倍のワクチン」を確保し、他の貧しい国の市民を見殺しにしていると主張した。

シリル・ラマポーザ大統領:
「世界的大流行を終わらせるためには大きな協力が必要であり、貧しい国を取り残してはいけない。ワクチンを大量に蓄えている国は、速やかに手元にあるワクチンを放出する必要がある」

「コロナを打ち負かすためには、すべての国にワクチンを公平に分配しなければならない」

ワクチンの分配状況を調査している団体は、「豊かな国(世界の人口の約14%)が、最も有望なワクチンの約53%を購入した」と報告している。

団体によると、「モデルナが2021年に生産を予定している全ワクチン」および、「ファイザーが2021年に生産を予定しているワクチンの96%」は、豊かな国にのみ供給されることが決まっているという。

また、調査の結果、カナダ政府は「総人口の約5倍のワクチンを確保」し、その多くが契約の都合上、最貧国より先に供給される予定と判明した。

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