世界保健機関(WHO)、フェイスマスクに関連するガイドラインを大幅に変更

コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく、世界中でフェイスマスクの着用が義務化される中、世界保健機関(WHO)もガイドラインの大幅な変更を実施した。

これまでWHOは、健康な人のマスク着用を推奨していなかった。マスクは医療関係者およびウイルスに感染した者だけが着用すべきであり、仮に着用したとしてもウイルスの飛沫を100%防ぐことはできず、また、感染予防に効果的という科学的な証拠はないと主張していたのである。

また、マスクを推奨し国民がそれを買い求めると、医療関係者への供給に支障が出る可能性もあった。さらに、「マスクさえあれば大丈夫」「社会的距離も必要ない」という誤った認識が広がることを懸念していたとWHOは説明している。

5日に公表された新しいガイドラインには、マスクがウイルスの飛沫を抑え、感染拡大防止に効果を発揮すると記載されている。

WHOのテクニカルリードエキスパートであるマリア・ヴァン・ケルホーブ博士はロイター通信の取材に対し、「感染のリスクがある地域においては、布製マスク、つまり非医療用マスクの着用を推奨する」と述べた。

マスクに関する新しいガイドラインは、ここ数週間の研究結果に基づいて変更された。また、マスクは感染リスクを軽減するツールのひとつに過ぎず、最も重視すべきは社会的距離の確保であることも明記されている。

同日記者会見を行ったテドロス事務局長は、「マスクだけでコロナウイルスから身を守ることはできない。あくまでツールのひとつに過ぎず、社会的距離を確保し、人込みを避け、手洗いをしっかり行うことが大切だ」と述べた。

マスクはコロナウイルス時代の始まり象徴する必須アイテム
ロナウイルス/マスク着用を推奨する国、しない国
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布製マスクの着用方法

医療用マスクの着用方法

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ガイドライン見直し

今回のガイドライン見直しは、マスク着用義務化を”検討している”世界各国に大きな影響を与えるだろう。公共交通機関の利用など、特定の条件下ではなく、”感染のリスクがある地域”と明記されたことも英断と言える。

欧州各国は、公共交通機関や特定のエリア(飲食店、スーパーマーケットなど)でのマスク着用を義務化しているが、その他のエリアでは着用しなくてもよいことになっている。

一部の専門家は、マスクつけ外し時の感染リスク(手に付着したウイルスが口や目から侵入する)を指摘している。すなわち、外出時はマスク着用を義務化すべきということだ。ただし、飲食店やカフェでは、社会的距離を確保し、手をしっかり消毒すればよい。

また、社会的距離をどうしても確保できない場所、エリアでは、WHOのガイドラインに従い、マスク着用を義務化すべきだろう。電車やバスなどの公共交通機関はもちろん、「貧困地域」「難民キャンプ」なども同様である。

マスクの効果に疑問を抱いていた国、着用が定着しなかった国も、WHOがガイドラインにしっかり明記したことで、義務化のハードルは一気に下がったと思われる。

先週末、WHOはコロナウイルスの感染リスクにおける新たな証拠を公表した。調査結果によると、ウイルスに感染してから症状が現れるまでの数日間は、ウイルスの感染力が強くなるという。また、無症状患者についても同様、感染してから数日間は、第三者にウイルス移してしまうリスクが高まるのだ。

そのため、感染のリスクがある地域、社会的距離を確保できないエリアでは、パンデミックやクラスターを防ぐために、ぜひマスクを着用してほしい。

また同ガイドラインには、60歳以上で健康状態に不安のある方および疾患を抱えている方においては、布製マスクではなく、医療用グレードのマスク着用を推奨している。

世界の動き

●ブラジル、ボルソナロ大統領がWHO脱退を示唆。感染拡大防止に伴うロックダウン措置などの推奨を否定し、体制とガイドラインの見直しを要求した。

●トランプ大統領、先週WHOとの関係を終了させると発言。「中国寄りの体質改善を要求したが、それは叶わなかった」と述べた。

●イギリス政府、病院訪問者および外来患者のマスク着用を義務化。また病院スタッフにおいては、臨床環境外でも医療用マスクの着用を義務化すると発表した。このガイダンスは6月15日に発効される。

●オーストラリア、ニューサウスウェールズ州の裁判所は、連邦政府によるジョージ・フロイド氏関連の抗議活動(Black Lives Matter)禁止令を覆した

●EU、加盟国間の国境閉鎖を6月末までに解除する方針。

●カリフォルニア州、6月12日から映画、テレビ、音楽制作を許可する予定。

●ポルトガル、ロックダウンの段階的緩和に伴い、7日からビーチを再開。

●ポーランド、ジムとスイミングプール、遊園地を再開。

●オーストリア、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が公演を再開。

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