◎来日中のテドロス・アダノム事務局長は東京都で開催された国際オリンピック委員会(IOC)の総会に出席し、症例数ではなく対策と処理に重点を置くよう関係者に呼びかけた。
2021年7月17日/日本、東京都の繁華街(Kiichiro Sato/AP通信)

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は21日、東京2020五輪におけるコロナウイルスの感染拡大リスクを全て排除することは不可能であり、「期間中の症例件数ではなく感染拡大を抑え込むための対策が何より重要」と述べた。

来日中のテドロス事務局長は東京都で開催された国際オリンピック委員会(IOC)の総会に出席し、症例数ではなく対策と処理に重点を置くよう関係者に呼びかけた。「東京五輪を成功させるためには、あらゆる症例を可能な限り迅速に特定し、陽性者を隔離し、追跡し、保護し、以降の感染拡大を抑える必要があります...」

陽性と診断された大会関係者は21日午後の時点で79人。濃厚接触者に認定されたアスリートは厳重な隔離と監視下に置かれながらも準備を進めている。

一方、緊急事態を宣言している東京都の一部の住民は政府の飲食店を標的にした感染予防対策に強く反発し、夜の街で酒を飲み騒いでいる。

政府は緊急事態宣言に基づき、都内の飲食店の営業時間を午後8時までとしているが、一部の店舗は8時以降も営業を続け、一部の反抗的な若者は屋外で酒を飲み、遅くまで談笑している。

AP通信の取材に応じた都内在住の女性は、「政府は根拠を提示することなく飲食店を標的にしています」と憤慨したうえで、「政治家は非常事態宣言中にもかかわらず五輪関係者とのレセプションを開催し、自らルール破りました」と述べた。「政治家は国民にルールを押しつけ、自分たちは平気でルールを破ります...」

菅 義偉首相と東京都の小池都知事を含む政府関係者は、集会、五輪の観戦、そして大会の主役であるアスリート同士の交流を禁じたにもかかわらずIOCのトーマス・バッハ会長らを歓迎するレセプションを盛大に開催し、物議を醸した。多くの日本人はバッハ歓迎会の必要性に疑問を抱いており、一部の若者は行動で不満を表明した。

都内の繁華街のコンビニエンスストア周辺は若者のたまり場になっており、多くが酒を飲み、おしゃべりを楽しんでいる。

コンビニの横で酒を飲んでいた男性はAP通信の取材に対し、「ここ3日ほど毎晩ここで酒を飲んでいます」と語った。「五輪は感染を拡大させると思います。非常事態宣言にも慣れてしまいました...」

東京都の7月20日の新規陽性者数は1,387件、死亡者は2人だった。

日本のワクチン接種はG7の中で最も遅れているが、累計感染者数と死亡者数は少ない。

<国名/累計感染/累計死/1回接種率完全接種率7月21日時点
アメリカ 3,420万件 60.9万人 56% 48%
イギリス 552万件 12.9万人 68% 53%
ドイツ 375万件 9.1万人 60% 46%
イタリア 429万件 12.8万人 61% 44%
フランス 589万件 11.2万人 56% 42%
カナダ 142万件 2.6万人 71% 51%
日本 84.8万件 1.5万人 34% 22%

2021年7月18日/日本、東京赤坂の迎賓館、菅総理とIOCのトーマス・バッハ会長(東京2020組織委員会/Getty Images/AFP通信)
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