東京パラリンピックに登場する、もしくは登場する予定の超一流アスリート(その2)を紹介する。なお、個人的な主観で選んでいることをご理解いただきたい。日本代表パラアスリートの前に立ちはだかる強豪国の超人たちは、国の誇りとプライドをかけて競技に臨む。常人離れした実力は、真夏の東京を熱く盛り上げるだろう。
※2020年3月25日、東京オリンピックおよびパラリンピックの1年延期が決定!

目次

 1.陸上競技
    女子:タチアナ・マクファーデン(アメリカ)
    女子:マルルー・ファン・ライン(オランダ)
 2.アーチェリー
    女子:周佳敏(中国)
    女子:ザーラ・ネマティ(イラン)
 3.バドミントン
    女子:ジュリアナ・ポベダ (ペルー)
 4.ボッチャ
    男子:ワッチャラポン・ボンサー(タイ)
 5.カヌー
    男子:カーティス・マグラス(オーストラリア)
    女子:エマ・ウィッグス(イギリス)
 6.自転車競技
    男子:ウィル・グルックス(アメリカ)
    女子:サラ・ストーリー(イギリス)
 7.馬術
    女子:ナターシャ・ベイカー(イギリス)
    女子:ソフィー・クリスチャンセン(イギリス)
 8.5人制サッカー
    ブラジル代表
 9.ゴールボール
    男子:リトアニア代表
    女子:トルコ代表
10.柔道
    男子:ラミル・ガシモフ(アゼルバイジャン)
    女子:サンドリーヌ・マルティネ(フランス)
11.パワーリフティング
    男子:シアマンド・ラーマン(イラン)
    女子:ジョセフィーヌ・オルジ(ナイジェリア)

まとめ

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2016年リオパラリンピック『陸上競技』のメダリスト(抜粋)は以下の通りである。

種目
女子100mT43/44マルルー・ファン・ライン
(オランダ)
イルムガルト・ベンズーザン
(ドイツ)
ネイシア・ケイン
(トリニダード・トバゴ)
女子400mT54タチアナ・マクファデン
(アメリカ)
シェリ・マドセン
(アメリカ)
鄒麗紅
(中国)
女子5000mタチアナ・マクファデン
(アメリカ)
チェルシー・マクラマー
(アメリカ)
アマンダ・マクグローリー
(アメリカ)
男子4×100mリレー
T11-13
ブラジル中国ウズベキスタン

 パラ陸上はパラリンピック競技の中で最多の種目数を誇る。障がいの種類によって細かくクラス分けされており、選手たちが同じ条件で競技に臨めるよう配慮されているためだ。例を挙げると、脳原性まひを持つ車いす選手と持たない選手が同一競技/レースに出場することはない

 近年義肢の性能は年々向上しており、パラアスリートたちの記録は劇的に向上。特にスポーツ用義足はパラアスリートの潜在能力を引き出すと同時に、テクノロジーの力も融合され、驚異的な記録が誕生することも珍しくない。なお、高速走行を可能とする「レーサー(車いす)」を使うマラソンの世界記録は「1時間20分14秒」、健常者のマラソン世界記録「2時間1分39秒」と比較すれば、その凄まじさを理解できるはずだ

【種目※障がいの種類によるクラス分けあり
トラック
・100m(男子/女子)
・200m(男子/女子)
・400m(男子/女子)
・800m(男子/女子)
・1500m(男子/女子)
・5000m(男子/女子)
・4×100mメドレーリレー(混合)
フィールド
・走幅跳(男子/女子)
・こん棒投(男子/女子)
・円盤投(男子/女子)
・やり投(男子/女子)
・砲丸投(男子/女子)
ロード
・マラソン(男子/女子)

タチアナ・マクファデン(アメリカ)

 ソビエト連邦出身の『タチアナ・マクファデン(Tatyana McFadden)』は、アメリカを代表する超一流パラアスリートのひとりである。1989年、同選手は二分脊椎(脊椎の異常)を患った状態で生まれ、車椅子のない貧しい孤児院で育てられた。

 1994年、米国保健省の障がい委員を務めていた女性が孤児院を訪れ、そこでタチアナと運命的な出会いを果たす。女性は車椅子を与えられず地面を這って移動する少女の養母となり、タチアナはマクファデンと名乗ることになった

 アメリカに移住した同選手は、ソビエト(ロシア)の孤児院で決して諦めないことを学び、たくましく成長。8歳の頃にパラ陸上と出会い、持ち前のガッツでメキメキと実力をつけた。2004年アテネ大会、15歳になったタチアナ・マクファデンはアメリカ代表に選出され、パラリンピック初出場を果たす。しかし、伝説はまだ始まってもいなかった。

 2012年ロンドン大会では車いすに関連するトラック競技で3冠を達成2016年リオ大会は4冠、女子100mとマラソンに同時出場、メダルを獲得するという離れ業も披露した。同選手が国際大会で獲得したメダルは39個(うち金25個)、どん底からはい上がった少女はパラアスリート界の頂点に立った。

 2020年東京大会、タチアナ・マクファデンは女子100m、400m、800m、1,500m、5,000m、マラソン、4x100mリレーでのアメリカ代表入りを確実視されており、全種目金メダルを狙うと明言した。7冠を達成すればパラ陸上および陸上界初の快挙である。限界を決めず決して諦めない超人は、前人未到の領域に足を踏み入れようとしている。

まとめ
同選手はソビエト(ロシア)の孤児院で決して諦めないことを学び、どん底からはい上がった
2020年東京大会には、7種目での出場が確実視されている。狙うは前人未到のパラ陸上7冠

選手名タチアナ・マクファデン
(Tatyana McFadden)
出場競技/種目女子400mT54他
パラリンピック出場実績2004年アテネ/銀メダル他
2008年北京/銀メダル他
2012年ロンドン/3冠
2016年リオ/4冠
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/25個
銀メダル/10個
銅メダル/4個

外部サイトへのリンク
タチアナ・マクファデン 公式webサイト

マルルー・ファン・ライン(オランダ)

 先に述べた通り、スポーツ用義足(ランニングブレード)の性能は年々向上しており、健常者を超える記録が出ることも少なくない。しかし、素晴らしいテクノロジーがあっても、それを使いこなすパラアスリートが努力を怠れば、平均的な記録から脱することは決してできない。

 ここで紹介する『マルルー・ファン・ライン(Marlou van Rhijn)』は、先天性の病で下肢が太ももまで欠損している。しかし、幼い頃から様々なスポーツにチャレンジし、義足のパラ水泳選手として世界選手権、欧州選手権等に出場し結果を残した。

 2010年、当時19歳だったマルルー・ファン・ラインはパラ陸上への転向を決意、驚異的な進歩を遂げるランニングブレードでのトレーニングを開始した。しかし、同製品を使いこなすにはかなりの時間を要し、無理をすると装着部の負傷、大けがを誘発する可能性もある。同選手は2年に及ぶ過酷なトレーニングを乗り切り、ランニングブレードをコントロールできるようになった。

 同選手は2012年ロンドン大会のパラ陸上代表に選ばれ、「女子200mT44」で金メダルを獲得、競技を始めて僅か2年で結果を残せた理由は本人の努力以外にない。さらに2016年リオ大会では女子100mと200mの2冠を達成し、パラ陸上女子短距離界の頂点に立った。なお、同選手は女子100m、200m、400mで世界記録を保持している

 マルルー・ファン・ラインが国際大会で獲得したメダルは14個(うち金12個)2020年東京大会への出場権も既に獲得しており、世界記録更新と金メダルを狙い過酷なトレーニングを継続しているという。また同選手は、障がいを持つ子供向けの財団を設立し、高価なランニングブレードを誰でも装着できる環境を整える活動も行っている。

まとめ
2016年リオ大会女子100m、200mを制し2冠を達成。東京大会では同種目連覇を狙う
ランニングブレードの性能が向上しても、それを使いこなす選手が努力しなければ、好記録は誕生しない

選手名マルルー・ファン・ライン
(Marlou van Rhijn)
出場競技/種目女子100mT43/44他
パラリンピック出場実績2012年ロンドン/金メダル他
2016年リオ/2冠
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/12個
銀メダル/1個
銅メダル/1個

外部サイトへのリンク
マルルー・ファン・ライン 公式webサイト

アーチェリー目次に戻る

2016年リオパラリンピック『アーチェリー』のメダリスト(抜粋)は以下の通りである。

種目
個人 コンパウンドオープン(女子)周佳敏
(中国)
林月珊
(中国)
キム・ミスン
(韓国)
個人 リカーブオープン(女子)ザーラ・ネマティ
(イラン)
呉春艶
(中国)
ミレナ・オルシェフスカ
(ポーランド)
チーム コンパウンドオープン(混合)中国イギリス韓国
チーム リカーブオープン(混合)中国イラン イタリア

 パラアーチェリーでは障がいの種類によるクラス分けを採用しておらず、出場する選手たちは自分のスタイルにあったベストな補助具/治具の使用を認められている。同競技に求められるものは、オリンピックのアーチェリーと同じく「集中力」のみ。集中力さえあれば、両手のない選手でも足で弓を固定するなどし、口を使って矢を引き、的のど真ん中を射抜くことができるのだ

 同競技では中国とイギリスの選手が素晴らしい戦績を残しており、後ろにアメリカ、韓国などが続く。しかし、上位勢の実力は拮抗しており、どの国/選手も最後の1射まで気を抜くことはできない。的を正確に射抜き続けた国/選手が金メダルを獲得することになるだろう。

【種目】
・個人 W1(男子/女子)
・個人 コンパウンドオープン(男子/女子)
・個人 リカーブオープン(男子/女子)
・チーム W1(混合)
・チーム コンパウンドオープン(混合)
・チーム リカーブオープン(混合)

周佳敏(中国)

 『周佳敏(Zhou Jiamin』はスポーツ大国中国のパラアーチェリー選手である。先天性の病により生まれた時から右足が麻痺しており、大学卒業までスポーツを行うことはほとんどなかった。しかし、スポーツ自体に興味がなかった訳ではなく、車いすが大きな足かせとなり、諦めざるを得なかったという。

 ごくごく普通の女性として生活、大学卒業後に就職したのち、周佳敏に大きな転機が訪れる。2014年、バレーボール大会に参加し、車いすでボールを追っている姿がパラアーチェリートレーナー(コーチ)の目に留まったのだ。同競技へのチャレンジを勧められ、周佳敏はパラアーチェリー選手になることを決意した。

 同選手の武器は他の追随を許さぬ集中力にある。しかし、スポーツ経験ゼロの女性が一流のパラアスリートを目指すには、過酷なトレーニングが必要不可欠だった。それでも困難に挑戦する、立ち向かうと決断した理由や、同じ境遇/障害を持つチームメートたちが、明るく前向きにトレーニングを行っていたためだ

 パラアーチェリー中国代表の選手層は非常に厚い。しかし、周佳敏は競技を始めてから僅か1年で同国の代表に選ばれ世界選手権に出場、2016年リオ大会への出場権を獲得する。そして、「個人 コンパウンドオープン(女子)」と「チーム コンパウンドオープン(混合)」で金メダルを獲得、パラリンピック初出場にして2冠を達成した。

 2019年の世界選手権、同選手は金メダルを二つ獲得し、東京大会への出場をほぼ手中に収めた。強豪ひしめく中国代表の中で結果を残せる理由は、「弛まぬ努力」、そして厳しいトレーニングを共に積むチームメートにある。最強の射手は東京大会の金メダルに狙いを定めた。

まとめ
同選手は2016年リオ大会で2冠を達成。パラアーチェリーを始めてから2年目での快挙だった
スポーツ経験ゼロの女性がパラリンピックで2冠を達成できた理由は、弛まぬ努力と同じ障がいを持つチームメートにある

選手名周佳敏
Zhou Jiamin
出場競技/種目個人 コンパウンドオープン(女子)他
パラリンピック出場実績2016年リオ/2冠
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/7個
銀メダル/2個
銅メダル/1個

外部サイトへのリンク
世界アーチェリー連盟 公式ホームページ

画像はイメージです。クリックすると動画が再生されます
All three archers stay on the line during para archery team competitions

ザーラ・ネマティ(イラン)

 『ザーラ・ネマティ(Zahra Nemati』はイランを代表するパラアスリートである。1985年、混迷を極める「イラン・イラク戦争」の最中に生まれたものの、幸い戦火に巻き込まれることはなく、普通の健康的な少女として家族に見守られながら成長した。

 同選手は、幼い頃に出会ったテコンゴーで成功を収めるべく大会等に出場していたが、2004年に脊椎損傷の大けがを負い、下半身不随になった。それから2年後、テコンドーを諦め、第二の人生を歩もうとしていた時、パラアーチェリーに出会う。

 競技を始めてから6か月後、ザーラ・ネマティは健常者のアーチェリー大会に出場し、3位という好成績を残す。この活躍が国内中に知れ渡り、イランのアーチェリー協会は、同選手を国際大会等の代表に選出。その後も健常者の大会に参加し続け、複数個のメダルを獲得した

 2010年、パラアーチェリーの大会に初めて参加したザーラ・ネマティは、いきなり4種目で世界記録を更新する圧倒的な強さを見せつけた。そして2012年ロンドン大会、同選手は「個人 リカーブオープン(女子)
」を制し、イラン人女性初のパラリンピック金メダルを獲得した

 先に述べた通り、アーチェリーおよびパラアーチェリーで必要とされるものは「集中力」のみ。同選手が健常者を押しのけてメダルを獲得できた理由は、正確に的の中心を射抜く驚異的な集中力の賜物である。2016年リオ大会、ザーラ・ネマティはオリンピックのアーチェリー代表に選出/出場を果たし、そのあと開催されたパラリンピックにも出場するという快挙を達成した

 2020年、同選手は東京オリンピックおよび東京パラリンピックへの出場権を獲得しており、人類史上初となる両大会でのメダル獲得を狙う

まとめ
同選手はイラン人女性初のパラリンピック金メダリスト
東京オリンピックおよび東京パラリンピックのイラン代表に内定済み。狙うは人類史上初となる両大会でのメダル獲得

選手名ザーラ・ネマティ
Zahra Nemati
出場競技/種目個人 W1(女子)他
パラリンピック出場実績2012年ロンドン/金メダル他
2016年リオ/金メダル他
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/6個
銀メダル/1個
銅メダル/3個

外部サイトへのリンク
国際パラリンピック委員会 公式ホームページ

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همه ما در زندگي فراز و نشيب داريم، اما براي #ورزشكاران اين مسئله دو برابر است چرا كه بايد آن را در حرفه خود نيز تجربه كنند، همانطور كه كميته بين المللي #المپيك آنچه كه برايم در بازيهاي آسيايي ٢٠١٨ اتفاق افتاد را تلخ دانست، اما همچنان با انگيزه هستم Every one of us in life has ups and down, but athletes have even this matter as within their sport carreir, dissapointing as #IOC mentioned what happened in Indonedia 2018 Asian Games, but motivated... @olympics #zahra_nemati

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バドミントン目次に戻る

2019年BWFパラ『バドミントン』世界選手権、各国のメダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。

順位合計
1中国73313
2インド34512
3日本11911
4インドネシア42410
5イングランド3328

 パラバドミントンは2020年東京大会から採用される新競技のひとつである。同競技はスポーツとしてだけでなく、レクリエーションやリハビリなどに取り入れられることも多い。シャトルとラケットさえあれば誰でも簡単に行えることから、近年世界的な広がりを見せており、愛好者を含めた競技人口は右肩上がりで増加している

 パラバドミントンも他の競技と同じく、障がいの種別、重さによりクラス分けされる。また、基本的なルールは一般的なバドミントンと同じだが、コートの広さや「サービスライン(ネット近くに設けられた線)」とネットの間にシャトルが落ちた場合はアウトになるなど、独自ルールも採用している。

 2019年の世界選手権では中国が7種目を制したものの、上位勢のメダル獲得数に大きな差はない。東京大会でも同国を中心とした激しい上位争いが予想されている。

【種目※障がいの種類によるクラス分けあり
・シングルス(男子/女子)
・ダブルス(男子/女子)

ジュリアナ・ポベダ (ペルー)

 先に述べた通り、パラバドミントンは2020年東京大会から採用される新競技である。老若男女問わず誰でも楽しめるスポーツであり、競技人口は右肩上がりで上昇中、高いポテンシャルを持つ競技と言えるだろう。

 ここで紹介する『ジュリアナ・ポペダ(Giuliana Poveda)』は、ペルーのパラバドミントン界で最も有名な選手である。先天性の遺伝子疾患による低身長症を患っているものの、障がいを微塵も感じさせぬ活躍を見せ、ペルーを代表するパラアスリートに成長した

 2015年、同選手は家族の後押しを受けパラバドミントンへの挑戦を決意、「女子シングルスSH6(低身長クラス)」に参戦した。しかし、ペルーのパラバドミントンレベルは決して高くなく、トレーニング環境/施設は他の強豪国に比べると圧倒的に不足していた。それでも同競技にチャレンジした理由は、同じ障がいを持つパラアスリートたちが必死に戦っていることを知り、彼ら(彼女ら)と同じ環境に身を置きたいと思ったためだ。

 ジュリアナ・ポベダは小さな身体に似合わぬ「強靭な精神力」の持ち主であり、逆境に怯むような人間ではなかった。翌2016年、同選手は国際大会で初のメダルを獲得、以降も素晴らしい戦績を残す。国際大会での通算メダル獲得数は7個(うち金3個)。2020年2月時点の世界ランキング(女子シングルスSH6)では1位を独走しており、東京大会への出場はほぼ間違いないだろう

 同選手は現在19歳、バリバリの現役大学生である。学問とスポーツを両立させるパラアスリートは、パラリンピック女子シングルスSH6の初代王者を狙う。

まとめ
同選手の武器は強靭な精神力。2020年2月時点の世界ランキング(女子シングルスSH6)1位
バリバリの現役大学生はパラリンピック女子シングルスSH6初代王者を狙う

選手名ジュリアナ・ポペダ
(Giuliana Poveda)
出場競技/種目女子シングルスSH6
パラリンピック出場実績なし
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/3個
銀メダル/3個
銅メダル/1個
女子シングルスSH6/世界ランキング1位

外部サイトへのリンク
ペルー国立パラリンピック協会 公式ホームぺージ

ボッチャ目次に戻る

2016年リオパラリンピック『ボッチャ』のメダリスト(抜粋)は以下の通りである。

種目
個人(混合)BC1デイヴィッド・スミス
(イギリス)
ダニエル・ペレズ
(オランダ)
ユ・ウォンジョン
(韓国)
個人(混合)BC2ワッチャラポン・ボンサー
(タイ)
ウォラウット・セーンアンパー
(タイ)
厳治強
(中国)
ペア(混合)BC4スロバキアブラジルタイ
団体(混合)BC1-2タイ日本ポルトガル

 ボッチャがパラリンピックに採用されたのは1988年ソウル大会から。障がい者と健常者が一緒に行える/楽しめる競技として広く認知されるようになった。対戦相手/チームは交互に革製ボールを「ジャック(対象球、的となる白い球)」に向かって投げるもしくは転がす。最終的に、自分のボールをジャックの周りに多く集めた方が勝者となる

 同競技に求められるものは「コントロール」「集中力」そして「戦略」である。ジャック本体にボールをぶつけて同球の位置を変更すれば、一発逆転も十分にあり得るため、最後の最後まで油断はできない。そのため、ボールを使ってジャックを囲い込む、対戦相手が投げにくい場所にボールを配置するなどの工夫も必要だ。

【種目※障がいの種類によるクラス分けあり
・個人(混合)
・ペア(混合)
・団体(混合)

ワッチャラポン・ボンサー(タイ

 『ワッチャラポン・ボンサー(Watcharaphon Vongsa』は、世界を代表するボッチャの選手である。先天性の病により四肢が麻痺した状態で生まれ、障がい者学校でボッチャに出会った。同競技は、健常者、障がい者を問わず誰でも楽しめるスポーツであり、学校のクラスメートたちは障がいの重さに関係なく皆一生懸命ボールを投げていたという。

 ボッチャの虜になった同選手は、自慢の集中力とコントロールを武器にメキメキと実力をつけ、16歳にしてタイ代表入りを果たす。それから数年後、ワッチャラポン・ボンサーは2009年に障がい者学校を卒業、同年職業訓練校に入学、コンピュータ科学を学びつつ、ボッチャの実力にも磨きをかけた。

 翌2010年、同選手は初めて国際大会に出場し、個人種目で金メダルを獲得した。その後も初出場の大会でタイトルを獲得、タイ代表内での地位を確立すると同時に、2012年ロンドン大会への出場を決めた。そして同年、個人戦でのメダル獲得は逃したものの、団体戦において自身初となるパラリンピック金メダルを獲得した

 以降も国際大会で素晴らしい戦績を残し、迎えた2016年リオ大会、同選手は個人、団体戦で金メダルを獲得、2冠を達成した。なお、個人決勝では同国のチームメートと戦うことになり、試合終了後は涙の抱擁を交わし健闘を称え合った。

 2019年、ワッチャラポン・ボンサー率いるタイ代表は圧倒的な強さでアジア選手権を制し、2020年東京大会の出場権を獲得した。狙うは団体戦3連覇と個人戦連覇。前者を達成すればボッチャ史上初、後者についても数名しか達成できていない偉業である。同選手は東京大会でも完璧なコントロールを披露してくれるだろう。

まとめ
同選手の武器は集中力と驚異的なコントロール。2016年リオ大会では個人、団体戦の2冠を達成した
ワッチャラポン・ボンサー率いるタイ代表は東京大会内定済み。団体戦3連覇と個人戦連覇を狙う

選手名ワッチャラポン・ボンサー
Watcharaphon Vongsa
出場競技/種目個人(混合)他
パラリンピック出場実績2012年ロンドン/金メダル
2016年リオ/2冠
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/6個
銀メダル/2個

外部サイトへのリンク
国際パラリンピック委員会 公式ホームページ

画像はイメージです。クリックすると動画が再生されます
Watcharaphon Vongsa(Thailand/Boccia)「WHO I AM」Paralympic Documentary Series【WOWOW】

カヌー(目次に戻る

2016年リオパラリンピック『カヌー』のメダリスト(抜粋)は以下の通りである。

種目
KL1(男子)ヤクブ・トカジ
(ポーランド)
ローベルト・シュバ
(ハンガリー)
イアン・マーズデン
(イギリス)
KL2(男子)カーティス・マグラス
(オーストラリア)
マルクス・スボボダ
(オーストリア)
ニック・ベイトン
(イギリス)
KL2(女子)エマ・ウィッグス
(イギリス)
ナタリア・ラフテンコ
(ウクライナ)
スーザン・サイペル
(オーストラリア)
KL3(女子)アン・ディキンズ
(イギリス)
アマンダ・レイノルズ
(オーストラリア)
シンディ・モロー
(フランス)

 パラカヌーも他の競技と同じく障がいの種別によってクラス分けされる。種目は「カヤック」と「ヴァー」に分類され、前者と後者では艇の大きさ、パドルのサイズと形状、漕法が異なる。なお、オリンピックのカヌー競技ではペアやフォア(4人)といった種目もあるが、パラカヌーはシングルのみでメダルを争う

 カヌーはボートと違い、進む方向に身体を向けパドルを漕ぐ。重要なことは上半身の筋力と腕力、そして艇のバランスを取りつつパドルを漕ぐこと。出場する選手たちは鍛え上げられた筋肉とボディバランスをフル活用し金メダルを狙う。なお、レースは8艇が同時にスタートしゴールを目指す「スプリント戦」である

 強豪国は欧州勢、その中でも特にイギリスが突出して強く、女子は2016年リオ大会の上位を独占した。パラアスリートたちの常人離れしたパドルさばきに注目しよう。

【種目】
・KL1(男子/女子)
・KL2(男子/女子)
・KL3(男子/女子)
・VL2(男子/女子)
・VL3(男子)

カーティス・マグラス(オーストラリア)

 2016年リオ大会、『カーティス・マグラス(Curtis McGrath)』はパラリンピック初出場を果たし、「KL2(男子)」の部にて金メダルを獲得した。同選手は元々カヌー、ラグビー、水泳などを行ってきた生粋のアスリートであり、パラカヌーでも結果を残すことは必然だった。

 カーティス・マグラスは2006年オーストラリア陸軍に入隊、厳しい環境下に身を置きつつ、スポーツでも身体を鍛え続けていた。しかし2012年、イラク戦争後の混乱により地獄の様相を呈していたアフガニスタンに派遣、任務中に「即席爆破装置(IED)」の爆発に巻き込まれ、両足(膝下)を吹き飛ばされた

 同選手は、両足を失い両手も粉砕骨折、さらに爆風に身体を焼かれ半死半生の状態に陥った。しかし、スポーツで鍛え上げた身体が傷の回復を早め、3カ月後には義足を装着しリハビリを開始、その時既にパラカヌーへの挑戦を心に決めていたという

 カーティス・マグラスを支えたもの、それは鍛え上げられた身体と、限界を決めずに進み続けるあくなき向上心にあった。2014年、同選手は世界選手権にて初の金メダルを獲得した。さらに翌年以降も勝利を重ね、2019年の世界選手権でも2冠を達成世界選手権個人6連覇という異次元の強さを見せつけ、東京大会への出場権を獲得、オーストラリア代表に内定した。

 天賦の才に努力がプラスされれば、結果が出ることは必然、特に2016年以降の勝ちっぷりは凄まじく、ほぼ敵なしの状態を維持してきた。しかし、同選手はさらに厳しい環境下でトレーニングを継続しており、油断は微塵も感じさせない。当然のことながら、東京大会でも同種目の金メダル最有力候補に挙げられている

まとめ
アフガニスタンでの
任務中に両足を失うも、3カ月後にはリハビリを開始、パラカヌーへの参戦を決めた
現在世界選手権6連覇中。2020年東京大会内定済み、KL2(男子)連覇を狙う

選手名カーティス・マグラス
(Curtis McGrath)
出場競技/種目KL2(男子)
パラリンピック出場実績2016年リオ/金メダル
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/11個
銀メダル/1個

外部サイトへのリンク
カーティス・マグラス 公式webサイト