◎ロシアの野党指導者、アレクセイ・ナワルニー氏は8月20日に神経ガス「ノヴィチョク」を投与された。
◎ナワルニー氏と事件の調査を行った報道機関は、「プーチン大統領の命令でロシア連邦保安庁(FSB)の工作員がノヴィチョクを投与した」と主張。
12月16日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、アレクセイ・ナワルニー氏毒殺未遂事件に関するメディアの報道を一掃した。
ウラジーミル・プーチン大統領の独裁政治を非難する野党指導者のナワルニー氏は、ロシア産の神経ガス「ノヴィチョク」を投与されたが、ドイツの病院で治療を受け九死に一生を得た。
ラブロフ外相は記者団に対し、「ロシアを告発したい西側の嫌がらせには慣れている」と語った。
セルゲイ・ラブロフ外相:
「このニュースを読むのはとても面白い。西側のパートナーたちは倫理的規範と外交活動のスキルを著しく欠いている」
ナワルニー氏は8月20日にロシアの航空機内で倒れ、ドイツの病院に搬送された。
ドイツ、フランス、スウェーデンの研究所および化学兵器禁止機関(CWC)による調査の結果、ナワルニー氏に投与されたのはソビエト時代に開発された神経ガス、ノヴィチョクであることが判明した。
その後、ナワルニー氏、野党勢力、ドイツなどはロシアによる犯行と繰り返し非難してきたが、当局は主張を却下している。
12月14日、ベリングキャット、インサイダー、CNN、デア・シュピーゲルは事件に関する報告書を公開した。それによると、「ロシアの工作員はナワルニー氏を監視し、事件当日、同氏の近くにいた」という。
ナワルニー氏は報告書の公開に合わせてブログを更新した。
アレクセイ・ナワルニー氏:
「首謀者は以前に述べた通り。関係者の協力により、プーチンの命令でロシア連邦保安庁(FSB)の工作員が動き、私に対するテロ攻撃を仕掛けたと証明された」
FSBとプーチン大統領はこの事件についてコメントしていない。
ラブロフ外相はナワルニー氏の事件に関する西側の告発について、「彼らはロシアの迅速な調査に協力せず、ナワルニー氏をドイツ国内に留め置いた」と非難した。
セルゲイ・ラブロフ外相:
「まともな知能を持っている人間は、西側の主張が誤りだらけだとすぐに気づく」
ロシア産の猛毒、ノヴィチョクについて
・ソビエト連邦秘密プログラムで開発された神経ガス兵器。
・2018年、イギリス、ソールズベリーで元ロシアの二重エージェント、セルゲイ・シュクリバル氏を毒殺(未遂)する際に使用された。
・ノヴィチョクはロシア語で「新しい男の子」を意味する。
・バイナリー兵器(二種混合型化学兵器)の一種。
・パイナリー兵器は「VXガス」や「サリン」などの一般的な神経ガスとは異なり、アクティブ化するために2つの物質を組み合わせる。
・ロシアの科学者、ヴィル・ミルザヤノフ氏によると、ノヴィチョクは「フォリアント」と呼ばれるプログラムで開発されたという。
・威力はVXガスの5倍~8倍。(米スティムソン・センター)