◎19日の新規陽性者数は過去最多を更新する15,809件、直近1週間の陽性者は10万人あたり1,000件を超えた。
2021年11月19日/オーストリア、首都ウィーンの繁華街(Lisa Leutner/AP通信)

11月19日、オーストリア政府はコロナウイルス陽性者が過去最多を再び更新したことを受け、22日から完全封鎖に移行すると発表した。また、来年2月からコロナワクチン接種を義務化することも明らかにした。

オーストリアはグリーンパス(コロナワクチンパス)システムをすでに導入しており、今月初めにはワクチン未接種者限定の外出禁止令を発効したが、感染を抑え込むことはできなかった。ワクチン接種を終えた人は11月18日時点で人口の約66%、EU平均より少し低い。

アレクサンダー・シャレンバーグ首相は記者会見で、「完全封鎖は12月12日まで続く予定だが、10日間後に再評価する」と述べた。

AFP通信などによると、規則に従わなかった者には罰金が科される予定だという。詳細はまだ明らかにされていない。対象は全国。

またシャレンバーグ首相は、「2022年2月1日からコロナワクチン接種を義務化する」と述べ、コロナウイルスの感染拡大を抑えるためにはワクチン接種が欠かせないと国民に強く呼びかけた。「ワクチン接種がこの悪循環から抜け出す唯一の方法です。私たちは第5波を望んでいません。第6波も第7波も望んでいません...」

保健当局によると、19日の新規陽性者数は過去最多を更新する15,809件、直近1週間の陽性者は10万人あたり1,000件を超えた。ただし、死亡者は昨年冬のピーク時をはるかに下回っている。オーストリアの人口は大阪府とほぼ同じ。

完全封鎖に移行すると、労働者はテレワークを強く求められ、必要不可欠な店舗(食料品店や薬局など)以外は全て閉鎖される。学校の対面授業は医療やインフラ部門で働く労働者のために維持する予定。

保健相は19日、「幼稚園と学校は閉鎖しない予定だが、可能であれば子供も自宅にとどめてほしい」と国民に呼びかけた。

首都ウィーンの繁華街でAPA通信社の取材に応じた多くの人々が完全封鎖を歓迎し、ある女性は「もっとも早く封鎖すべきだった」と述べた。

国内の主要な医療機関も政府の決定を歓迎した。集中治療医学会のウォルター・ハシベダー会長はAPAに、「病棟が”浸水”するのは時間の問題」と語った。「死亡者は昨年のピーク時に比べると低く抑えられていますが、このレベルの新規陽性が続くと、全国の集中治療室と病床はすぐ満床になるでしょう...」

APAによると、オーバーエスターライヒ州とモーツァルト生誕の地であるザルツブルク州の状況は特に深刻だという。ザルツブルク州の直近1週間の10万人あたり陽性者は全国平均の約2倍。

世界保健機関(WHO)欧州地域ディレクターのハンス・クルーゲ博士は19日の声明で、今年も厳しい冬になると警告し、「感染予防対策の緩和、ワクチン接種の低迷、デルタ株の蔓延がパンデミックを引き起こした」と述べた。

ロシアの19日の死亡者は過去最多の1,254人。

ハンガリーの新規陽性者は今年春のピーク時に迫る勢い。

ベルギーは20日から厳しい制限を導入する。労働者は週4日のテレワークを求められる。

スロバキアは22日からワクチン未接種者限定の外出禁止令(部分封鎖)を発効する。チェコも同様の制限を検討中。

オランダは今週、部分封鎖に移行した。

イギリスはWithコロナ政策を維持。

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