◎バイデン大統領は100人以上の従業員を抱える国内の全ての雇用主に、従業員へのワクチン接種または毎週のウイルス検査を義務付けた。
2021年9月10日/ワシントンD.C.のブルックランド中学校、ジョー・バイデン大統領とジル夫人(Getty Images/AFP通信)

9月9日、ジョー・バイデン大統領は数千万人の労働者にコロナワクチン接種を強制する新しい連邦規則を発表した。

バイデン大統領は記者団に対し、「私たちは辛抱強く待っていたが、忍耐力は限界に達している」と語った。「ワクチンを拒否した一部の人々のせいで、全国民が犠牲になっています...」

またバイデン大統領は、「ワクチンを拒否する少数派は多くの損害を引き起こす可能性がある」と指摘した。

熱烈な怒りの声明はバイデン大統領の欲求不満を表したものであり、就任当時の「アメリカを癒す」というコメントとは大きくかけ離れていた。バイデン大統領は少数派を叱りつけ、政治的利益のためにコロナワクチンの恐怖を掻き立てる一部の共和党員を厳しく非難した。

「国民に選ばれた公務員の一部は、アメリカとコロナウイルスとの戦いを明らかに邪魔しています。ワクチンやウイルスの政治利用は感染拡大を引き起こし、ワクチン未接種者を死に追いやるでしょう」

バイデン大統領は100人以上の従業員を抱える国内の全ての雇用主に、従業員へのワクチン接種または毎週のウイルス検査を義務付けた。この規則に該当する労働者は約8,000万人と推定されている。

また、連邦政府の医療ケアに関連する医療施設の職員約1,700万人と、行政機関で働く全ての職員および連邦政府と取引を行う請負業者にもワクチン接種を義務付けた。

バイデン大統領は飛行機内でマスクの着用を拒否した個人に2倍の罰金を科すという運輸保安局の新しい規則を全力で擁護し、「違反した者は支払う準備をしなさい」と容赦なく言った。

ホワイトハウスの当局者は、「バイデン大統領は怒りをかき立てようとしているわけではない」と主張し、「新しいワクチン規則は国民の大多数の苛立ちを反映しており、コロナウイルスを抑えるために役立つ」と述べた。

一部の医療専門家も、「デルタ株を打ち負かすためには、ワクチンを拒否している約8,000万人を打ち負かす必要がある」と訴えている。

バイデン大統領の熱烈な声明と新しい連邦規則は共和党の怒りに火をつけた。

サウスカロライナ州の共和党員、ヘンリー・マクマスター州知事は10日、「地獄の門の目の前に立っても、全ての州民の自由と生計を守るために戦う」と誓った。

2024年の大統領候補であるサウスダコタ州のクリスティ・ノーム州知事は、訴訟の準備をしていると述べた。

オハイオ州の上院議席を狙う保守派のジェームズ・デイヴィッド・ヴァンス氏は、「企業はワシントンD.C.のいじめとワクチンを強要する試みを無視しなさい」と呼びかけた。「大規模な市民不服従運動で裸のバイデンの権威主義を打ち負かしましょう」

ミシシッピ州のテイト・リーブス州知事は、「ワクチンは命を救うが、違憲を推進するバイデンは恐ろしい」とツイートした。

テキサス州のダン・クレンショー下院議員はワクチンの安全性を宣伝したうえで、「国民は打つか打たないかを自分の意思で決めることができる」と述べた。

疾病予防管理センター(CDC)のデータによると、少なくとも1回ワクチンを接種した米国民は約2億800万人、接種を終えた人はまもなく1億7,800万人に達するという。しかし、成人約8,000万人は未接種のままであり、デルタ株の感染拡大は勢いを増している。9月9日の新規症例は約17万件、直近1週間の平均症例は1日あたり約15万件、9日の死亡者数は3,200人を超えた。

新しい連邦規則に反対する共和党主導の州の感染状況は軒並み悪化している。人口約88万人のサウスダコタ州の1日あたりの新規症例は5,000件を超えており、全米感染率トップを争っている。州の小規模な医療機関はコロナ患者の波に圧倒され、他の手術を中止し始めた。

人口約470万人のテキサス州ハリス郡の新規症例は7,500件以上、テキサス州全体の新規症例は40,000件近くに達している。

しかし、共和党と一部の組合当局者は、「バイデン大統領は憲法上の権限を超える命令を下している」と主張した。反対派は特に、ワクチンを拒否した労働者数百万人が職を失う可能性があるという点に強い懸念を表明している。

ミシシッピ州のリーブス州知事は、「新しい規則はばかげている」と述べた。

9日の演説で怒りを抑えることに苦労したバイデン大統領は、「一部の選出された政治家は意図的に足を引っ張ろうとしている」とイライラした様子で語った。「一部の政治家はマスクの着用とワクチン接種を推奨せず、遺体安置所にワクチン未接種者の遺体を注文しています...」

主要メディアは法廷闘争に発展すると断言した。

一方、ジョージ・W・ブッシュ大統領の首席補佐官を務め、現在は保守的なロビー活動を組織するビジネス・ラウンドテーブルのCEOとして働くジョシュア・ボルテン氏は、バイデン大統領の政策に賛成するという異常な声明を発表した。「私たちはビジネス・ラウンドテーブルは、コロナウイルスとの戦いにおけるバイデン政権の継続的な警戒を歓迎します...」

ボルテンCEOはバイデン大統領の増税計画には激しく反対している。

国内の産業部門および50州の約14,000の製造企業を代表する全米製造業者協会のジェイ・ティモンズCEOも、バイデン大統領のワクチン規則に肯定的だった。

AP通信とNORC広報研究センターが8月に行った世論調査によると、ワクチン接種を終えた人の約79%がコロナの感染再拡大をワクチン未接種者のせいと考えていることが分かったという。2番目に高かったのは旅行者(32%)、3番目はドナルド・トランプ前大統領(28%)だった。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は10日、連邦政府の規則に反対する政治家の意見を却下した。「新しい連邦規則の発表に反発している政治家がいることを理解してます。本当に残念です。彼らはワクチンが命を救うと知っていながら規則を拒否しています」

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