◎国際オリンピック委員会(IOC)と菅 義偉 首相は、世界がコロナウイルスに打ち勝った証として大会を開催すると主張している。
◎東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森 喜朗 会長は今月の会見の中で、「観客を入れるかどうかの決定は、2月か3月までに行わなければならない」と述べた。
2020年2月27日 ロイター通信/日本、東京のお台場海浜公園

昨年3月に東京2020オリンピック・パラリンピックの1年延期が決まった時、主催者は2021年の大会成功を確信していると述べた。

2021年1月、国際オリンピック委員会(IOC)と菅 義偉 首相は、世界がコロナウイルスに打ち勝った証として大会を開催すると主張している。

しかし、反抗的なコロナは打ち負かされるどころか勢いを増し、過去2週間の日本の感染状況はこれまでにない深刻なレベルに到達している。昨年春の流行を超える第二波に直面した菅首相は、オリンピック会場の東京都などを対象とする非常事態宣言を1月7日に発出した。

スポーツ界もコロナの影響を強く受けている。大相撲、バドミントン、ラグビー、卓球の選手が感染し、大会を諦めざるを得なくなった。また、オリンピックの大会運営の参考になると期待されていた全豪オープンテニスでも感染者が確認され、混乱に陥っている。

菅首相は声明で、「大会開催への決意は揺るがない」と発言したにもかからず、ある閣僚は取材の中で、「大会はどちらにも進むことができる」と発言し、中止もあり得ると認めた。

全豪オープンで混乱に見舞われたオーストラリアのスコット・モリソン首相は1月22日に、「コロナの感染拡大が菅首相に大会をキャンセルするよう圧力をかけている」と述べた。

2020年2月8日 AP通信/日本、東京の屋上観覧エリア

世論は昨年9月の安倍前首相の辞任以来、急激にオリンピック中止に傾いているが、大会関係者は必ず成功させると主張している。

昨年、オーストラリアとカナダがIOCに選手を派遣しないと決定したことで、安倍前首相は延期に同意せざるを得なかったと伝えられている。

しかし、オーストラリアオリンピック委員会のマット・キャロル委員長は1月22日の記者会見で、「東京2020は間違いなく開催される。炎は7月23日に灯るだろう」と述べた。

日本国内におけるオリンピックの話題は、1月21日の英タイムズ紙の報道で沸騰した。

タイムズは記事の中で、「日本のある政府高官が、東京2020はキャンセルしなければならないという結論に達した」と報じ、物議を醸した。

これに対し、関係者、東京都、IOCは記事の内容を即否定し、IOCのトーマス・バッハ会長も、「206ヵ国のオリンピック委員会と話し、夏の計画はまだ予定通り進んでいる」と述べ、関係者を安堵させた。

バッハ会長は声明の中で、「私たちは2021年7月から8月に直面する可能性のある全ての潜在的なシナリオに備えるために取り組んでいます。私たちは対策の巨大なツールボックスをまとめており、適切な時期に、状況に対処するために必要なツールを決定します」と述べた。

2020年3月2日 ABCニュース/日本、東京、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会本部前

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森 喜朗 会長は今月の会見の中で、「観客を入れるかどうかの決定は、2月か3月までに行わなければならない」と述べた。

しかし、外国人観光客の受け入れを歓迎する日本人は少なく、観光業界の関係者ですら、「コロナが劇的に収束しない限り、受け入れは困難ではないか」と主張している。

日本オリンピック委員会の山口 香織 理事は、「アスリート、コーチ、その他の関係者、そして世界中から集まるIOCメンバーを合わせると、入国する人は膨大な数に上ります」と述べた。

山口 香織 理事:
「ボランティアは海外の観客がいることを心配し、自分が感染するかもしれないと懸念するでしょう。個人的には、外国人の観客を受け入れることは難しいと思います

日本国内におけるコロナワクチンの接種開始日はまだ決まっておらず、専門家は「7月23日までに全国民に接種することは不可能」と述べている。

しかし、感染を抑え込むと同時に、ある程度のワクチン接種率を達成できる可能性はある。

組織委員会の広報担当者は、「無観客での開催はない」と述べていたが、報道によると、政府は大会の中止を回避するために無観客での開催を検討し始めたという。

東京2020には、200ヵ国以上から11,000人以上のアスリートが参加する予定である。

現在、日本政府は外国人観光客の入国を許可しておらず、この制限がアスリートにどのような影響を与えるかは分からない。

最近行われた共同通信社の世論調査によると、回答者の約80%が大会の中止を支持したという。

2012年ロンドン大会の組織委員会で副会長を務めたキース・ミルズ氏はBBCニュースの取材に対し、「大会のキャンセルは悲劇」と述べた。

キース・ミルズ氏:
「何百もの国内オリンピック委員会とスポーツ連盟の運営費は、オリンピックで得られる収益にほぼ依存している。中止は組織に大きな経済的影響を与えるだろう」

「資金不足に直面した組織の選手は深刻な脅威にさらされる。小さな組織が世界中で一斉につぶれれば、オリンピックだけでなく他の大会にも深刻な影響を与えるだろう。そして、東京2020が中止になれば、IOCも大きな経済的打撃を受ける」

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