◎委員会の武藤 敏郎事務総長は会見の中で、委員の定数を35人から最大45人に増やし、目標としていた女性委員40%以上を達成すると語った。
2021年3月2日 EPA通信/日本、東京五輪組織委員会の橋本聖子 会長と武藤敏郎 事務総長

3月2日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、女性12人を委員のメンバーに追加すると発表し、男女共同参画に向けた取り組みを世界にアピールした。これにより、同委員会の女性メンバーは7人から19人に増える予定。

委員会の武藤 敏郎事務総長は会見の中で、委員の定数を35人から最大45人に増やし、目標としていた女性委員40%以上を達成すると語った。

先日会長に就任した橋本聖子氏は委員会に変化を促した。同氏は性別発言で物議を醸した元内閣総理大臣の森喜朗 会長の後任に選ばれ、現内閣の国務大臣(東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当)を辞任している。

森前会長は「女性は話し過ぎる」という物議を醸す発言で世界の注目を集め、怒り心頭の日本国民は元首相を「日本の恥!」「恥辱!」「晩節を汚した!」「今すぐ辞めなさい!」などと激しく打ち負かした。

委員会はこの日開催した会議の中で、委員を最大45人に増やす規則の変更に同意した。

武藤事務総長は会見の中で、「7人の女性委員を19人に増やします。これにより、女性委員の割合は42%まで上昇します」と述べた。なお、橋本会長によると、新しい女性委員候補は後日正式に任命される予定だという。

一部の専門家は同委員会の動きを厳しく評価している。

LGBTの権利を訴える女性はソーシャルメディアに、「女性を増やすことは素晴らしいと思います。しかし、まだ納得できません」と投稿した。

「女性委員を一方的に増やせば、委員に入れる実力を持つ優秀な男性が席を失う可能性があります。東京(組織委員会)は、優秀な人材であれば年齢、性別、出身地、肌の色、性的指向などに関係なく委員に起用すると誓約しなければなりません

ソーシャルメディアには女性委員の追加を歓迎するコメントが相次いで寄せられたが、「ただ女性(の委員や取締役など)を増やすのではなく、優秀な女性を差別することなく積極的に起用するという考えを日本中に浸透させることが重要だ」とくぎを刺すコメントも目立った。

アメリカと中国に次ぐ世界第3位の経済大国日本は、世界経済フォーラムの2020年男女共同参画ランキングで153カ国中121位にランクされている。

史上最低の内閣支持率9%を記録したことで知られる森前会長は2月初めに開催された会議の中で、「女性委員が増えると発言時間を制限しなければならず、面倒くさい」と発言し、世界的な非難の嵐に直面した。

その後、森前会長は性差別的な発言を謝罪したうえで、東京オリンピックを開催するために頑張って働くと誓約したが、非難の声はやまず、2月12日に辞任した。

橋本会長は3月3日に国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長、国際パラリンピック委員会のアンドリュー・パーソンズ会長、小池百合子 東京都知事、丸川珠代 国務大臣と五者会談を行う予定。

Getty Images/日本、東京、IOCのトーマス・バッハ会長と性差別発言で先日辞任した森 喜朗前会長

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