マイクロ波に危険性はない。ただし・・・

マイクロ波放射に危険性はない。ただし、プラスチック(専用プラであればOK)の投入はやめた方がよい。つまり、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで購入した食品をチン!する時は、電子レンジで加熱してもよい食器に移す(盛り付ける)べきだ。

電子レンジは台所および料理の主役、と言っても過言ではない。冷蔵庫も食品を保存するうえで欠かせない電化製品だが、あくまで保存係、脇役、大目に見て”主役の盛り立て役”と言ったところだろう。

なぜ電子レンジは台所および料理の主役に躍り出ることができたのか?料理が苦手な男子もしくは女子なら、その理由を一瞬で理解できるはず。

調理済みの食材を電子レンジに投入し、ボタンを一押しするだけで、シェフ顔負けの料理が完成する。20世紀初頭の人々にこの電化製品を使ってもらったとしよう。恐らく誰もが、「奇跡」「魔術」「悪魔の箱」などと叫び、半狂乱状態に陥ったのち、ホカホカに温まった料理を食べて大満足するだろう。

電子レンジは料理が苦手なキレイめ女子を助け、彼女たちの華麗なライフスタイルをサポートしてきた、と言っても言い過ぎではない、と思う。

しかし、電子レンジでチン!した食材は、マイクロ波を全身に浴び、加熱されている。身体に害はない、と言い切れるのだろうか。

世界保健機関(WHO)は、電子レンジのマイクロ波は”正しく”使用すれば身体に影響を及ぼすことはない、と述べている。ただし、プラスチックを加熱した際に発生する有害物質のことや、食品の栄養損失などについては、ほとんど触れていない。

電子レンジに関連する研究は、世界各地で何百回、何千回と行われてきた。

一例を挙げると、マイクロ波はブロッコリーのフラボノイド(抗炎症効果のある植物性化合物)を97%除去することが分かっている。フラボノイドを除去したくない場合は、熱湯でさっと茹でた方が良いのである。

2019年、あるチームが「電子レンジがブロッコリーに及ぼす栄養損失」という興味深い研究を行っている。チームは電子レンジを駆使し、調理時間、温度、水につけた状態など、様々な条件下でブロッコリーをチン!、栄養含有量を調べた。

結果、栄養素を失いたくなければ、電子レンジで1分チン!することがベスト、という結論に達した。さらに、先述のフラボノイド(心臓リスクを低減させる素晴らしい栄養素)においては、1分チン!することで、含有量が増加することも判明したという。電子レンジ恐るべしである。

なお、水もしくはお湯につけた状態でチン!すると、フラボノイドは水の中に溶け出してしまい、失われる。ブロッコリーにマイクロ波を照射する場合は、1分以下がベストのようだ。

アメリカ農務省のベルツビル人間栄養研究センターで主任研究員を務めるクシャンリ・ウー博士は、マイクロ波がフラボノイドの”数値”を上昇させたことは事実と述べた。ただし、含有量を増やしたのではなく、加熱されたことで繊維が柔らかくなり、フラボノイドを測定しやすくなった結果、含有量が増えたように見えるとのこと。

では、電子レンジで加熱された野菜は、皆、スペックを向上させるのだろうか?

答えはまだ出ていない。ウー氏によると、食物ごとに繊維の量や栄養成分などは大きく異なり、ブロッコリーと同じ効果を発揮できるか否かは野菜ごとに調査しなければ分からないという。

電子レンジが素晴らしいな調理方法のひとつであることは間違いない。しかし、何でもかんでもチン!すれば良い、というわけでもないようだ。

スポンサーリンク

プラスチックは?

別の研究チームは、3種の調理方法、「茹でる」「蒸す」「チン!」で野菜をそれぞれ調理。ポリフェノール類(抗酸化作用が強い、生活習慣予防に効果的)がどのように変化するか調査した。

結果、パティパンカボチャ、えんどう豆、ネギは、蒸し料理と電子レンジでポリフェノールが減少。ほうれん草、ピーマン、ブロッコリー、インゲン豆は変化しないことが分かった。

その他の野菜については、茹でるより電子レンジの方が素晴らしい結果を出した。まとめると、「電子レンジの圧勝」である。

プラスチックの過熱についてはどうか?

私は、プラスチック製の容器に入った食品を、そのまま電子レンジでチン!したくなる。理由は食器に移し替えるのがメンドクサイためだ。しかし、一部の科学者は、プラスチックの加熱に伴い発生する添加物、「フタル酸エステル」と食品を一緒に摂取する可能性がある、と警告している。

ワシントン州立大学で食品工学教授を務めるジャミング・タング氏はBBCの取材に対し、「一部のプラスチックは電子レンジ用に設計されていない。それにマイクロ波を当てると、本体内部に含まれる様々な成分が溶けだし、食品を汚染する可能性がある」と述べた。

フタル酸エステル類はプラスチック容器に使われている可塑剤(かそざい)のひとつ。容器をより柔軟にする目的で添加され、お持ち帰り用容器、食品用ラップ、ペットボトルなどに使われており、言うまでもなく、摂取することは望ましくない。

フタル酸エステルは、ホルモンおよび代謝システムを破壊する。また、子供の場合は血圧とインスリン抵抗性を高める可能性があり、糖尿病や高血圧などのリスクを高めてしまう。また、生殖機能の低下、喘息、ADHD(多動性症候群)との関連も指摘されている。

ビスフェノール(BPA)もプラスチック製品に使用されている危険物質のひとつ、研究により、ホルモンを破壊する可能性が指摘されている。ただし、フタル酸エステル類ほど研究は行われておらず、分からないことも多い。

フタル酸エステル類は様々な製品(おもちゃ、プラモデル、ボディローションなど)に使われている。そして、人間の身体にダメージを与える摂取量はまだ分かっていない。ひとつハッキリしていることは、プラスチック製品を加熱すると暴露のリスクが高まる、ということだ。

プラスチックから溶け出す危険物質を摂取しない方法はふたつ。まずはメンドクサがらず、専用食器に食材を移し替える。また、「電子レンジで加熱OK」と書かれている商品についても同様、移し替えた方が無難だろう。そしてもうひとつは、チン!せず食べるである。しかし、不味くて我慢できないという場合は、専用食器を準備しよう。

最初に述べた通り、マイクロ波放射は無害である。マイクロ波は電球やラジオで使用されている低周波電磁放射を使用しており、人間の身体に害を与えることはない。

まれに、「放射性物質が含まれている」「電子レンジは原子爆弾と同じ」などといった誤情報を流す方がおられる。台所の主役に対して、この言い草はあまりにひどい。

電子レンジの「」が生き物に害を与えることは確かである。しかし、X線とは異なり、マイクロ波は電離放射線を使用しない。すなわち、電子を原子から引き離すのに十分なエネルギーを有しておらず、害になり得ないのだ。

最後に、電子レンジで卵を加熱してはいけない。生卵は論外、カラを剥いたゆで卵もダメだ。

ソーセージも内部の肉が過熱されることで皮の中に蒸気がたまり、大爆発(?)を起こす。ただし、皮に切れ目や穴を開ければOK

液体を加熱する際も注意が必要である。加熱すると、液体温度が沸点を超え、まれに突沸(とっぷつ)と呼ばれる爆発現象を引き起こす可能性がある。

スポンサーリンク