『kenta475699』です。
貴重な税金を浪費する中部地方の施設&第三セクターを紹介します。あくまで個人の主観で選んでいることをご理解下さい。

目次

 ・中部地方の年度予算

 ・無駄な公共事業などない・・・

〇貴重な税金を浪費する施設&第三セクター(中部地方)
  1.清津川ダム(新潟県)
  2.桃花橋ループ(山梨県)
  3.新湊大橋(富山県)
  4.北陸新幹線(福井県)
  5.県民ふれあい会館(岐阜県)
  6.浅川ダム(長野県)

  7.静岡空港(静岡県)
  8.南アルプス完熟農園(山梨県)
  9.あおなみ線延伸事業(愛知県)
 10.えちごトキめき鉄道(新潟県)
 11.樽見鉄道(岐阜県)
 12.氷見市役所(富山県)
 13.リニア中央新幹線(岐阜、長野、山梨)
 14.徳山ダム(岐阜県)
 15.しなの鉄道(長野県)
 16.フォルテ(静岡県)
 17.あいちトリエンナーレ(愛知県)
 18.西尾市のPFI事業(愛知県)
 19.富山市のコンパクトシティ政策(富山県)
 20.森山 榮治(福井県)

 まとめ

中部地方の年度予算

中部地方9県の平成30年度予算、人口、県民一人当たりの予算は以下の通りである。

H30予算(億円)人口(万人)H30予算/人口
愛知県25000750約33万円
山梨県460081約57万円
静岡県11900364約33万円
長野県8500214約40万円
岐阜県8100207約39万円
福井県480078約62万円
富山県5500104約53万円
石川県5100115約44万円
新潟県12400222約56万円

 各県の予算は年度によって異なる場合が多々ある。たとえば、東京オリンピックを2020年夏に控える東京都の2019年度予算は、例年より2兆円以上多い。大型公共工事(リニア、新幹線の新設)などが行われている県も、同じように予算が多く配分されると思ってよい

 中部地方の「都市圏」の公共施設とインフラ設備は非常に充実している。新幹線、高速道路、鉄道、空港、アリーナ、複合商業施設など、あれば便利だなと思うものが完璧に揃っており、本当に羨ましい。なお、私の住む鹿児島県日置市吹上町には、今紹介した施設はひとつもない。

 地方自治体は限られた予算を使って社会保障、医療、行政サービスを県民に提供し、公共工事などもバランスよく行わなければならない。なお、この中で最も削減しやすいのは公共事業に割り当てられる予算だ。今ある施設を点検・修繕しつつ、県民の生活を第一に考えて予算を正しく使うことができれば、その県の行政は及第点を与えられる。

無駄な公共事業などない・・・

 中部地方の公共施設・公共事業を調べると、無駄と思われるものがあまりに多い。「無駄な公共事業などない」と偉そうに言う方もいる。しかし、人がほとんど通らない山間部に立派な橋を建設する、水が有り余っている地域のために数千億円を投じてダムを造る、同じ地域内に3本目の高速道路を新設することが無駄でないというなら、一度病院で診察を受けるべきだ。

 地方自治体が公共事業に割り振れる予算は限られている。しかし、それが適切に使われているとは到底言えない状況だ。残念ながら、無謀な公共事業計画がそのまま推し進められると、最後にその割を食うのは県民である。誰も望まない豪華な道路、施設を建設したがる理由は、地元にお金が落ちる(ゼネコンが設ける)ためだ。

 今回は中部地方の無駄な公共施設と、興味深い第三セクターを紹介する。なお、私の主観で選んでいることをご理解いただきたい。予算がないといいつつ、無駄な公共事業が「当然」と言わんばかりの勢いで行われている現状を皆さんにもぜひ知ってほしい

 県民の命と生活を守る事業であれば、予算をかき集めてでも行うべきだ。しかし、役人とゼネコンを儲けさせるだけの「無意味なハコモノ事業」は、今すぐ止めなければならない。予算をドブに捨てる「背任行為」がこれからも平然とまかり通るようであれば、日本の未来はお先真っ暗、地獄へ真っ逆さまに落ちるだろう。

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貴重な税金を浪費する施設&第三セクター

清津川ダム(新潟県)目次に戻る

 まず始めに、新潟県及び長野県内を流れる「信濃川」の支流、清津川の上流に建設が予定されていた『清津川ダム』を紹介しよう。1960年代から調査が始まったものの、2002年に中止が決定した案件である。「日本三大渓谷」のひとつとして知られ、新潟県の大切な観光スポットでもある「清津峡」が完全に水没してしまうことから、激しい建設反対運動が行われた。

 清津川ダムは「多目的ダム(発電・利水・治水)」としての働きを期待され、総事業費は2500億円以上を予定していた。費用の約1/3(約700億円)を新潟県が負担する、という超大型公共事業だ。なお、工事は中止になったものの、調査工事等で既に60億円以上が執行されていた

 清津川ダムが「本当に」必要だったか否かは判断しかねる。しかし、工事の中止理由に問題があったため、敢えて紹介させてもらった。国と新潟県は、水需要が想定よりも伸びず、水の購入を予定していた下流域の自治体が事業からの撤退を相次いで表明したため、清津川ダム建設を「意味がない事業」と判断し中止したのだ。

ケンタ
国と県ちゃ水需要が伸びん、ちゅう理由で清津川ダムの建設を断念した。つまり、ダムの治水効果には目もくれず、「利益が出んならやめよう」、と判断したがや。
キャシー
「水が売れんさかい中止」、ちゅう判断ちゃ正しい反面、危険な要素も含んどる。清津川ダムを造ることで、信濃川水系の洪水を防止(治水効果)できるなら、反対住民を全力で説得し工事を進めるべきやろう。

 令和元年。大型の台風19号が日本に上陸し、信濃川やそれに繋がる千曲川などが大規模氾濫を起こした。下流域の住宅や田んぼが水に浸かり、新潟県の産業被害は100億円を超えた。さらに、目に見える被害以外にも、観光客の減少、農作物への風評被害、被災者の県外移転なども想定される

 清津川ダムが建設されていたとしても、信濃川の氾濫を防げたかは分からない。しかし、国と新潟県は「水が売れない」と言う理由だけで建設計画を中止すべきではなかった。また、信濃川が大規模氾濫を起こしたことで、治水事業が適切に行われていなかったことも露呈した

 「ダムは無駄」という理由だけで建設計画を中止する判断には賛成しかねる。計画・調査の段階で、ダムが「県民の命と生活」を確実に守れると分かっていたのなら、反対住民を全力で説得し、建設を推し進めるべきだろう。

まとめ
ダムに頼らない治水事業は大切だ。しかし、河川の改修だけでは「水量の増加」に対応しきれないと分かっているのなら、ダムの力を借りるべき。
利水・治水効果を期待できないダムは無駄はハコモノ

形態ダム
税金投入額60億円
経営状況ライフサイクルコスト
(一生涯にかかる維持管理費)
なし
役立たず度(5段階)★☆☆☆☆ 1

外部サイトへのリンク
令和元年台風19号 Wikipedia

桃花橋ループ(山梨県)目次に戻る

 山梨県南アルプス市に建設された『桃花橋(とうかきょう)ループ』は、無駄な公共事業の典型とやり玉に挙げられることが多い。1日の通行料は非常に少なく、近隣の方もほとんど利用しないことから、悪評が広まってしまったのだろう。

 桃花橋ループは数百メートル離れたところからでも、一目でその姿を確認できる。巨大な円形の道路なので、良い目印にはなるだろう。なぜわざわざループ形状にしたのか、と疑問に思うものの、中心部の空洞スペースには桜の木が目印の「桃花橋公園」も整備されており、夜になると夜景を楽しめる観光スポットに様変わりするここから見える富士山、そして夜景は決して悪くない

 桃花橋ループと関連する付帯工事等の事業費は、合わせて約60億円。維持管理には毎年3億円近い予算が計上されている。頻繁に車が通行し、周辺地域の渋滞緩和に役立っているのであれば無駄とは言えないが、桃花橋ループの通行料は非常に少ない。残念ながら、今のままでは「無駄なハコモノ公共事業」と言わざるを得ないだろう。

ジョージ
通行料の少ない地域に立派な橋を造っても、維持管理にお金がかかるだけや。わざわざループ形状にした意味も分かりません。無駄に工事費を上げる「愚行」て言わざるを得んやろう。
珠代
南アルプス市は第三セクターがらみの公共事業で大きな失敗を犯しとる。市民ちゃ、市長や議会が税金を無駄遣いしとると怒り、無駄な公共事業に対する感受性が高いのやろう。

 南アルプス市の失態は後述する。桃花橋ループは通行料が少ない現状を打破しなければならない。「市民の生活に欠かせない道路・スポット」になれば、汚名を注ぐことができるだろう。しかし、それを達成するには様々な障害が待ち構えている。

 桃花橋ループと公園にかかる維持管理費を帳消しにする効果が街にもたらされれば、市民も納得するはずだ。汚名返上作戦の対策案は以下の通りである。なお、本気で実行するのであれば、行政は地域住民の力を借りなければならない。
桃花橋公園でのイベント開催。夜景スポットの情報を全国に発信
公園の利用申し出(市場、店舗の設置など)は、基本断わらない。公園内での各種行為が禁止されているのなら、法を改正する

まとめ
桃花橋公園に人が集まれば、街全体に利益をもたらす。桃花橋ループの通行料も自ずと増えるだろう。
利用者のいない道路や橋は存在価値ゼロ。行政は無駄な公共事業と揶揄されていることを真摯に受け止め、通行料を増やす努力を継続してほしい。

形態
税金投入額60億円
経営状況ライフサイクルコスト
(一生涯にかかる維持管理費)
120億~180億円
役立たず度(5段階)★★★☆☆ 3

外部サイトへのリンク
やまなし観光推進機構 公式ホームページ

新湊大橋(富山県)目次に戻る

 橋の建設には膨大な費用がかかる。四国と本州を結ぶ「明石大橋」は約5000億円。「瀬戸大橋(鉄道あり)」は1.1兆円と、かなりの大事業であることが分かる。ここで紹介する『新湊(しんみなと)大橋』には、富山県の年度予算の1/10に近い500億円が費やされた

 前述した「桃花橋」で述べた通り、利用者のいない道路と端に存在価値はない。新湊大橋は海を隔てた東西の陸地を結び、以前のルート(南側を迂回)に比べ移動時間は5分程度短縮されたという。通行料がかからないこともあり、周辺地域の渋滞緩和にも一役買っているようだ。

 新湊大橋が建設される以前の東西陸地を結ぶルートは、南側の迂回路と「富山県営渡船」が主たる通行手段だった。なお、渡船の乗船料は無料、1日60便ほど運行されており、維持管理には約1億円(単年)が計上されている。新湊大橋は歩行者も通行可能なため渡船は不要に思えるが、周辺地域は高齢者も多く、廃船は困るという意見が大勢を占めているようだ

トム
新湊大橋の総事業費ちゃ約500億円。毎年の点検、管理に15億円以上が計上されとる。周辺地域の渋滞緩和と東西の移動時間を5分短縮できた点ちゃ素晴らしいて思うが・・・
シェリル
新湊大橋のある射水(いみず)市ちゃ、ここ10年で人口が4000人以上減少した。特に若者の県外流出に歯止めがかからず、市の財政ちゃ年々悪化しとる。

 新湊大橋には毎年15億円以上の維持管理費が計上されている。射水市の財政状況は人口の減少に伴い右肩下がりの状態で、この支出は痛いと言わざるを得ない。また、付近の渋滞緩和に貢献している点は評価できるものの、新湊大橋自体は頻繁に渋滞を引き起こしており、残念感は否めない

 日本は「超高齢社会」に突入し、人口は年々減少している。ほぼすべての地方自治体が、人口減少による税収減に苦しめられているのだ。射水市は高齢者のために渡船を存続させつつ、新湊大橋にかかる維持管理費を工面し続けなければならない。過剰な公共事業への投資は市の財政を圧迫し、その結果住民税の引き上げ、若者のさらなる県外流出と、負のスパイラルに拍車をかけるだろう。

まとめ
・移動時間を5分短縮し、付近の渋滞緩和に成功した点は評価できる。
500億円の橋にかかる維持管理費は毎年15億円以上。人口9万人の射水市にかかる負担は計り知れない。
富山県営渡船は不要に思えるが、周辺に住む高齢者のことを考えると廃線は難しい

形態
税金投入額500億円
経営状況ライフサイクルコスト
(一生涯にかかる維持管理費)
1000億~1500億円
役立たず度(5段階)★★★★☆ 4

外部サイトへのリンク
とやま観光ナビ 公式ホームページ

北陸新幹線(福井県)目次に戻る

 『北陸新幹線』の敦賀以西新ルート問題は、全国ニュースでもそこまで話題にならず、あっという間に国会承認されてしまった不思議案件である。北陸新幹線は2015年に高崎-金沢駅間が開業しており、現在新たに金沢-敦賀駅(新駅)間が着工している。なお、将来的には敦賀-小浜(新駅)-新大阪駅が繋がる予定だ

 敦賀以西新ルート問題で、福井県が受ける影響は後述する。残念ながら、国会承認された敦賀駅ー小浜-京都駅間は、「最適ルート」とは到底言えない。敦賀駅の南東にある「米原駅(東海道新幹線)」を繋げば、工事費は約1/4で済むのだ

ルート敦賀-米原
(×)
敦賀ー小浜-新大駅
(◎)
敦賀-舞鶴-新大阪
(×)
距離50km140km190km
総事業費5900億円2兆700億円2兆5000億円
敦賀-新大阪駅間の所要時間67分43分60分
要望する自治体等滋賀県福井、富山、石川、JR西日本京都府

 米原駅に北陸新幹線の乗り入れが開始されれば、「超混雑路線」と呼ばれる「東海道新幹線」の混み具合はさらに悪化する恐れがある。そのため、JR西日本は敦賀-小浜ルートを選択し、国に要望したのだろう。総事業費は2兆円を超えるものの、要望する自治体も多かったため、あっさり承認されてしまった

ケンタ
福井県、富山県、石川県ちゃ、新大阪駅もしくは京都駅に最も早う到着する敦賀-小浜ルートを支持した。ちなみに米原ルートでも京都駅と新大阪駅ちゃ通過すが、時間ちゃ前者に比べて20分以上へせんくなる。
キャシー
工事にかかる費用ちゃ、JR西日本と国(県)が負担する。JR西日本ちゃ民間企業やで、利益と「ドル箱路線」の東海道新幹線を融通させるのは当然や。けど、国と県ちゃ費用が4倍近くに膨らむことを何とも思わなんだのでしょうけ。

 北陸新幹線は、開業さえすればJR西日本が維持管理を行うことになるため、地方自治体は自分の県を通過するルートを推奨する。しかし、工面する事業費は税金から支払われることを忘れてはいけない。20分の時間短縮のために1兆5000億円を使って新ルートを建設するメリットが本当にあるのか非常に疑問だ

 ここまで福井県にはほとんど触れなかったが、北陸新幹線が開業することで、同県を走る在来線(第三セクター管理)は危機的状況に陥ることが確実視されている。また、富山ー福井ー金沢間で運行する特急「サンダーバード」も廃止がほぼ決まっており、在来線利用者、沿線地域は大きな影響を受けると予想されている。新幹線を地方再生の切り札と期待する声もあるが、デメリットもしっかり把握すべきだろう。

まとめ
・北陸新幹線が開業(2023年)することで、福井県の第三セクター路線は毎年10億円近い赤字を計上することが確実視されている。なお、福井県は北陸新幹線開業後の対応策として、2019年8月に新第三セクター会社を設立した
・新幹線は確かに便利。しかし、既存のルートや県民の生活に与えるデメリットも考慮すべき。

形態新幹線
税金投入額1.4兆円
※金沢-敦賀駅間のみ
経営状況ライフサイクルコスト
(一生涯にかかる維持管理費)
なし
役立たず度(5段階)★★★★☆ 4

外部サイトへのリンク
JR東日本 公式ホームページ

県民ふれあい会館(岐阜県)目次に戻る

 「旧岐阜総合庁舎」は、岐阜地域の公共機関(保健所、土木事務所など)が入居する公共施設だった。80年以上の歴史を持つ美しい建物だったが、耐震基準を満たしていないことが判明。その後釜として『県民ふれあい会館(通称OKBふれあい会館)』が建設された。

 OKBは14階建ての本館、9階建ての別館で構成され、全面ガラス張りの東面は圧倒的な存在感を放つ。なお、2棟とそれに関連する施設(駐車場など)の総事業費は700億円を超えている。施設の建設目的は「県民の文化交流とふれあいの促進」らしいが、その姿を一目見た瞬間、「やっちまったなぁ!」と叫びたくなるはずだ。

 総合庁舎の建て替えは、耐震基準の都合もあり避けることはできなかった。しかし、元々3階建ての施設に納まっていた行政機関を移転させるだけなら、同規模の建物で十分だと思う。他の機関もまとめて移転させたかったのだろうが、14階+9階の2棟立ては完全に「やっちまったなぁ!」である

ジョージ
行政機関を移転させると同時に、県民がふれあえる場所も提供したかったのやろう。けど、700億円ちゃ完全にやり過ぎでした。なお、1200台以上駐車できる駐車場ちゃ、連日ガラガラや。
珠代
OKBにはレストランや貸施設(展示ホール、ギャラリー)などもあるけど、連日閑古鳥が鳴いとる状態や。テナントはほとんど行政関連やで、テナント料もほぼ見込めません。なお、維持管理費だけで毎年20億円以上かかるそうですちゃ。

 ガラス張りの豪華なハコモノを建設しても、県民の文化交流とふれあいは促進できなかった。役人たちは立派なビルさえあれば全て上手くいくと考えたようだが、大きな間違いである。旧総合庁舎と同規模程度の建物でも、行政と県民が連携してイベントや催しを行えば、いくらでも交流は促進できる。企画さえしっかりしていれば、空き地にテントを建てるだけで文化交流などいくらでも図れるぞ。

 700億円のハコモノを建設した代償はあまりに大きい。貸施設の利用状況が芳しくないのは、OKBに入れば一瞬で分かる。巨大なガラス張りの建物に入った瞬間、人気(ひとけ)が無くてビックリするはずだ。岐阜県民は、20億円以上の維持管理費を延々と払い続ける「罰ゲーム」に強制参加させられた。これ以上の「やっちまったなぁ!」が他にあるだろうか。

まとめ
・県民の文化交流とふれあいを促進したいなら、ハコモノでなく企画で勝負すべき
OKBの維持管理費は20億円を超える
・役人の感性を疑うレベル。やっちまったなぁ!

形態公共施設
税金投入額700億円
経営状況ライフサイクルコスト
(一生涯にかかる維持管理費)
1400億~2100億円
役立たず度(5段階)★★★★★ 5

外部サイトへのリンク
県民ふれあい会館 公式ホームページ

浅川ダム(長野県)目次に戻る

 『浅川ダム』は、信濃川水系浅川の上流に建設された重力式コンクリートダムである。長野県といえば、前県知事の「脱ダム宣言」を知らない方はいないだろう。ダムに頼らない「総合治水事業」を宣言し大きな注目を集めたが、平成18年の県知事選で敗北した。凍結されていた浅川ダム計画は、新知事の就任で再起動し、2017年に無事工事竣工を迎えた

 浅川ダムは治水に特化した「穴あきダム」である。普段は水を一切貯めず、有事の際に放水口を閉鎖。浅川上流で降った大雨をダム湖内にため、河川の水量を調整する役目を担う。一度は前県知事の脱ダム宣言で「無駄」と判断されたものの、浅川では過去に幾度も水害が発生しており、同ダムが効果を発揮することは明白だった。 

トム
2019年10月に日本を襲うた台風19号ちゃ、長野県に甚大な被害をもたらす。残念なことに、浅川、そして信濃川ちゃ大雨の影響を受け氾濫。下流域ちゃ水に浸かり、5人が死亡、被害額は2000億円を超えた。
シェリル
氾濫時、浅川ダムのある上流地域では雨がほとんど降らず、下流域で大雨が降り続いた。浅川ダムに罪はありませんが、信濃川や浅川本体の河川改修が計画的に行われとらんかったツケはあまりに大きかったようや。

 ダム建設に特化した治水事業には限界がある。素晴らしい治水効果を発揮するダムでも、上流地域で雨が降らなければ役に立たないのだ。だからといって「全てのダムが無駄」という訳ではない。前県知事の脱ダム宣言は極端すぎる気もするが、「県民の命と生活を守る」ためのダム建設は積極的に行うべきだと思う。

 ダムの建設を進めつつ、氾濫の恐れが高い河川の改修(堤防強化など)を同時に進めることができれば、水害を防げる確率は格段に高くなる。1000年に一度の大雨が降った時はどうなるか分からないが、まずは今できる最善を尽くすしかない。県民の命と生活を守る総合治水が「適切に」行われれば、ダムの素晴らしさ・凄さを誰もが理解するはずだ。

 ここ数年、「50年に一度の大雨」が全国各地で発生している。ダムだけに頼り、河川の改修を怠ってきた地域は、治水事業の考え方を改めるべきだ。上物(上流域のダム)ばかり立派でも、基礎(下流域の河川)がガタガタだと有事の際に足元をすくわれかねない。これは、あらゆる公共事業に共通して言える。海岸線沿いに高速道路を一生懸命建設しても、「防潮堤」が機能しなければ大地震からの津波で全て押し流されてしまうだろう。

まとめ
ダムだけに特化した治水事業は間違い。河川の改修も同時に進めなければ、恐ろしい被害を招く。
・治水効果の高いダムは建設すべし。ただし、「昔から予定していた」という理由だけで工事を進めてはならない。限られた予算で県民の命と生活を守るためには、調査工事の結果を厳しく審査する必要がある

形態ダム
税金投入額400億円
経営状況ライフサイクルコスト
(一生涯にかかる維持管理費)
800億~1200億円
役立たず度(5段階)★☆☆☆☆ 1

外部サイトへのリンク
長野県 公式ホームページ

静岡空港(静岡県)目次に戻る

 静岡県の空の玄関『静岡空港(通称富士山静岡空港)』。採算の取れない地方空港が増加する中、2009年に開港した。総事業費1900億円の巨費を投じて空港を建設した理由(役人の目論見)は以下の通りだ。
①工事を推進する役人たちは、大手ゼネコンに工事を受注させ、賄賂をGET
②静岡県内の零細建設会社に仕事を与え、賄賂をGET
③新たな観光客を呼び込み、空港でガンガン儲けると同時に天下り先をGET

 静岡空港の年間利用者数は約70万人ほどである。なお、静岡県を訪れる年間観光客数は2100万人を超える。数字を見れば、静岡空港が観光客に支持されていないことは明白だ。ちなみに、約60億円で建設されて「鹿児島空港」は、年間利用者数800万人、毎年10億円以上の収益を上げている

 静岡県のインフラはかなり充実している。日本の大動脈「東名高速道路」「新東名高速道路」「東海道新幹線」が通過し、地方都市を結ぶ道路、鉄道の敷設状況も素晴らしいと思う。東京・大阪まで新幹線に乗れば1時間ちょっとで到着できるのだ。静岡空港はしっかり整備された「ガチでヤバいインフラ」の影響をモロに受けた。

ケンタ
静岡空港ちゃ駅・市街地とのアクセスがえらい悪う、自家用車がない方ちゃバスもしくはタクシーを使わんにゃなりません。バスの便数も限られとり、空港内で2時間以上待つことはザラにあるちゃ。
キャシー
静岡空港には、今や常識となった共用の電源プラグ、ビジネスマン向けの机やイス、まともな飲食店がありません。つまり、「利用者のことを考えとらん、使い勝手の悪い空港」ながや。

 静岡空港は利便性が悪く、利用者のことをあまり考えていない。「魅力的な空港」でなければ、東海道新幹線や東名高速道路から利用者を「奪う」ことは一生できないだろう。残念ながら、静岡空港は開業から10年連続で赤字を達成し、投入された税金(補助金)は50億円を超えた。なお、役人の目論見③は外れたものの、天下り先はガッチリキープしている。

 インフラが完璧に整備されていれば、後はその状態を維持することが大切だ。静岡県民、観光客、ビジネスマンは、静岡県内を走る新幹線、高速道路、鉄道に十分満足しており、「不便な空港」に出番がないことは「生まれたての赤ちゃん」でも分かる。毎年赤字を計上する「1900億円のハコモノ」は、静岡県の財政を圧迫し続けるだろう。

まとめ
・インフラが完璧に整備されている中で「不便な空港」を建設する愚行。
・初期投資が大きくなれば、それに比例して維持管理費も増える。
まずは利用者のことを考えた「魅力的な空港」を目指せ。共有の電源プラグ、バスを待つ人向けのテーブルやイスは必須。

形態空港
税金投入額1900億円
経営状況ライフサイクルコスト
(一生涯にかかる維持管理費)
3800億~5700億円
役立たず度(5段階)★★★★★ 5

外部サイトへのリンク
静岡空港 公式ホームページ

南アルプス完熟農園(山梨県)目次に戻る

 全国の地方自治体が積極的に取り入れている「6次産業化プロジェクト」。その概要は以下の通り。
生産者(1次産業)加工者(2次産業)+販売者(3次産業)=生産加工販売(6次産業)

 6次産業化プロジェクトで立ち上げた施設・第三セクターは、地域を代表する特産品等の生産、加工、販売(流通)をまとめて行い利益を上げる。成功すれば地域の活性化と再生、知名度向上による観光客の増加等に繋がる「夢のプロジェクト」だ。

 山梨県南アルプス市プロデュースの『南アルプス完熟農園』は、6次産業化を目指して作られた施設である。果物王国山梨の特産品を農園で生産し、それを商品(ジュースやジャム)に加工。現地で販売する計画だったが同施設は既に閉園し、現在立ち入りが禁止されている。なお、南アルプス市は地権者から土地を借りているため、荒れ果てた農園には毎年1000万円近い補助金が投入されている

ジョージ
南アルプス完熟農園は2015年6月に開園したものの、連日閑古鳥が鳴く状況が続き、半年後の2016年1月に閉園、運営の第三セクターちゃ破産した。ギネス記録級のスピード破産(閉園)を達成し、南アルプス市の知名度ちゃ一気に上がった。
珠代
運営管理者(元役人)は「まだまだやれる、赤字は1億円ちょっこしだ」と激しゅう反発した。けど、同施設の建設、運営費ちゃ全て税金で賄われとり、市長はこれ以上の赤字経営ちゃ無意味と判断、破産申請に至った。

 南アルプス完熟農園が達成した「スピード破産記録」は全国にとどろき、同市の知名度は爆発的に向上した。なお、他の自治体はこの事象を「対岸の火事」と考え、同じような失敗が全国各地で幾度となく繰り返されている。今のままでは第二の南アルプス市がいつ誕生してもおかしくない状況だ。同施設の経営が行き詰った要因は以下の通りである。
ハコモノを作れば人が集まり勝手に繁盛するという間違った考え、驕り
市場調査・営業活動への投資はゼロ。なお、ハコモノには8億円以上の税金を投入した
商品の売値が高いうえに魅力を感じない。そもそも、果物を使った加工品(ジュースやジャム)であれば、近所のスーパーやコンビニに行けば安価で購入できる。

 同施設は開業から4カ月後に運転資金が枯渇、市から5000万円の融資を受けている。これが民間企業であれば、施設の建設前に市場調査・営業活動を徹底的に行い、採算が取れないと分かった時点で計画自体を取りやめるだろう。また、事業を行う場合も初期投資を限界まで抑え、「資金不足」に陥らない対策をとる。南アルプス完熟農園は「伝説のハコモノ」として未来永劫語り継がれることになった。

まとめ
ハコモノを作れば人が集まる、という幻想を捨てろ!
・4カ月で資金が枯渇するなど論外。元役人に運営管理を任せたのが大きな間違い。
施設を作る前に市場調査・営業活動を徹底的に行うこと。採算が取れないと分かった時点で撤退し、新しい事業を考えればよい。

形態農園・第三セクター
税金投入額20億円以上
※負債額込み
経営状況ライフサイクルコスト
(一生涯にかかる維持管理費)
1000万円(単年)
※地権者への支払い
役立たず度(5段階)★★★★★ 5

外部サイトへのリンク
南アルプス市 公式ホームページ

あおなみ線延伸事業(愛知県)目次に戻る

 中部地方の空の玄関口「中部国際空港」は、名古屋市の南にある人工島に建設された巨大空港だ。施設の規模が大きいため、市街地の近くには建設できず、繁華街から離れた場所が選ばれた。なお、2018年度の利用者数は1200万人を超え、今年度も過去最高記録更新する勢いだ。

 ここで紹介する『あおなみ線延伸事業』は、中部国際空港へのアクセス路線を増やす目的で計画されている。なお、現時点ではまだ計画扱いであり、工事が実施されるかは分からない。仮に実現すれば、1000億円規模の大型公共工事になることが予想される

 現在、中部国際空港に乗り入れる鉄道は「名鉄常磐線」のみである。バスも運行されているが、空港利用者の大半は同路線を支持。収益は好調に推移し、利用者が多すぎる影響で車両編成を3両から4両に変更せざるを得なかったという。中部国際空港の利用者はさらに増えると予想されるため、愛知県は空港へのアクセス路線を増やしたいと考えた

トム
あおなみ線ちゃ名古屋市から金城ふ頭駅(中部国際空港の北)を結んどる。愛知県はこの路線を延伸し、空港に直結したいと考えた。けど、海底トンネルで空港に直結させると2000億円、名鉄常磐線の駅に接続させたとしても1000億円近い工事費が発生す。
シェリル
空港へのアクセスが増えれば、利用者ちゃ分散され、名鉄常磐線の売り上げは間違いのう落ちるやろう。けど、あおなみ線と名鉄常磐線ちゃ共に第三セクター運営。愛知県は、緊急時の「代替えルート」にもなるあおなみ線延伸を諦めとらんようや。

 あおなみ線を延伸させれば、空港へのアクセス手段が増えるため、利用者は間違いなく歓迎するだろう。しかし、投資額に見合った収益を上げれる保証はない。緊急時の「代替えルート」として延伸する価値は十分あるように思えるものの、工事実施前の詳細調査は必須だ。1000億円を投資するだけの価値が本当にあるのか、皆で慎重に議論しなければいけない。

 愛知県のポテンシャルを考えれば、あおなみ線延伸事業には大きな可能性を感じる。名古屋市には東海道宇新幹線も乗り入れており、陸と空のアクセスが良くなればさらに観光客を呼び込める可能性も高い。しかし、ここまで紹介してきた「ハコモノ公共事業」と同じく、ただ施設を新しく建設する「だけ」では税金を無駄にしかねない。役人は自分の仲間だけでなく、民間(ゼネコンを除く)の意見もしっかり聞き入れたうえで、あおなみ線延伸始業の可否を判断してほしい

まとめ
・空港へのアクセスを増やせば、利用者は喜ぶだろう。しかし、投資効果に見合った収益を得られない時は、再検討要
役人だけで実現可否を検討すれば、利益の有無に関係なく工事を進める可能性が高い

形態鉄道
税金投入額2000億円(海底トンネル)
1000億円(名鉄と接続)
経営状況ライフサイクルコスト
(一生涯にかかる維持管理費)
4000億~6000億円(海底トンネル)
2000億~3000億円(名鉄と接続)
役立たず度(5段階)★☆☆☆☆ 1

外部サイトへのリンク
あおなみ線 公式ホームページ