◎世界保健機関(WHO)の武漢調査の責任者を務めるピーター・ベン・エンバレク氏は、今回の調査で新しい情報が明らかになったが、起源の特定には至らなかったと述べた。
2月9日、世界保健機関(WHO)の武漢調査の責任者を務めるピーター・ベン・エンバレク氏は、コロナウイルスが中国湖北省武漢市の研究所から世界に広がったという考えを否定した。
エンバレク氏は記者団に対し、「武漢の研究所からウイルスが漏洩する確率は非常に低い」と説明し、コロナの起源を特定する作業をさらに続ける必要があると語った。
この日、中国とWHOの共同調査は終了した。
湖北省武漢市はコロナウイルスを世界で最初に「検出」した場所である。それ以来、コロナの感染者数は1億人を超え、230万人以上が亡くなった。
エンバレク氏は今回の調査で新しい情報が明らかになったが、起源の特定には至らなかったと述べた。
WHOの専門家チームは、コロナは動物から人間に感染した可能性が高いと信じているが、証拠は見つかっていない。
エンバレク氏はコウモリの集まる場所がコロナの起源を特定する鍵になると述べた。なお、武漢市にコウモリの集まる場所はないと考えられている。
ピーター・ベン・エンバレク氏:
「動物の調査は進行中。私たちは中間種から人間に感染した可能性が最も高いと考えている」
「武漢市で公式の感染者を最初に確認したのは2019年12月。今回の調査で、それ以前にコロナウイルスが武漢市で流行していたという兆候は見つからなかった」
共同チームの中国代表、中国保健委員会の梁万年 教授は、「コロナは他の地域から武漢市に入った可能性がある」と述べた。
その後、共同チームは冷凍食品の輸送における「コールドチェーン感染」の可能性を指摘し、中国当局に調査を継続するよう求めた。
WHOの任務は共産党指導部との数カ月に渡る交渉の末に実現した。なお、中国当局は武漢入りした専門家の行動を綿密に監視している。
湖北省の武漢ウイルス研究所からコロナウイルスが拡散したという噂は、アメリカのトランプ前大統領が昨年春に世界に広めた。
2020年4月、米国務省は、「中国の米大使館職員が武漢ウイルス研究所のバイオセキュリティに懸念を示している」と述べた。
その後、米国家情報長官のスポークスマンは、次の3つの可能性について調査していると述べた。
1.コロナは遺伝子組み換えされている。
2.動物から人間に感染した。
3.武漢ウイルス研究所で事故が発生し、漏洩した。
「コロナの起源は武漢市」という噂の証拠は見つかっていない。