コロナウイルスの感染拡大により、UEFAは難しい舵取りを迫られている

UEFA(欧州サッカー連盟)は21日のビデオ会議で、2019-2020年シーズン終了の計画(方法)を全55協会に提供する予定と発表した。

欧州サッカーの運営協会は、8月までに今シーズンを終了させたいと考えていた。しかし、コロナウイルス感染拡大の影響で全てのリーグが中断されており、期限内に間に合うかは不透明な情勢だ。

UEFAは二つのワーキンググループを立ち上げている。日程を調整するチームは、様々な提案(リーグの中断、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの取り扱いなど)を遅くとも5月中に各協会、リーグへ提示したいと考えている。

しかし、ここでもコロナウイルスの感染拡大と不確実性の高まりが大きな問題を引き起こしている。ドイツやデンマークの一部のリーグでは、5月中の再開を楽観的に協議しているという。一方、イタリア、スペイン、イギリスなど、ウイルスの影響を大きく受けているリーグは早くて6月、さらに中断期間を延ばす、という意見が大勢を占めているようだ。

UEFAは例年通りの形式で各リーグ、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグなどを完了させたいと考えている。しかし、大半の協会関係者はこの考えを非現実的、この時世でいつも通り試合を開催するなど不可能、と最悪の事態を想定しているという。

欧州サッカーリーグの頂点を決めるチャンピオンズリーグの中止は、UEFAにとって最も避けたい事態。現在、トーナメント形式の見直し、決勝戦以外の試合も1回勝負にする、期間を短縮、無観客開催さど、様々な対策を議論中だという。

21日のテレビ会議でUEFAは、2019-2020年シーズンの取り扱い、大まかな指針を提示するものと思われる。その2日後にはUEFA実行委員会会議も開催される。なお、EURO2020の1年延期は確定済み

コロナウイルス感染拡大により、欧州サッカーは危機的状況に追いやられている。2019-2020年シーズン、チャンピオンズリーグが中止となれば、数十億ドルの損失を被ることは確実であろう。しかし、最も手痛い損害を受けるのはUEFAではない。

全世界から注目されるメガクラブ(バルセロナ、レアル・マドリード、リバプール、マンチェスターUなど)は、コロナショックに耐え、存続する可能性が極めて高い。財政基盤が安定しているため、スポンサー、パートナー、広告、チケット収入などを失っても、ある程度の赤字であれば耐え抜くはずだ(と信じたい)。

これに対し、財政基盤の脆弱な弱小クラブはどうか。試合が行えず、収入を得られねば、リーグからの撤退も十分あり得るだろう。トップリーグに属さないクラブであればなおさらだ。

一部の関係者は、「無観客」になろうとも、2019-2020年シーズンは終わらすべき、と主張。一方、コロナウイルス感染拡大のリスクをとってまで、試合を行うべきではない、そもそもファンのいない中で試合を行うこと自体間違っている、という関係者もいる。

リーグ再開反対派の主な意見は以下の通り。

再開反対派の意見評価
選手、選手の家族、その他関係者、スタッフの命が大切
無観客試合は無意味×
コロナウイルスが終息してから再開しても遅くない

リーグ再開賛成派の主な意見は以下の通り。

再開賛成派の意見評価
事前に検温、健康観察を実施したうえで試合を開催。仮に感染者が一人でも確認されたら、中止もやむを得ない
無観客試合でもテレビ中継される、スポンサー収益も期待できる
収益を上げ、弱小クラブを守らねばならない

リーグを再開させれば、コロナウイルスのさらなる感染拡大を招く恐れがある。さらに、選手、選手の家族、スタッフなども命の危険にさらされるだろう。ただし、事前に検温、健康観察を行ったうえで試合を行う、という選択肢もある。仮に感染者が一人でも出れば、中止もやむを得ないだろう。

さらに、無観客試合であっても一定のスポンサー料、広告料などの収益を期待できる。これにより弱小クラブが救われるかもしれない。また、テレビ中継が再開されれば、ロックダウンで自宅に待機せざるを得ない人々に素晴らしい娯楽を提供できる、という意見もある。

コロナウイルスの終息は全く見通せない状況だ。安全を確保した上でリーグを再開し、収益を確保するか。感染拡大のリスクは避けるか。UEFAは難しい舵取りを迫られている。

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