ベラルーシ共和国の国旗

目次

 基本情報

 政治

 渡航情報

 マスメディア

 軍隊

 歴史
  ・1700年代
  ・1800年代
  ・1900年~第一次世界大戦
  ・第一次世界大戦~第二次世界大戦
  ・終戦から現在
  ・ベラルーシの抗議(2020年)

 文化

 スポーツ

 その他

基本情報(目次に戻る

国名:ベラルーシ共和国(Republic of Belarus)

首都:ミンスク(Minsk)

人口:9,527,543人(2020年推定)

面積:207,560㎢(本州とほぼ同じ)

気候:大陸性気候
・穏やか。
・真夏(7月)の平均気温は北部が17~18℃、南部は18~19℃。
・真冬(1月)の平均気温は北東部がー8℃、南西部はー4~5℃ほど。
・年間降水量は500~700mm。
・年間降水量過去最高は1,115mm、最低は298mm。
・湿度が高く、30%以下になることはほとんどない。
・深刻な大気汚染に悩まされている。
・チェルノブイリ原発事故の放射線汚染エリアは、無期限立ち入り禁止。

経済:
・開発途上国
・ソビエト連邦崩壊後、深刻な不況に直面した。
GDPは約630億ドル(2019年)
・公式失業率は1%未満。
・世界銀行が推計した失業率は約7%。
・経済の専門家が調査した失業率は15~24%。
・主要産業は機械・金属加工業と農業。
・2000~2014年のGDP年間成長率は7~10%。
・コロナウイルスによる経済活動への影響は、西側諸国に比べると小さかった。
・ロシアと蜜月関係を構築している。
・年間輸出額の40~45%がロシアへの輸出。
・国内で最も価値のある天然資源は泥炭。燃料、肥料、化学産業などに利用されている。
・2015年に施行された「失業者に罰金を科す」法律は、ソビエト連邦時代を思い起こす悪法とメディアから厳しく非難された。

人種:
・ベラルーシ人 84.9%
・ロシア人 7.5%
・ポーランド人 3.1%
・ウクライナ人 1.7%
・ユダヤ人 0.1%
・アルメニア人 0.1%
・その他 2.6%

言語:
・ロシア語(公用語)
・ベラルーシ語(公用語)
・トラシャンカ語
・英語
・ベラルーシ人の約30%がベラルーシ語を読み書きできる。
ベラルーシ人の約50%がベラルーシ語を読み書きできない

宗教:
・東方正教会 48.3%
・カトリック 7.1%
・その他 3.5%
・無宗教 41.1%

ベラルーシ共和国

政治(目次に戻る

大統領:アレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)
首相:ロマン・ゴロフチェンコ(Roman Golovchenko)

政治体制:共和制
・ルカシェンコ大統領はヨーロッパ最後の独裁者と呼ばれている。
・二院制(参議院と下院)
・議会はルカシェンコ大統領率いる与党に支配されている。
・選挙はルカシェンコ大統領に支配されている。
・司法はルカシェンコ大統領に支配されている。
・反抗的な野党議員は逮捕、拷問、投獄される。
・反抗的な市民は逮捕、拷問、投獄される。
・反抗的なジャーナリストも逮捕、拷問、投獄される。
・ロシアと蜜月関係を構築している。
・アメリカとEUはルカシェンコ大統領の再選を認めていない。
・欧州評議会のメンバーではないため、欧州人権条約に拘束されない。

法律:ベラルーシの憲法
欧州で唯一死刑制度を採用している
・憲法で司法の独立を保障しているが、現実はルカシェンコ大統領の支配下に置かれている。
・政府もしくは大統領を批判すると禁固刑。

Getty Images/ベラルーシ、首都ミンスク、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領

渡航情報(目次に戻る

渡航情報:
外務省ホームページ
・一部地域で注意情報発令中(2020年11月時点)
・コロナウイルス注意情報発令中(2020年11月時点)

治安:普通
・チェルノブイリ原発事故の影響エリア(南東部)あり。
・近年、国内でテロは発生していない。
2020年8月から首都ミンスクなどの都市部で大統領に対する抗議活動が継続中
・警察の取り締まりが強化されているため、トラブルに巻き込まれる可能性あり。

マスメディア(目次に戻る

・新聞社は数百社。民間は政府の許可を得なければならない。
・国営テレビチャンネルは30以上。全てルカシェンコ大統領の支配下に置かれている。
・民間テレビチャンネルは40以上。政府の許可を得なければならない。
・ラジオ局は100以上。民間は政府の許可を得なければならない。
・インターネットの検閲は極めて厳しい。
言論と報道の自由は保障されていない
・反抗的なジャーナリストは逮捕、拷問、投獄される。
・政府や大統領を批判する記事を書く、もしくは報道を行うと逮捕、拷問、投獄される。

【国営メディア/設立年】
・ベラルーシ国営テレビ・ラジオ会社 1956年
・ベラルーシ全国テレビ 2002年

【民間メディア】
・Belsat TV
・ベラルーシTVチャンネル
・ベラルーシ24

2020年10月24日 AP通信/ベラルーシ、首都ミンスクでの抗議活動、ルカシェンコ大統領の辞任と再選挙を求める女性たち

軍隊(目次に戻る

2020年軍事力ランキング:53位

・軍人数:345,500人(推定)
  即戦力 45,500人
  予備兵 300,000人

・陸軍と空軍を保有

・国防予算:6.2億ドル

歴史(目次に戻る

1700年代

・1700年代、現在のベラルーシ共和国の領土は、広大なポーランド・リトアニア連邦の一部だった。

・ロシア、スウェーデン、ブランクブルク、トランシルバニアのツァーリ王国などとの戦争に巻き込まれ、ひどく荒廃した。

・1600年~1700年代の戦争で人口の半分を失ったと伝えられている。

・1700年代後半、アンドリュー・タデウスボナベンチャーコジオスコがベラルーシ、ポーランド、リトアニアの国民蜂起を指揮したが、鎮圧された。

・1795年、ベラルーシは隣国ポーランドによって分割され、その後、ロシア帝国に併合された

1800年代

・1830年代半ば、民族史に関連する芸術作品が登場し始める。

・1860年代、工業化が進む。また、農奴隷制度が撤廃された。

・1863年1月、ロシア帝国の支配に対抗する「1月蜂起」勃発。(ポーランド連合軍vsロシア帝国)

・1864年6月、1月蜂起終結。ロシア帝国の勝利。

・1864年、ロシア帝国によるキリル文字の導入、ラテンアルファベットの使用は禁止された。

・1897年、ロシア帝国による国勢調査。

・工業の発展(産業革命)に伴い、人口が急増した。

・約150万人がベラルーシを離れ、他国に移住した。

・反ロシア、反ポーランド、革命を訴える個人や団体が数多く活動していた。

ベラルーシ共和国/首都ミンスク

1900年~第一次世界大戦

・工業の発展に伴い、ベラルーシ人の生活水準は大きく向上した。

・1904年2月8日、日露戦争勃発。

・1905年1月、ロシア革命(1次)勃発。

・1905年9月、日露戦争終結。ロシア帝国、敗れる。

・1907年6月、ロシア革命(1次)終結。革命軍は敗れ、ニコライ2世が王位を保持。

ニコライ2世がベラルーシ語をその土地の公用語に認める

・1914年7月28日、第一次世界大戦勃発。

・大戦中、ベラルーシは戦闘の最前線に立っていた。

・1917年3月8日、ロシア革命(二月革命)勃発。同月16日終結。革命軍の勝利。

・1917年10月25日、十月革命勃発。革命ロシアを率いるボルシェビキ党が勝利する。

・1918年2月、首都ミンスクがドイツ軍の占領下に置かれる。

・1918年3月25日、「ベラルーシ人民共和国(BPR)」が独立を宣言。

・ドイツ政府はベラルーシ語の学校設立を許可した。

・1918年11月1日、第一次世界大戦終結。

第一次世界大戦~第二次世界大戦

・1918年12月3日、ドイツ軍が首都ミンスクから撤退。

・1918年12月10日、ソビエト軍が首都ミンスクを占領。大国の圧力に屈したベラルーシ人民共和国評議会のメンバーは他国に亡命した。

・1919年1月2日、「ベラルーシソビエト社会主義共和国(SSRB)」誕生。

・1919年2月14日、ポーランド・ソビエト戦争勃発。

・1919年2月17日、「リトアニア=白ロシア・ソビエト社会主義共和国(LBSSR)」誕生。同年7月17日廃止。

・1919年8月8日、ポーランド軍がベラルーシの首都ミンスクを占領。

・1920年7月31日、「ベラルーシソビエト社会主義共和国(SSRB)」再建。

・1920年10月18日、ポーランド・ソビエト戦争終結。ポーランドの勝利。SSRBはポーランドとソビエトの間で分割された。

・「ポーランドベラルーシ(西ベラルーシ)」はソビエト文化を排除した。

・「ソビエトベラルーシ」はこれまでの体制を維持した。

・1930年代、ベラルーシの公式組織は消滅。ベラルーシ語を教える学校も激減した。

・1939年9月1日、ソビエトがポーランドに侵攻。第二次世界大戦勃発。

・西ベラルーシはソビエト化し、数万人が投獄、国外追放もしくは殺害された。

・1941年6月22日、ナチスドイツがソビエトに侵攻。

・1941年8月末、ナチスドイツがベラルーシの領土を支配下に置く。

・ナチスの占領下にあった約3年間で100万人以上のベラルーシ人(ポーランド人とユダヤ人含む)が殺害されたと伝えられている。

・ベラルーシの人口は第二次世界大戦で4分の3に減少。9,000以上の村と120万以上の家屋を失い、都市インフラの80%以上が破壊された。

・1945年9月、第二次世界大戦終結。

終戦~現在

・1945年、ベラルーシソビエト社会主義共和国(SSRB)の工業生産は、戦前の20%未満にまで落ち込んだ。

・1950年~1980年代、SSRBはソビエトの支援を受けつつ、製造産業の回復を推し進めた。

・ロシア語が行政の公用語になった。

・1986年4月26日、チェルノブイリ原発事故発生。放射性降下物の60%がSSRBに降り注いだ。(推定)

・原発事故の影響で、SSRBの国土、約50,000㎢の範囲の住民、約220万人が影響を受けた。放射線モニタリングは現在も続けられている

・1991年12月10日、「ベラルーシ共和国」が独立を宣言。

・1991年12月25日、ソビエト消滅。ロシア連邦誕生。

・1994年3月15日、憲法制定。

・1994年7月20日、アレクサンドル・ルカシェンコが大統領に就任。「ルカシェンコ独裁時代」の始まり。

・2010年、ルカシェンコ大統領の再選に抗議する集会が各地で開催され、警察は7人の大統領候補を逮捕、数百人を暴行した。

10月25日 Getty Images/ベラルーシ、首都ミンスク、抗議活動に参加した女性たち

ベラルーシの抗議(2020年)

・5月4日、野党および数百人の抗議者がルカシェンコ大統領の大統領選立候補に抗議。

・5月、野党の有力候補、シャルヘイ・ツィハノウスキー氏が逮捕、拘留される。その後、妻のスヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏が立候補を表明。野党連合を率いることになった。

・5月~6月、首都ミンスクやその他の都市で抗議活動が行われ、数十人が逮捕された。

・6月5日~7日、約5,000人が平和的な抗議集会でルカシェンコ大統領の辞任を求め、警察と衝突。

・7月30日、野党党首のスヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏の集会に数万人が集まり、自由で公正な選挙を訴えた。

8月9日、ルカシェンコ大統領が票の80%を獲得、6期目の当選を決める。しかし、全国で行われた出口調査の結果によると、ツィハノウスカヤ氏支持が70%に達していたという。

・8月9日、首都ミンスク封鎖。

・8月9日、首都ミンスクに数万~10万人以上(推定)が押し寄せ、不正選挙に抗議した。これに対し警察はゴム弾、催涙ガス弾、スタングレネード、放水砲などで応酬。1晩で約7,000人以上を逮捕した

・8月9日の抗議活動で少なくとも抗議者50人が病院に搬送され、何人かは重篤な状態に陥り、1人が死亡した。

・8月10日、当局はツィハノウスカヤ氏を約7時間拘束、その後、隣国リトアニアに強制亡命させた。

・8月14日、EU、ベラルーシに対する制裁を準備すると発表。

・8月16日、ルカシェンコ大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談。プーチン大統領の支援を取り付ける。

・8月19日、ルカシェンコ大統領、ロマン・ゴロフチェンコ首相および内閣の続投を承認。

・8月22日、ルカシェンコ大統領、抗議活動を厳しく取り締まると宣言。

・8月25日、ルカシェンコ大統領、ロシアから750億ルーブル(約1,070億円)を借り入れることに合意。

・8月27日、ロシアのプーチン大統領、抗議者たちがルカシェンコ大統領を力で排除しようとした場合、治安維持部隊を投入するかもしれないと示唆。

・8月29日、ベラルーシ当局、主要海外メディアのジャーナリストに与えていた取材認定を取り消す。

・8月30日、野党連合、首都ミンスクで10万人規模の大規模な抗議集会を開催。(この規模の集会は3週連続)

・8月31日、ルカシェンコ政権と交渉するために設立された野党調整評議会メンバー、リリア・ブラソワ氏拘束。その他の野党指導者も次々に拘束された。

・9月4日、ツィハノウスカヤ氏が国連安全保障理事会で演説。選挙の不正を正し、ルカシェンコ大統領へのさらなる制裁を要請した。

・9月7日、大統領選挙に立候補した野党党首のひとり、マリア・コレスニコワ氏が覆面をした複数の男たちに拉致される。

・9月8日、ツィハノウスカヤ氏が欧州評議会で演説。

・9月23日、ルカシェンコ大統領が大統領就任式を強行。各国から猛批判を受ける。

・10月1日、EU、ベラルーシ高官への制裁に合意。

・10月11日、野党連合、10万人規模の抗議集会を開催。(9週連続)

・10月12日、ベラルーシ内務省、「必要に応じて抗議者への銃の使用を許可する」と発表。

・10月24日、アメリカのマイク・ポンペオ国務長官とルカシェンコ大統領が電話会談。

・10月26日、野党連合、ゼネラル・ストライキの開始を宣言。

・11月6日、EU、ルカシェンコ大統領と息子のヴィクトル氏を当局のブラックリスト(制裁対象)に加える。

【EUの制裁】
・EU加盟国への入国禁止。
・EU加盟国内に保有する資産の凍結。
・EU市民および企業への貸付禁止。

・11月12日、抗議集会に参加していた31歳の野党指導者、ラマン・バンダレンカ氏が治安維持部隊に殺害される。

・11月15日、治安維持部隊、数万人規模の抗議集会を急襲し、1,000人以上を逮捕。

・11月27日、ルカシェンコ大統領、新しい憲法が採択された場合、辞職すると示唆。ただし、改正内容や時期については一切言及せず。

・12月、国連、ベラルーシ市民の置かれている状況を嘆き、取り締まりの強化が虐待や拷問につながると懸念を表明。

・12月13日、抗議活動は4か月を超える。

EPA/野党党首スヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏、リトアニアに亡命中

文化(目次に戻る

・ベラルーシの文化は、ロシアとルカシェンコ大統領の影響を強く受けている。

・政府はポピュラー音楽の発展を抑制し、ミュージシャンに圧力をかけている。

・イベントやフェスティバルは政府の許可を得なければならない。

・ベラルーシ料理のルーツは欧州とスラブ料理。

・ライ麦パンを好む。(小麦は気候の影響でうまく育たない)

・人気食材はジャガイモ、キャベツ、乳製品、ポークウィンナー。

スポーツ(目次に戻る

・オリンピック委員会の委員長はルカシェンコ大統領。(この地位を保持する唯一の国家元首)

・ルカシェンコ大統領はスポーツ選手を応援している。

・人気スポーツはアイスホッケー、テニスなど。

・体操強豪国。

・オリンピックの獲得メダル数は52個。

【有名スポーツ選手】

・ビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka)テニス選手。グランドスラム優勝、オリンピック金メダリスト。

・インナ・ジューコワ(Inna Zhukova)体操選手。オリンピックメダリスト。

・ダリア・ドムラチェワ(Darya Domracheva)バイアスロン選手。オリンピック金メダリスト。

その他(目次に戻る

・ベラルーシは戦前から現在まで、ロシアの影響を強く受けている。

アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の独裁(26年以上)と不正選挙に抗議する大規模集会は現在も続いている

ベラルーシ共和国/トロリーバス
スポンサーリンク