◎共和党主導の州のワクチン接種率は低迷しており、人口の多いテキサス州とフロリダ州の現在の新規症例は全国の3分の1を占めている。
2021年8月3日/ワシントンD.C.ホワイトハウスのイーストルーム、ジョー・バイデン大統領(スーザン・ウォルシュ/AP通信)

アメリカのジョー・バイデン大統領は3日、フロリダ州とテキサス州の共和党州知事を含む共和党当局者に、コロナウイルス公衆衛生対策の遵守を国民に強く呼びかけるよう促した。

バイデン大統領はフロリダ州のロン・デサンティス州知事とテキサス州のグレッグ・アボット州知事、そしてデルタ株の感染拡大を抑え込むために疾病予防管理センター(CDC)が課した新しいマスクルールを妨害しようとする一部当局者を厳しく非難した。

「あなたたちは国民を助けたくないのですか?助けたくないのであれば、少なくとも正しいこと(ワクチン接種やマスク着用など)をしようとしている人を邪魔しないでください。国民は正しいことをしようとしています。あなたの力を使って国民を助けなさい」

バイデン大統領は、レストランやジムなどの屋内施設を利用する際のワクチン義務化に動いているニューヨーク市と、職場復帰の条件にワクチン接種を加えた企業を支持し、より多くの地域や企業もそれに続くべきだと述べた。しかし、少なくとも7つの共和党主導の州では、ワクチン義務化を含むコロナ対策ルールを阻止する州法や規則を施行もしくは施行に向けた準備を進めている。

共和党主導の州のワクチン接種率は低迷しており、人口の多いテキサス州とフロリダ州の現在の新規症例は全国の3分の1を占めている。

バイデン大統領は「コロナ対策を阻止する州政府は、国民の命を救うために考えを改めなければならない」と警告した。「一部の州当局は、正しいことを禁じる法案を可決しています。現在、7つの州がマスクの義務化を禁止しただけでなく、学校でのマスク着用も禁じました」

テキサス州のアボット州知事はマスク着用と他の感染予防対策の義務化を禁止する行政命令を5日に施行する。

2021年3月2日/テキサス州ラボック、グレッグ・アポット州知事(ジャスティン・レックス/AP通信)

アボット州知事は5日の行政命令に関する声明の中で、「国民にはマスク、事業、休暇の過ごし方、子供の感染予防対策を自分で選ぶ権利がある」と述べた。「国民は個人の権利を保障されています。テキサス州の国民は常に自発的であり、強制されることはありません」

デサンティス州知事はマスク義務化は行わないという約束を守ると誓った。

フロリダ州とテキサス州はワクチン接種の義務化禁止に向けた手続きを進めており、これが施行されれば、州政府だけでなく企業も従業員に接種を義務付けることができなくなる。

バイデン大統領は、両州知事の政策は「州の住民に悪い影響を与えると信じている」と述べた。「デルタ株を侮らないでください。学校のマスク義務化を阻止しないでください。悪い健康政策を推進しないでください...」

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官も定例記者会見でバイデン大統領の叱責に続いた。「テキサス州の教授や教師は予防接種を受けていない学生にマスク着用を求めた場合、罰金を科される可能性があります。何なんですか?何をしたいの?」

サキ報道官は多くの共和党員がワクチン接種とマスク着用を推奨していると述べたうえで、「正しいことをしようとしている人の邪魔をしてはならない」とバイデン大統領のコメントを引用した。

CDCの公式データによると、国内でワクチン接種を終えた人の割合は12歳以上の人口の約58%をようやく超えたという。

バイデン大統領は演説の中で、アフガニスタンを含む60ヵ国以上に1億1,000万回分以上のコロナワクチンを寄付したことを明らかにした。「アメリカは世界の予防接種を支援します。アメリカ人も積極的にワクチンを接種してください」

ホワイトハウスは3日の声明で、アメリカは8月末から5億回分のファイザーワクチンの出荷を開始し、2022年6月までに100の低所得国にワクチンを届けると発表した。また、ワクチンはあくまで寄付であり、見返りは一切求めないと強調した。

2021年7月28日/ユタ州ソルトレイクシティ、フロリダ州のロン・デサンティス州知事(AP通信/リック・ボウマー)
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