『kenta475699』です。
国民が収めた税金を無にした施設&企業を紹介します。個人的な主観で選んでいることをご理解下さい。
目次
・貴重な血税を投入して作られるハコモノ
・県民が必要としていないもの
〇血税を無にした施設&企業(九州編)
1.沖縄市多目的アリーナ施設(沖縄県)
2.鹿児島興業信用組合(鹿児島県)
3.切原ダム(宮崎県)
4.グリーンピア南阿蘇(熊本県)
5.佐賀空港(佐賀県)
6.大分香りの森博物館(大分県)
7.親和銀行(長崎県)
8.福岡市総合体育館(福岡県)
9.首里城(沖縄県)
10.県民交流センター(鹿児島県)
11.宮崎太陽銀行(宮崎県)
12.熊本城ホール(熊本県)
13.朧大橋(福岡県)
14.豊和銀行(大分県)
15.石木ダム(長崎県)
16.福岡市地下鉄七隈線(福岡県)
17.鹿児島県庁舎(鹿児島県)
18.川辺川ダム(熊本県)
19.九州新幹線西ルート(佐賀県)
20.沖縄振興予算(沖縄県)
まとめ
貴重な血税を投入して作られるハコモノ
私は高速道路の建設を否定しない。スーパー堤防、ダム、空港、一般道、体育館、そこに住む県民が必要とし確実に利用が見込まれるものであれば、税金(予算)の許す範囲で作るべきだと思う。公共事業・工事は地方自治体を維持していく上で必要不可欠だと断言出来る。
残念ながら、九州の各県で行われている公共事業・工事には、いらないものが多い。超高級アリーナに数百億円を投入するぐらいなら、ガタガタの道路を綺麗にすべきだ。しかし、”無駄なハコモノ”を作る悪しき習慣は無くならない。理由は分かり切っている。背後で巨大な利権が動く為だ。
超巨大アリーナを建設することで、数千人の建設関係業者が儲かると普通の人は思うだろう。道路やダムも同じだ。数千億円規模の工事にもなると、地方経済にもたらす影響は計り知れない。しかし、私たちのような末端の者が恩恵を受けることは決してない。地方自治体は”数千億円の経済効果が期待出来ます”と成果を強調するが、それなら地方経済はもっと良くならなければおかしいだろう。
税金を投入して作られる施設は、一部の人間だけが儲ける仕組みになっている。まずは工事を請け負う”ゼネコン”、そして工事を誘致した”役人”たちだ。”会社が設ければ従業員の給料も上がる”かもしれない。しかし、九州地方の基本給はここ10年で大して上がっていない。県民が納めた税金でゼネコンの役員や利権をむさぼる役人は大金をGETするのだ。
県民が必要としていないもの
県民が必要としていない施設に血税が大量に投入されると、最後に痛い目を見るのは私たちだ。地方自治体の年間予算はたかが知れている。それらをやりくりし、行政サービス、公共工事等を計画的に行わなければならない。しかし、役人たちは自分の成果と賄賂、繋がりのあるゼネコンを儲けさせるべく、悪魔のような働きを見せる。安月給で頑張る地方公務員の苦労も知らず、巨大公共事業を推し進めるのだ。
数百億円を無駄なハコモノに使うことで、自治体の予算は切迫する。足りない予算は、地方債等を発行して補う以外に手立てはない。”予算要求時点で公共事業費も見込んでいれば問題ない”と思いたくなるが、無駄なハコモノが税金で作られる事実は変わらないのだ。
税金を投入して作ったアリーナや体育館が収益を上げてくれれば全く問題ない。しかし、県民が必要としていない施設を使う人がいるだろうか。答えはNOだ。年間で100万円を売り上げても、巨大なハコモノの維持管理費、電気代、水道代、人件費等を差し引けば間違いなく赤字になるだろう。
無駄なハコモノは県民を苦しめ続ける。毎年赤字を垂れ流し、予算を確保出来ない自治体は、行政サービスの質を低下させざるを得ない。さらに赤字を補填すべく税金の徴収額がUPした時、我々はようやく大切なことに気づく。”なぜ無駄なものに税金を投入したのか”と・・・・
今回は大切な血税を無にした施設と企業を紹介する。本当に必要な公共事業が行われず、ゼネコンや役人を儲からせるだけのハコモノが、九州地方には数えきれないほどある。また、”公的資金”が注入された企業も同罪だ。なお、あくまで個人の主観で選んでいることをご理解頂きたい。税金が湯水のように注がれている事実を知れば、政治を見る目もきっと変わるだろう。
血税を無にした施設&企業(九州編)
沖縄市多目的アリーナ施設(沖縄県)(目次に戻る
沖縄県沖縄市に建設中の「(仮称)沖縄市多目的アリーナ施設」は、総建設費170億円をかけた一大プロジェクトである。1万人を収容できるアリーナは5階建ての構造となっており、県議会は”競技場兼コンサート会場”として運用すると正式に発表した。”コザ運動公園”内に建設されており、完成すれば県内最大の多目的ホールになるという。
ゴージャスな外観に、贅を尽くした内装。人を呼びたいという気持ちは分かるが、無駄に金をかけすぎている点は否めない。さらに総建設費を170億円と”算定”しているが、付帯設備工事の一部が含まれておらず、費用が膨らむことは目に見ている。また、県議会は”250億円以上の経済効果を期待出来る”というが、残念ながら根拠は示されておらず、アリーナが完成することで発生するマイナス面(他の施設の利用率が減る等々)は一切考慮されていない。
250億円の経済効果というが、担当者たちは自分たちに都合の良い面(観光客が昨年ベースで30%増えると思われる、特産品の売り上げが20パーセント増えると思われる等)を勝手に積算し、発表しているに過ぎない。経済効果額通りの収入が発生すれば、赤字に苦しむ自治体は日本から消え、県民の生活はどこまでも向上し続けるだろう。
(訳:170億円は大金ですよ。財源は限られているのに、少し無茶し過ぎじゃありませんか?)
(訳:大丈夫。私たちには沖縄振興予算があるじゃない。年度予算とは別に、3000億円以上が使い放題なのよ。)
アリーナ建設に反対する沖縄県民は少ないだろう。有名アーティストのライブや、プロスポーツの試合が開催されても困る人はほとんどいない。しかし、”そこを利用するか否か”は別の話である。役人たちは、ハコモノさえ完成すれば勝手に人が集まってくると思っているが、世の中そんなに甘くない。無駄に立派な施設のため、毎年数千万円の維持管理費がかかり、それを補填出来る売り上げ(成果)を上げなければならないのだ。
沖縄市多目的アリーナ施設は、集客に失敗すれば大赤字を計上し、成功すればある程度の利益を上げるだろう。しかし、建設されて間もない頃は人も集まるが、時間が経てば形勢は変化する。将来、改修費用等に多額の費用がかかることは間違いなく、10年後に黒字を達成出来ているかは分からない。何より問題なのは、”なくても良い施設”に170億円もの税金が突っ込まれることである。私たちの血税から捻出される”沖縄振興予算3000億円”が無駄にならないことを祈ろう。
総工事費:170億円以上
施設位置:沖縄県沖縄市諸見里
<特徴:沖縄振興予算、巨大アリーナ、無くても困らない>
ムダ度 ★★☆☆☆ 2 チャンスあり
利権度 ★★☆☆☆ 2 役人ウハウハ
外部サイトへのリンク
<沖縄市 公式ホームページ>
鹿児島興業信用組合(鹿児島県)(目次に戻る
鹿児島県鹿児島市に本社を置く「鹿児島興業信用組合」。県内の中小企業とその組合員たちの預金によって経営を成り立たせており、大手銀行のような資金力は当然ない。”相互扶助”の精神は全国の信用組合に共通しており、お世話になっている鹿児島県民も多いだろう。預金を預けている利用者、資金を借りている中小企業にとっては欠かせない存在だ。
2016年。金融庁は鹿児島興業信用組合に32億円の公的資金を投入した。中小企業を相手にする地方都市の信用組合は、不良債権(貸し倒れ)を抱える可能性が高く、苦しい経営を強いられていることが多い。零細企業に力を貸してくれる信用組合の存在は大きいが、貸したお金が返ってこなければ、資金繰りに困ることは目に見えている。
公的資金の投入理由は”資金の増強”と不良債権の補填が大半である。無駄なハコモノを建設するよりは”多少マシ”にも思えるが、信用組合と関りのない納税者には何のうま味もなく、ただ税金が無駄遣いされていることに変わりはない。私はコスト削減努力が足りないと思っている。鹿児島興業信用組合に務める友人が、”1mmも役に立たないベテラン社員が多すぎる”と嘆いていたからだ。
(訳:役に立たないは言い過ぎだよ。ベテラン社員は長い間頑張って働いてきたんだ。高給取りでも”養ってあげる”必要があるよ。)
(訳:仕事は全くせず、タバコを吸うだけの人に給料を支払うの?税金が投入されてるのに?そんなんだから社員の不祥事が頻発するんだよ。)
鹿児島興業信用組合では、不祥事が多発している。公的資金が投入された翌年、ベテラン社員が顧客の預金を500万円以上着服し懲戒解雇された。彼が役に立たないベテラン社員だったかは分からないが、コンプライアンスの欠片もない犯罪行為に手を染め、顧客と組織に迷惑をかけたことは事実だ。
銀行や信用組合は閉鎖的な経営・職場環境と言わざるを得ない。中小企業に”資金を貸してやっている”という上から目線と、”ピンチになったら国が助けてくれる”という慢心が積み重なり、役立たずのベテラン社員が育っているのだ。
1%の役立たずのせいで、99%の真面目な社員が苦労させられる現状を変えたい、と友人は言った。しかし、組織の体質が変わらなければ”悪の芽”は次から次に現れる。2019年には、個人や法人の納付書2万件を紛失したことが判明し、約700名の行員中144名が懲戒処分を受けた。信用組合は、県民や中小企業にとって”必要不可欠”な存在だが、公的資金が投入される前に組織の体質を見直さなければならない。
公的資金:32億円
本社位置:鹿児島県鹿児島市
<特徴:信用組合、公的資金、不祥事、組織の体質見直し要>
ムダ度 ★☆☆☆☆ 1 もっと頑張れ
利権度 ☆☆☆☆☆ 0 役人興味なし
外部サイトへのリンク
<鹿児島興業信用組合 公式ホームページ>
切原ダム(宮崎県)(目次に戻る
私はダムが好きだ。人間の技術と英知が詰まった巨大な構造物は、見ているだけでワクワクする。降水量が多く、過去に水害が多発した河川を守る為に作られ、さらに電気まで生み出してくれる。下流域に住む住民の”守り神”として祭られてもいいくらいだ。しかし、日本には役に立たないダムが多数存在する。宮崎県児湯郡川南町に建設された「切原ダム」は、血税を湯水のように使って作られた巨大ハコモノとして町民に愛されている。
切原ダムの水源”切原川”は水量が非常に少なく、ダムには適していない。さらに川南町とその周辺で水害が起こった実績は全くなく、住民は”なぜここに建設するのか?”と度肝を抜かれた。役人たちは”農地の水源になる”と考えていたようだが、そもそもこの地域は水に全く困っていない。完全に”意味不明”と言わざるを得ない状態だが、当時の農水省幹部は切原ダム建設を強行した。
切原ダムは山の奥深くに作られるため、地元住民の立ち退き等は必要なかった。残念ながら、議会と住民は建設に同意し、400億円以上の税金パワー注入が決定する。存在価値のないダムを作るべく、大手ゼネコンは企業共同体を組み動き出した。この時、地元住民の大半は”生活に影響が出る訳じゃない”と考えていたのだろう。ツケを支払うのは私たち納税者だと理解していれば、全く違う結果になっていたかもしれない。
(訳:ダムはもしもの時に下流域の人たちを守ってくれます。災害大国日本は、税金を投入して新しいダムを作るべきです。)
(訳:水害を防いでくれるダムは作るべき。でも、意味のない施設に400憶円もの税金を投入するのは間違ってる。維持管理費にも私たちの税金が使われるのよ。)
大金をGETしたゼネコン役人は現場で頑張る社員と下請をこき使い、川南町に巨大工事をもたらした役人たちは多額の賄賂でウハウハ。一部の人間だけが大儲けした切原ダムは無事工事竣工を迎え、圧倒的なコンクリート美を披露した。山奥に出来た巨大なハコモノは、何とか水源を確保し現在も何食わぬ顔で稼働している。ちなみに農水用として使われた実績はなく、地元住民はその存在自体を忘れつつあるようだ。
切原ダムの年間維持費が何千万かかるかは公表されていない。1兆円以上の借金を抱える宮崎県は、なぜ1mmも役に立っていない巨大なハコモノを建設したのだろうか。”100万年に1度の大水害に備えるため”と考えているのなら、一度病院に行くべきだ。税金が無駄にされ自治体の財政が圧迫された結果、県民に課される地方税は知らないうちに少しずつ引き上げられているぞ。
総工事費:400億円以上
施設位置:宮崎県児湯郡川南町
<特徴:意味不明、利権、立ち退きなし>
ムダ度 ★★★★☆ 4 致命傷
利権度 ★★★★☆ 4 役人ホクホク
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<切原ダム ダム便覧より>
グリーンピア南阿蘇(熊本県)(目次に戻る
国民の大切な税金(年金保険料)2000億円を投じて作られた保養施設”グリーンピア”。バブル景気に浮かされた田中角栄内閣は、全国各地に残念なハコモノを建設した。当時の役人たちは、自分の地位と金儲けの為に全国を奔走する。結果、13か所のグリーンピアとその関連施設が爆誕した。
「グリーンピア南阿蘇」は100憶円以上の税金を投入し、熊本県阿蘇郡南阿蘇村に建設された。施設の運営を任された役場は、残念ながら大切なことを理解していなかったようだ。ハコモノの維持管理・修繕・改良費は、その規模に比例して大きくなる。一生涯にかかる費用は”建設費の2~3倍”と言われるため、グリーンピア南阿蘇の場合は200~300億円かかる計算だ。
南阿蘇村が年間数百万人の観光客を受け入れていれば勝機はあるだろう。しかし、地方の小さな村を訪れる人の数などたかが知れている。観光客は利便性の良い市中心部にある民間のホテルを選んだ。結果、グリーンピア南阿蘇は赤字を垂れ流す残念なハコモノに成り下がる。しかし、経営破綻することはなかった。理由は地方自治体が管理しているからだ。
(訳:どれだけ赤字を垂れ流そうと、税金で補填すればOKですよ。地方自治体が管理している限り、公共施設が閉鎖されることはあり得ません。)
(訳:民間企業なら倒産する事態なのに、公共施設は税金を投入すれば何とかなる。熊本県民はおかしいと思わないのかしら。)
2005年。国はグリーンピアの廃止を閣議決定した。理由は全国に建設された13箇所全てが赤字を垂れ流していたからだ。無駄に豪勢なハコモノなど作らず、建設費を限界まで削っていれば結果は全く違ったかもしれない。しかし、南阿蘇村は100億円かけて作られた施設を諦めきれず、国から権利を引き継ぐことになった。現在、”運営”は民間企業”肉の大塚”に任せているが、赤字が出れば税金で補填されるシステムは変わっていない。
身の丈に合わない豪勢なハコモノは、地方自治体のアキレス腱になる。グリーンピア南阿蘇は税金を投入しリニューアルされた。ゴルフ場などの娯楽施設等も併設されており、多少は人が集まり始めているようだ。なお、運営を任されている肉の大塚は、”いわく付きの企業”として知られる。経営実態は一切公表されておらず、毎年数千万円の税金が、複雑なルートを介し”企業支援金”に形を変え支払われているようだ。
南阿蘇村最大の失敗は、国からグリーンピア南阿蘇を譲り受けたことだ。これまで赤字を垂れ流し続けてきた施設が、急に黒字を達成する確率は極めて低い。タダ同然でもいいので、今すぐ民間企業に売り払うべきだろう。悩んでいる間にも、税金はドンドン投入されていく。買い手が無ければ、いっそ解体して欲しいぐらいだ。
総工事費:100億円以上
施設位置:熊本県阿蘇郡南阿蘇村
<特徴:バブル景気、無駄に豪華、ハコモノ、肉の大塚>
ムダ度 ★★★☆☆ 3 大バカ者
利権度 ★★★☆☆ 3 役人ニコニコ
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<ホテルグリーンピア南阿蘇 ダム便覧より>
佐賀空港(佐賀県)(目次に戻る
1998年。「佐賀空港」は、県民と役人、議会の期待を一身に受け開港した。なお、建設計画が公表されたのは1969年のことである。計画立案から工事完了まで30年近くかかった超巨大プロジェクトには、250億円以上の税金が投入された。これだけ時間がかかったは理由は、有明海の漁業組合が反対運動を行った為だ。彼らは、佐賀県の中核を担う水産業が影響を受けることと、”役に立たない空港”などいらないと主張した。
残念ながら、正しいのは漁業組合だった。役人たちは金儲けのことしか考えておらず、佐賀県は空港を建設出来ると大喜びしたはずだ。しかし、彼らは一番大切なことを見誤っていた。空港も巨大なハコモニになり得るのだ。佐賀空港は開港以降、一度も黒字を達成したことがない。理由はハッキリしていた。佐賀県民や観光客の多くが”福岡空港”もしくは”長崎空港”を利用する為である。
役人や県議会は、利便性の良い場所に空港を作りたかった。しかし、市の中心部では用地交渉がまとまらず、予算も工面出来ない。泣く泣く有明海の一部を埋め立てる案に鞍替えするも、今度は漁業組合の激しい抵抗を受け交渉は難航。何とか工事竣工にはこぎつけたが、いざ開港するも利用者は一向に伸びない。佐賀県民の多くは福岡空港を利用し、観光客はそもそも佐賀県に大して興味を示さなかった。
(訳:空港も赤字を垂れ流すハコモノになり得るんですね 。勝手に人が集まってくると思ってましたよ。)
(訳:佐賀県は、人気観光地の福岡と長崎ほど知名度が高くないの。人が集まらなければ空港経営は成り立たないわ。)
開港から赤字を垂れ流し続ける佐賀空港に投入された税金は80億円を超える。建設費用を合わせると、目も当てられない金額だ。この状況を打破するには、長崎や福岡を超える有名観光地になり、人を集め空港を利用してもらう以外に手はない。佐賀県民は絶対に成功すると確信していた空港建設で外れくじを引いた。巨大なハコモノという負債を背負わされ、今も打開策を打ち出せずにいる。
地方都市の空港は、一歩間違えると抱えきれないほどの負債を生み出すハコモノになりかねない。建設工事を行っている時は、地元の下請業者や作業員にもお金が流れるだろう。しかし、”地方経済の起爆剤”と単純に考えるのは危険だ。工事が竣工すれば、役人とゼネコンは”クモの子を散らす”ようにその場から撤退する。運営を任された地方自治体は、利用者がいないことに驚き、ようやく夢から目を覚ますのだ。
佐賀空港は防衛省の要望を受け、陸上自衛隊が導入を予定している”オスプレイ”の離着陸を認めると発表した。しかし、漁業組合との交渉は現在も難航しているという。20年間で100億円の利用料(迷惑料)が支払われるため、佐賀県は是が非でも契約を勝ち取りたいと思っているだろう。
総工事費:250億円以上
施設位置:佐賀県佐賀市川副町
<特徴:有明海、ハコモノ空港、失敗事例、オスプレイ>
ムダ度 ★☆☆☆☆ 1 もっと頑張れ
利権度 ★★★★☆ 4 役人ホクホク
外部サイトへのリンク
<九州佐賀国際空港 公式ホームページ>
大分香りの森博物館(大分県)(目次に戻る
大分市とその周辺に広がる”大分県県民の森”には、様々な施設が設けられている。私は昨年キャンプ場を利用させてもらった。他にも湖やサイクリングロード、多目的広場などがあり、”県民の憩いの場”として多くの人々に愛されている。”公園も巨大なハコモノだ”と言う方もいるが、子供たちの成長や動植物の保護、数万世帯の家族に利用されていることを考えれば、年間数百万の維持費など取るに足りない。税金を納めている県民も100%納得する支出だろう。
大分県は県民の森であれば安定した集客が見込めると考え、「大分香りの森博物館」の建設を決めた。そして残念ながら、県民の多くはこの計画に反対しなかったようだ。利権に目の眩んだ役人たちは、県民の森が多くの人々に愛されていることを逆手に取った。反対意見はほとんど出されず、44億円もの税金が投入され、”匂いを放つハコモノ”はあっという間に完成した。
博物館が繁盛すれば、”無駄なハコモノ”というレッテルは貼られずに済む。しかし、県民は”香りを放つ展示品”に全く興味を示さなかった。開業当初は珍しいもの見たさで訪れる人もいたが、来場客は右肩下がりで減少。黒字を達成した年は一度もなく、毎年税金が投入され赤字を補填する始末だった。44億円あれば、キャンプ場の施設やサイクリングロードの舗装を改修出来る。子供たちが利用するアスレチックだけでなく、水飲み場やトイレも設置可能だ。樹木を選定すれば、森をより美しく保てるだろう。
(訳:役人は豪華なハコモノが好きなんですね。香りを放つ展示品なんて、センスが良いにも程がありますよ。)
(訳:44憶円で既存の施設を綺麗にすれば、県民も大喜びしたでしょう。ハコモノ好きの役人には理解出来ないかもね。)
数万人、数十万人が利用する森や公園の改修ではなく、無駄なハコモノに税金が投入される現実を多くの方に知ってほしい。未来を担う子供と納税者が使う施設に投資すれば、地方税が多少上がっても文句を言う人は少ないのだ。大分香りの森博物館は僅か10年足らずで閉鎖された。建設費の44億円だけでなく、10年間の維持管理・赤字補填で投入された数億円の税金は雲散霧消し、むなしさだけが残る結果となった。
大分香りの森美術館は、僅か2億円で学校法人に売却された。むしろ売れただけマシと考えるべきだろう。引き取り手が無ければ、役に立たない空っぽのハコモノを延々管理する羽目になったのだから。解体するだけでも数億円の費用がかかるため、大分県は肝を冷やしただろう。しかし、50億円近い税金を無駄遣いした罪はあまりに重い。
県民が”本当に必要としているもの”に税金を投入すれば、大半の人は納得してくれる。私たちも、自治体が発表する予算計画等にしっかり目を通しておくべきだと思う。意味不明なハコモノの建設計画があれば、自治体や議員に説明を求めるべきだ。誰かが行動を起こさなければ、これからも血税は湯水のように使われ続けるだろう。
総工事費:44億円
施設位置:大分県大分市他
<特徴:意味不明、無用なハコモノ、未来への投資>
ムダ度 ★☆☆☆☆ 1 もっと頑張れ
利権度 ★☆☆☆☆ 1 役人ウマウマ
外部サイトへのリンク
<大分県県民の森 公式ホームページ>
親和銀行(長崎県)(目次に戻る
「親和銀行」は長崎県佐世保市に本社を置いていた地方銀行である。紆余曲折を経て2002年に”九州銀行”と合併し、バブル崩壊を何とか生き延びた。この二行には合計300億円以上の公的資金が注入されているが、経営状態は全く改善されず悪化の一途を辿る。長崎県民と企業を支えてきた親和銀行は、いかにして没落への道を突き進んだのか。
1998年。長崎県民の度肝を抜く事案が発生する。親和銀行の頭取が”特別背任容疑”で逮捕されたのだ。女がらみのスキャンダルを隠蔽するために不正な融資を行員に指示し、70億円近い資金が悪人たちの手に流れた。この年、親和銀行は初めて赤字決算になり経営は一気に悪化。さらにバブル経済が弾けたことで、融資していた大量の資金は不良債権化し、虫の息状態にまで追いつめられる。
細かい説明は割愛するが、親和銀行は300億円の公的資金を注入された九州銀行を吸収する。資金力を増強させ、何とかバブル崩壊の荒波を乗り切ったのだ。なお、金融庁の統制下にあった親和銀行は、九州銀行の許可を得ずに”再編成(合併)”を受け入れており、生き馬の目を抜く”乗っ取り作戦”は、長崎の金融業界で今もなお語り継がれている。
(訳:銀行間の争いに興味はないです。しかし、ピンチになっても公的資金(税金)を投入してもらえるのは本当に羨ましいですね。)
(訳:公的資金の多くは無利子、無担保で注入されてるわ。あなたも高給取りの銀行員を目指したら?)
生まれ変わった親和銀行の資金繰りはなかなか改善されなかった。300億円の公的資金を投入された九州銀行を乗っ取っても、逮捕された”伝説の頭取”が浸透させた企業風土は改善されなかったのだろう。高給取りの社員たちは胡坐をかき、彼らを統括する役員たちはさらにズボラだったと言わざるを得ない。バブル崩壊後、死屍累々の修羅場と化した日本の中にあっても、親和銀行は最後まで”銀行らしさ”を貫き通したのだ。
2007年。親和銀行は福岡ファイナンシャルグループに買収され完全子会社になった。バブル崩壊と地方銀行再編の荒波を何とか生き延びた”九州親和HD”は消滅する。もちろん注入された300億円は全く返済されていない。なお、完全子会社化された”新親和銀行”は不祥事件を連発する。横領は日常茶飯事、顧客を騙し融資させるなど、フザケタ企業風土は一向に改善されていないようだ。
県民の生活を支えている地方銀行に公的資金を注入したくなる気持ちは理解出来る。もし倒産すれば、地方経済は深刻なダメージを受けるだろう。しかし、まずは銀行の企業風土を見直させる必要がある。特別背任で逮捕される頭取や不祥事件を起こす高給取りの行員がいる限り、事態が改善されることはあり得ない。貴重な血税が彼らの懐に入ることを考えると、頭が痛くなる。
公的資金:300億円
本社位置:長崎県佐世保市
<特徴:特別背任、横領、不正融資、乗っ取り>
ムダ度 ★★★★☆ 4 致命傷
利権度 ☆☆☆☆☆ 0 役人興味なし
外部サイトへのリンク
<親和銀行 公式ホームページ>
福岡市総合体育館(福岡県)(目次に戻る
福岡市東区に建設された「福岡市総合体育館」には、付帯工事等も含めると200億円以上の費用がかかっている。市内の拠点体育館が閉鎖されたことで建設されることになった巨大施設は、民間企業と維持管理契約を結んでおり、その名を”照葉積水ハウスアリーナ”と改めている。
この体育館はバスケットボールチームの活動拠点になっている。福岡市は”Bリーグ”の試合が行われることで採算が取れると考えたのだろう。なお、施設の”命名権”を売り、毎年7億円の収入が得られることが確定している。しかし、ハコモノがあまりに巨大なため、福岡市が毎年得られる金額はスズメの涙程度と考えて良い。施設の維持管理として支払われる委託費、光熱費、水道代などの支出は、折角得られた利益を削ってしまうのだ。
200億円もかけて豪華なハコモノを建設すること自体間違っている。小中学校にある体育館の建設費用は多く見ても5億円ほどだ。スポンサーを獲得したい気持ちは分かるが、Bリーグの試合を見に来る人は”ごく一部”の限られた人たちである。役人たちは”他の使い道もある”と言い訳がましくいうだろう。それでも”上物”だけに200億円はやりすぎだと言わざるを得ない。
(訳:豪華な体育館ほど利用者を呼び込めます。私なら500億円以上税金を投入して、もっと立派な施設を作りますよ。)
(訳:観客はハコモノじゃなく選手を見に来るのよ。費用を半分に抑えていれば、黒字を生み出す優良施設になれたかもしれないわ・・・)
自治体や企業を窮地に追い込むハコモノには共通点がある。ひとつ目は”初期費用”をかけ過ぎること。ふたつ目は”人が集まる”という自信過剰な考えだ。福岡市内には閉店に追い込まれた商業施設が山のようにある。第三セクターが流行った時代、役人たちは数千億円規模の税金を投入し巨大なハコモノをあちこみに建てた。豪華なショッピングモール、飲食店、ブランドショップさえあれば勝手に人が集まり金を落とすと考えたものの、結果は知っての通りである。
福岡市総合体育館がオープンしたのは2018年12月だ。施設はピカピカ、興味本位で訪れる人たちもいるだろう。しかし、5年後も同じ勢いを保っている保証は全くない。Bリーグが”NBA”並みの人気と資金力を獲得すれば形勢は一気に好転するが、可能性は限りなく低いだろう。時間が経てば改修費用に数十億円規模の費用もかかる。
建設費用を限界まで絞っていれば、福岡市総合体育館がハコモノと呼ばれることはなかった”かも”しれない。バスケットボールに興味のない福岡県民は、公立小中学校の体育館改修に200億円を投入してほしいと思っている。しかし、役人たちは利権の絡まない工事に興味を示さない。Bリーグから”マイケルジョーダン”を超えるスーパースターが出現することを願おう。
総工事費:200億円
施設位置:福岡県福岡市東区
<特徴:特別背任、横領、不正融資、乗っ取り>
ムダ度 ★★★☆☆ 3 大バカ者
利権度 ★★★★☆ 4 役人ホクホク
外部サイトへのリンク
<福岡市総合体育館 公式ホームページ>
首里城(沖縄県)(目次に戻る
第二次世界大戦中に焼失した琉球王朝の象徴「首里城」は、250億円もの税金を投入し1992年に再建された。2000年に開催された”沖縄サミット”では世界各国の首脳を招き入れ、同年世界遺産にも登録されている。しかし、2019年10月に発生した火災により、首里城は跡形もなく燃え尽きた。沖縄県民は嘆き悲しみ、他県の納税者たちは250億円もの税金がわずか数時間で焼失した事実を突きつけられた。
焼失した首里城を復元するには、300億円以上の費用がかかるという。県知事は必ず再建させると断言した。しかし、莫大な費用は誰が捻出するのか。残念ながら税金を使わざるを得ないだろう。民間の出資者が現れれば素晴らしいと思うが、現実的にあり得ない。”世界遺産の復元に反対するのか?”と怒り出す人もいるだろう。私は税金を使って再建することには反対だ。
私は首里城に税金を投入するなら、世界遺産の軍艦島や八幡製鐵所、原城や三重津海軍所も再建しろ、と言いたい。焼失したことは大変遺憾だが、安易に税金を投入するのは避けるべきだ。なぜ沖縄県だけ特別扱いする、と多くの日本国民が思っている。”価値があるから仕方ない”と言われても、税金を支払っているのは沖縄県民だけではない。
(訳:沖縄県民には米軍基地で迷惑をかけているから仕方ないですよ。沖縄振興予算を少し増やせばいいだけです。)
(訳:でも、歴史のある史跡や世界遺産を持っている自治体はどう思うかしら。300憶円あれば、原形をとどめていない伝説のお城でも復元出来るかもよ。)
首里城に恨みはないが、無駄に税金を投入する事態だけは避けてほしい。価値のある歴史的建造物だからという理由だけで300億円をかけるのは愚の骨頂と言わざるを得ない。世界には戦争や自然災害で姿を消した世界遺産級の施設が山ほどある。しかし、それらの大半は復元されず、”ありのままの姿”で保存されている。理由は、原型をとどめていなくとも、人々の記憶と歴史に刻まれ、語り継がれている為だ。
首里城は世界遺産として日本国民の心に深く刻まれている。小中学生は歴史の授業を通して、素晴らしい施設が沖縄県にあったことを知るだろう。姿形が無くなっても、人々の記憶や歴史から消えることはないのだ。なお、300億円かけて再建するとなれば、必ず裏で利権が絡む。役人はチャンスとばかりに群がり、沖縄振興予算の増額を狙う一部の議員は、アメリカ軍基地の移設を交渉材料に使うだろう。
首里城はハコモノではない。しかし、300億円もの税金を投入して再建するのは間違いだ。琉球王朝の歴史と記録は”施設”が無くても永遠に語り継がれる。再建にこだわる人たちは、貴重な税金が投入され、一部の者たちが利益を独占していることを知ってほしい。20回以上沖縄旅行を楽しんでいる者としては、首里城の姿を見れなくなったのは寂しい限りだ。安部内閣と県知事が冷静に判断することを願う。
総工事費:550億円以上
施設位置:沖縄県那覇市
<特徴:世界遺産、火災焼失、沖縄サミット>
ムダ度 ★★★☆☆ 3 大バカ者
利権度 ★★★☆☆ 3 役人ニコニコ
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<首里城公園 公式ホームページ>
県民交流センター(鹿児島県)(目次に戻る
鹿児島県鹿児島市に建設された「県民交流センター」は、バブル時代を彷彿とさせる壮大な建築美を誇っている。建設を許可した当時の県知事は、頭のネジが外れていたと言わざるを得ない。なお豪勢・華美・意味不明なハコモノには350億円もの税金が投入されている。”鹿児島・ガチで・頭悪い”と言われても一切反論出来ない。ここでは”役人ホクホク&賄賂ウマウマ公共施設”として全国に”鹿児島の恥部”を紹介したい。
県民交流センターは、旧県庁跡地に建設された。巨大な多目的ホールが複数、イベントなどを開催出来る展示場や会議室、研修室などを有しており、6階建ての施設はさながら”複合商業施設”の様相を呈している。必要と思われるものを全部詰め込んだ結果、建設費は想定をはるかに超える額に膨れ上がった。しかし、税金パワーで乗り切ると覚悟を決めていた県庁と議会は、ノンストップで工事を強行する。
建設計画が公表された時点で反対運動が起こっていれば、結果は変わっていたかもしれない。しかし、用地交渉を行う必要もなく、工事は予定の工期を完璧に守り、遅滞なく竣工を迎えた。ゼネコン役員と賄賂をGETした役人は、完成した”巨大なハコモノ”を見てほくそ笑んだはずだ。役に立たない施設でも、建設した企業は莫大な利益を上げる。しかし、汗だくになって働いた元請の従業員、下請けの現場作業員たちはいつもと変わらぬ給料を受け取るだけだった。
(訳:建設した企業は、莫大な利益を上げたんですね。従業員の給料も跳ね上がりますよ。)
(訳:鹿児島県の賃金水準は全国でも最低レベルなの。利益は全て役員給与と内部留保に回される。従業員に還元されることはないわ。
県民交流センターの凄いところは、”上物(施設)”だけに350億円もの費用がかけられていることだ。土地代はゼロ、用地交渉等も全く行われていない。そして2003年。県知事と役人、ゼネコンの力を総動員して作られたハコモノは、鹿児島の恥部として一般開放された。なお、施設利用料はそこまで高くなく、その気になれば音楽祭やイベントなども行えるだろう。
利用者のいないハコモノほど無駄なものはない。私は2回ほどイベントで利用させてもらったが、広大過ぎる1階エントランスが無人だった時は不安になった。”会場を間違えた”と勘違いし、焦って電話したのは良い思い出だ。しかし、県民文化センターの惨状は決して良いものではない。また、ハコモノにかかる”一生涯の維持管理費”は、建設費の2~3倍が相場である。
人の集まらない施設に350億円もの税金を投入し、さらに700億~1000億円のローンを組まされ、鹿児島県の財政は逼迫した。”建て逃げ”したゼネコンと役人は、”県知事に指示されただけ”と言い逃れすれば痛くもかゆくもないはずだ。しかし、税金を食い潰す不良債権をつかまされた県民はたまったものではない。なお、鹿児島の恥部は今日もひっそり稼働し続けている。
総工事費:350億円以上
施設位置:鹿児島県鹿児島市
<特徴:鹿児島の恥部、意味不明、THEハコモノ>
ムダ度 ★★★★★ 5 恥さらし
利権度 ★★★★★ 5 THE役人
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<県民交流センター 公式ホームページ>
宮崎太陽銀行(宮崎県)(目次に戻る
1兆円以上の借金を抱える宮崎県は、バブル時代の無謀なハコモノ建設、伝説の第三セクター”シーガイア”などの亡霊に今も苦しめられている。サーフィンの聖地として観光客を集めてはいるが、沖縄や福岡に比べると存在感は圧倒的に低く、自治体は限られた予算で行政サービスを提供し、民間企業の多くも苦しい経営環境に置かれている。
主に中小企業と取引している「宮崎太陽銀行」は、県民にとって無くてはならない存在である。県内最大手ではないが、第2銀行としてのポジションを確立しており、宮崎経済を支えている縁の下の力持ちと言ってもいいだろう。しかし、バブル崩壊のあおりを受け中小企業の業績は悪化。宮崎太陽銀行も大量の不良債権を抱えることになり、経営状況は下降線をたどった。
2010年。金融庁は当行に130億円の公的資金を注入を決める。この時注目されたのが過去の不祥事件だった。宮崎太陽銀行は全国報道される規模の不祥事を何度も起こしていた。35名の顧客から預かった3.3億円を着服した行員が逮捕された事案は、銀行のゆがんだ企業風土を映し出す鏡のように思えてならない。100万円単位の横領事件が数えきれないほど発生しており、宮崎に住む私の友人は”犯罪者養成所”と揶揄していた。
(訳:銀行員はエリート集団の集まりですよね?給料も良いはずなのに、何で顧客のお金を横領するのかな?)
(訳:銀行は出世競争が激しいのよ。戦いに敗れたエリートたちは、皆が思っているほど裕福な生活は送っていないの。)
公的資金が注入された翌年の2011年。今度は職責権限を悪用した行員が1000万円以上を横領し刑事告訴されている。さすがにこれだけ不祥事件が頻発すると納税者も黙っていない。公的資金として注入された130億円の一部が、犯罪者の給料に当てられていたのだ。この事案は全国ネットで取り上げられた。世間からバッシングを受けた宮崎太陽銀行は、不祥事件防止対策を立案する。
この対策を見た時、銀行が一般企業とはかけ離れた業界であることを認識させられた。不祥事件対策として考えられた”チェック表”には、爪の長さ、口紅の色、行内での挨拶、ネクタイの色、座っている時に足を組まない、といった項目が記載されている。”服装の乱れは心の乱れ”と言いたい気持ちは理解出来る。なお、このチェック表が運用され始めたのは2003年の”3.3億円着服事件”以降であり、効果は全くなかったと言わざるを得ない。
地方銀行を助けるべく注入される公的資金は、県民や中小企業を守る為にも必要だと思う。しかし、まずは銀行本体の経営体質、企業風土を見直さなければならない。”お小遣い”を与えても、無駄に浪費されては意味がないのだ。前述のチェック表が現在も使われているかは分からないが、不祥事件は2011年以降も発生し続けている。公的資金に”助けられた”という考えが行員に浸透しない限り、同じような不祥事はこれからも続くだろう。
公的資金:130億円
本社位置:宮崎県宮崎市
<特徴:3.3億円事件、横領、チェック表、企業風土>
ムダ度 ★★★★☆ 4 致命傷
利権度 ☆☆☆☆☆ 0 役人興味なし
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<宮崎太陽銀行 公式ホームページ>
熊本城ホール(熊本県)(目次に戻る
熊本市中央区桜町に建設中の「熊本城ホール」は、2019年12月にいよいよグランドオープンする。県内全域に甚大な被害をもたらした”熊本地震”の復興を祈念し作られるとあって、県民の注目度も否応なしに高い。2000人以上を収容できる出来るメインホールでは、こけら落としイベントとして有名アーティストのコンサートも行われる予定だ。多目的ホールやイベントホール、20以上の会議室を備えたフロアもあり、県知事や議会は”熊本経済の起爆剤”になると豪語している。
熊本城ホールには450億円以上の税金が投入された。建設費から算出される”一生涯(開業~解体)の維持管理費”は1000億円を超えるため、気合を入れて観光客や県民を誘致しなければいけないだろう。メインホールが満席になるようなライブイベント、音楽祭などを毎週開催し、イベント会場も常に予約が一杯の状態を維持出来れば、熊本城ホールの未来は明るい。
県知事と議会は、地震で被害を受けた地域・住民の生活が全て元に戻ったと勘違いしているようだ。住宅等に被害を受けた住民には補助金などが支払われている。しかし、経済的に苦しくなった方が大半だと思う。私が熊本県民なら、熊本城ホールに450億円もの税金を投じるのではなく、”国民健康保険料”を引き下げ、行政サービスを充実させ、改修の進まない道路や鉄道に予算を使ってほしいと考える。
(訳:熊本城がガンガン利益を上げてくれれば大丈夫ですよ。県の財政が潤えば、県民も元の生活を取り戻せます。)
(訳:まずは苦しい生活を余儀なくされている被災者から救済するべきよ。公共施設の新設は、皆が元の生活を取り戻してからでも遅くないわ。)
熊本城ホールの利用料は決して安くない。小会議室などは半日5,000円ほどで利用出来るものの、メインホールやイベントホールは付帯設備等も含めると、単日で50万~100万円近くかかると思っていい。一般の方が安易に借りれる設備ではないため、開館以降の稼働率に注目したい。しかし、一つだけ確かなことがある。
熊本県民は、450億円をかけて巨大ホールを作ることなど望んでいない。皆が納めた税金は皆の為に使うべきと考えるはずだ。民間企業が地域再生の為に頑張って建設するのであれば、皆大喜びするだろう。残念ながら、熊本城ホールが利益を生み出すとはどうしても考えられない。超有名アーティストがライブを開きメインホールが満席になっても、熊本県が受けてる利用料は数百万円だ。年間の維持管理費は少なく見積もっても2~3億円はかかる。黒字を達成するのは至難の業だろう。
2019年12月にグランドオープンする熊本城ホールは、県民の期待を背負っている。連日超満員、超有名アーティストのライブが10年以上絶え間なく開催されれば、県知事とゼネコン関係者、工事を融通した役人たちは胸を撫で下ろすだろう。しかし利用客が伸びなければ、450億円を無駄遣いした”役立たずのハコモノ”と揶揄される。結果を楽しみに待ちたい。
総工事費:450億円以上
施設位置:熊本県熊本市中央区桜町
<特徴:450億円、熊本地震、復興半ば、税金の使い道>
ムダ度 ★★☆☆☆ 2 チャンスあり
利権度 ★★★★☆ 4 役人ホクホク
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<熊本城ホール 公式ホームページ>
朧大橋(福岡県)(目次に戻る
公共工事は、国民の安全・安心・安定した生活を守る為に行われている。アスファルト舗装が痛めば修繕し、交通量の緩和を狙い道路が新設される。皆が使うインフラ設備は、利用者がいるのであればしっかり整備すべきだ。しかし、公共工事に悪いイメージを持つ方も多い。税金を無駄遣いするな、道路を綺麗にする意味が分からない、もっとやるべきことがあるといった理由が大半だろう。
私はその地域に住む人々が必要とする公共工事なら、ガンガン行うべきだと思う。意味不明な体育館や娯楽施設に税金を投入するのではなく、住民が毎日利用するボロボロの道路を改修し、少しでも生活環境を良くしてほしい。しかし、あくまで”利用者がいる”ことが前提だ。誰も立ち入らない山の中に片側4車線の立派な道路を整備しろとは言わない。利用者のいない公共施設ほど”無駄なハコモノ”はないからだ。
福岡県八女(やめ)市にある「朧(おぼろ)大橋」は、美しい構造とデザインが特徴のアーチ橋である。しかし、市民生活の向上と周辺地域を結ぶべく誕生したものの、1日の通行量は200台に満たない。なぜ福岡県は利用者の少ない場所に立派な橋を建設したのだろうか。ちなみに、朧大橋の総工事費は50億円ほどである。
(訳:地元民は朧大橋のことを誠橋と呼んでいます。某国会議員の”古〇誠氏”が建設に尽力してくれたらしいですよ。地元のゼネコンは頭が上がらないようです。)
(訳:地元のゼネコンが潤えば、地域経済に良い影響を与えるのよ。役人は賄賂をGETし、地元民は綺麗な橋を通行できる。素晴らしいことだわ。)
利用者のいない道路や橋が建設されても、地元民は全く嬉しくない。朧大橋が建設された理由は明々白々である。役人たちは、地元の経済を活性化させる見返りを狙っている。田舎町で50億円規模の公共工事が行われれば、小さなゼネコンやその下請会社は大喜びするだろう。現場で必死に汗を流す作業員も、新しい仕事が入ったとガッツポーズを決めるはずだ。
正しい場所で正しく行われる公共工事はドンドン進めてほしい。しかし、1日の通行料が200台未満の地域に巨大な橋を架けるのは大きな間違いだ。田舎町で公共工事が行われても、儲けるのは役人とゼネコンの役員だけである。作業員の給料に儲けが反映されていないことは、九州地方の労働単価と平均賃金を見れば一目瞭然だ。
必要とされていない道路や橋を建設しても、税金が無駄になり、悲しみと怒りしか生み出さない。自治体の経営は圧迫され、地方税率が引き上げられれば目も当てられないだろう。朧大橋のような役立たずの公共設備が誕生すると、住民の生活は少しずつ困窮していく。なお、一度架かった橋を取り壊すには数十億円の費用がかかる。間違った公共工事で得をするのは役人とゼネコン、損をするのは自治体と住民だ。作ってから後悔しても遅い。
総工事費:50億円
施設位置:福岡県八女市
<特徴:通行料、公共工事、アーチ橋、意味不明>
ムダ度 ★★★☆☆ 3 大バカ者
利権度 ★★★★★ 5 THE役人
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<八女市 公式ホームページ>
豊和銀行(大分県)(目次に戻る
大分県大分市に本社を置く「豊和銀行」は、主に中小零細企業への貸し付けで利益を上げている。特に建設業への貸付比率が高く、県民の生活に欠かせない”縁の下の力持ち”的役割を担っている。しかし2006年。バブル崩壊の後遺症に苦しむ零細企業はバタバタと倒産。豊和銀行も大量の不良債権を抱えることになる。結果、単年決算は150億円以上の赤字を記録した。
金融庁から是正措置命令を受けた豊和銀行は、出資企業からの力を借り不良債権処理に奔走する。また、過去の企業体質を改めるべく、旧執行役員等を相手に訴訟を起こし20億円以上の損害賠償を求めた。また、過去に不正な水増し融資を行った旧役員を刑事告訴している。それらの努力が功を奏し、経営状況は少しずつ改善した。
豊和銀行でも他行と同じような不祥事が頻発している。顧客の預金を1000万円以上着服した元行員は、定年退職まで何食わぬ顔で仕事を行っていた。また、不正な水増し融資を指示した旧役員は前述の通り刑事告訴されている。報道機関に取り上げられている事案が他にも数件あり、住居侵入容疑で逮捕される者まで出る始末だった。そして一番悲しい気持ちになった不祥事件が、担当行員による”浮貸し”である。
(訳:浮貸しとは、銀行員が自分自身でお金を準備し、取引先に貸し付けることです。)
(訳:取引先が苦しんでいる姿に心を痛めた行員は、貯金を切り崩してでも彼らを助けたいと考えるの。出資法違反だと分かっていてもね。)
行員個人が取引先に資金を貸し付ける浮貸しは、立派な出資法違反行為である。銀行の信用を落とすだけでなく、お金を巡るトラブル(脅迫や暴行)に発展しかねない。不祥事を起こした行員は、間違いなく懲戒解雇される。しかし、自分の大切な貯金を切り崩してでも取引先を助けたいと思う気持ちは理解出来なくもない。私は銀行の経営体質・企業風土が浮貸しを助長してると考える。
顧客の資金を着服する者。不正な融資に手を染める幹部や頭取。エリート意識が高く、部下を人間と思っていない管理職。下働きの行員は身を削ってでも成果を上げねばならず、苦しい状況に追いやられた挙句、違法だと分かっている浮貸しを行う・・・豊和銀行の経営状況は再び悪化する。そして2014年。金融庁は公的資金160億円の注入を決めた。
豊和銀行では、公的資金注入以降も不祥事件が立て続けに発生している。経営体質と企業風土が改善されない限り、同じような事象はこれからも発生し続けるだろう。しかし、行員は役員や管理職に不満を持っており、それを実現するのは途方もなく大変なことだ。残念ながら、豊和銀行の経営状況は一向に改善されておらず、再び公的資金が投入される日も近いと思われる。税金頼りの銀行になれば、いずれ痛い目を見るだろう。
公的資金:160億円
本社位置:大分県大分市
<特徴:浮貸し、着服、企業風土、改善の見込みなし>
ムダ度 ★★★☆☆ 3 大バカ者
利権度 ☆☆☆☆☆ 0 役人興味なし
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<豊和銀行 公式ホームページ>
石木ダム(長崎県)(目次に戻る
長崎県東彼杵郡川棚町の山中に建設を予定している「石木ダム」は、計画承認から40年以上経つものの、本体工事着工には未だ至っていない。理由は用地取得交渉が難航している為だ。確かに自分の住んでいた地域・土地がダムの底に沈むのは辛い。しかし、洪水を防ぐ効果があり、生活用水確保に役立つのであれば、建設計画に同意してもいいと思ってしまう。
石木ダムに水を供給する予定の”石木川”は、長崎県内を流れる”川棚川”の支流にあたる。なお、当ダムが完成すれば、水の使用量増加が見込まれる佐世保市への給水能力が向上するとのこと。また、川棚川は水量増加による”氾濫”を起こしたことがあり、それを防ぐ役割も担えるという。総工事費は500億円を超えるが、水害による甚大な被害を防げるのであれば、石木ダムは作る価値があるように思えた。しかし・・・
川幅の狭い石木川は、仮に流量が最高点を超えたとしても、川棚川の水量に与える影響は10%程度でしかない。石木ダムはなぜこの小さな水源を利用したいのか。理由は他の用地がなく、40年以上前に採用された工事計画を見直したくない為だ。ダム建設に適した土地を探し、測量、地質調査、工事計画調査、用地取得交渉を終えるまでにかかる期間は、少なく見ても5年以上かかる。承認された工事計画の見直しは自殺行為といっても過言ではない。
(訳:石木川の流量をダムで調整しても、川棚川の洪水は防げないことが分かっています。佐世保市の水源確保についても、人口減少と水道機器等の性能向上で水の使用量はこれから減る一方です。)
(訳:知ってるわよ。でも計画を見直すのはメンドクサイでしょ。地元の優良な議員に便宜も図れるし、ゼネコンも儲かる。立ち退いてもらう住人には、3階建ての高級住宅を無償で提供するわ。)
残念ながら、40年以上前に立案された計画は見直されるべきだろう。佐世保市の水源確保については理解出来なくもない。2007年以前は頻繁に節水の呼びかけが行われていた実績もある。しかしそれ以降は、水道局の努力と各家庭に設置されている機器類(トイレ、給水装置)の機能向上、人口減少等により水の使用量は右肩下がりである。結果、ここ10年以上節水の呼びかけは行われていない。
最大の問題は、石木ダムを作っても川棚川の氾濫を防ぐ効果は低いことだ。石木川の流量をコントロールしても、川棚川に流れ込む水の90%は別の支流からもたらされる。効果がゼロという訳ではないものの、500億円以上の税金を投じて作る価値はない、と言わざるを得ない。治水事業に金がかかることは理解出来る。しかし、40年以上前に採用された欠陥だらけの案を貫き通しても、巨大なハコモノ(負債)を背負わされるだけだ。
石木ダムの工事凍結を阻止したい国会議員、ゼネコン、地元の有力者たちは、あの手この手を使って地権者の買収を画策するだろう。反対運動を行っている住民が高額補償に屈した時、長崎県民は佐世保市の水源確保と川棚川の氾濫防止に”ほんの少し役に立つ”ハコモノを背負わされる。私は、この計画に500億円もの税金を投入する価値があるとは到底思えない。”新石木ダム”計画が立案され、正しい手順で調査工事が進むことを願う。
総工事費:500億円以上
施設位置:長崎県東彼