◎最大の都市ニューサウスウェールズ(NSW)州の洪水の影響で約18,000人が避難を余儀なくされている。
◎22日午後の時点で死者の報告はなし。
2021年3月22日/オーストラリア、ニューサウスウェールズ州の海岸沿いの町(ロイター通信)

オーストラリア放送協会(ABC)によると、最大の都市ニューサウスウェールズ(NSW)州の洪水の影響で約18,000人が避難を余儀なくされたという。

先日から続いている豪雨の影響で川の水位は急激に上昇し、同州の海岸沿いの町とシドニーの道路は水没した。

AUS当局は3月22日の声明で、「50年に1度の雨」が1週間ほど続く可能性があると市民に注意を促した。

当局によると、NSW州の約18,000人が避難し、今後の雨量によっては最大54,000人に避難指示を出す可能性があるという。

スコット・モリソン首相は議会に、「NSW州北部の35のコミュニティが孤立し、救急隊による救助活動は700回を超えた」と報告した。

「死者の報告は受けていません。しかし、建物、道路、施設は深刻な被害を受け、今後さらに雨量が増えると停電や断水が発生する可能性もあります」

NSW州のグラディス・ベレジクリアン州首相は声明で、22日午後の時点で死者の報告は受けておらず、「災害の規模を考えると死者が出なかったのは不幸中の幸い」と述べた。

「州の38の地域に自然災害緊急事態を宣言しました。洪水被害の深刻なエリアの多くは、昨年の夏に山火事と干ばつの影響を受けた地域です

「避難者にはコロナウイルス対策の徹底を呼びかけています。NSW州は挑戦の1年を送ることになりそうです」

当局によると、救急隊は22日時点で少なくとも750人の市民を救助したという。水に行く手を阻まれた家族はヘリコプターで救助されている。また、シドニー西部の救急隊は乳幼児のいる家族を無事保護した。

オーストラリア気象局によると、降雨量はかつて経験したことのないレベルに達しており、一部の地域では降り始めからの総雨量が900mmを超えたという。

河川の増水はNSW州のほぼ全域に影響を与え、州の中北部海岸沿いの約15,000人、シドニーの約3,000人が避難を余儀なくされた。

当局によると、州内の約150の学校が臨時休校したという。なお、一部の学校はオンライン授業に移行したと伝えられている。

低地に生息する野生動物や家畜も洪水に巻き込まれ、ソーシャルメディアには動物の死骸を確認したという投稿が複数寄せられた。

シドニーの北西部を流れるホークスベリー川とネピアン川の水位は、1961年の洪水時より高いレベルに達している。AUS気象局は、「ホークスベリー川の水位は22日遅くにピークに達する可能性がある」と警告し、身の危険を感じた場合は避難指示が出る前に行動を開始するよう促した。

シドニーの主要な水源のひとつ、ワラガンバダムは5年ぶりに洪水調整を行っている。

シドニーの北約17kmに位置するニューキャッスル空港は滑走路が水没し、22日のフライトを断念した。

NSW州の北、クイーンズランド州南東部のブリスベンとゴールドコーストでは21日の大雨で鉄砲水が発生し、周辺の道路や建物が影響を受けたと伝えられている。州当局は、23日にかけて雨量はさらに増加する可能性があると注意を促した。

NSW州のベレジクリアン州首相は先日の記者会見の中で、市民に天候と政府の指示をよく確認するよう警告している。

「今経験している雨は、過去50年間誰も経験してことのない規模に達しています。政府の指示に従い、落ち着いて行動してください。今後さらに雨量が増加した場合、ワラガンバダムの放水で河川の水位により深刻な影響が出る可能性もあります...」

シドニー西部郊外のジャミソンタウンで40年以上生活してきたエレン・ブラビン氏はABCの取材に対し、「これほど深刻な洪水は経験したことがない」と述べた。

「私はこの町に来てから一度も大雨で避難したことはありません。しかし、今回は違うかもしれません。まさか道路が水没するとは思いませんでした」

気象局によると、東部の雨は23日以降も降り続き、24日と25日は嵐になる可能性があるという。

2021年3月22日/オーストラリア、ニューサウスウェールズ州シドニー西部郊外のジャミソンタウンにある公園(AP通信/マーク・ベイカー)
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