2020年11月6日→2021年5月7日に延期
コロナウイルスの猛威にさらされるアメリカの映画市場は危機的な状況に直面しており、大作映画(ブロックバスター)の公開延期が続々と決まっている。
・北米映画市場は驚異的な縮小から抜け出せず
ウォルト・ディズニーは、スカーレット・ヨハンソン主演の映画「ブラック・ウィドウ(原題(black widow)」の公開日を2020年11月6日から2021年5月7日に再延期すると発表した。
今年公開される大作映画のトップに名を連ねていた同作は、2020年5月の公開を予定していた。しかし、コロナの影響で映画館がロックダウンされ、公開日を11月に延期。そして今回、再延期が決まった。
ディズニー社は、ブラック・ウィドウと関連する他のマーベル映画やスティーブン・スピルバーグ監督の「ウエスト・サイド物語(原題:West Side Story)」などの延期も合わせて発表した。
9月23日、同社の大作映画、計10本はリリース日を大きく変更。2020年秋の収益を諦め、今年の年末と来年に照準を合わせた。
ただし、ディズニー社は秋の映画商戦から完全撤退したわけではない。ピクサー・アニメーション・スタジオの「ソウルフル・ワールド(原題:Soul)」は予定通り11月下旬から公開される予定である。
また、20世紀フォックスのホラー、「エンプティ・マン(The Empty Man)」の公開日は12月から10月23日に前倒しされた。
アガサ・クリスティの人気推理小説、ケネス・ブラナーが名探偵ポアロを演じる「ナイルに死す(原題:Death on the Nile)」は、10月から12月18日に変更。ウェスト・サイド物語は2020年末から2021年12月に延期されることが正式に決まった。
ディズニー社の大作公開延期の決断は、2020年の映画市場に大きな影響を与えるだろう。
ワーナー・ブラザーズ製作、約2億ドルをかけたクリストファー・ノーラン監督の「テネット(原題:TENET)」は、ロックダウンの影響から抜け出せない映画館で公開され、厳しい興収に直面している。
同作が製作費とプロ―モーション費用などを回収し黒字を達成するためには、最低5億ドル以上の興収が必要と考えられている。なお、コロナウイルス発生以前であればこの目標は軽々と達成できたと思われるが、現在、同作の世界興行収入は最低ラインの約半分、約2.5億ドルをようやく突破したところである。
ワーナー・ブラザーズはテネットと同じ事態になることを恐れ、「ワンダーウーマン1984(原題:Wonder Woman 1984)」の公開日を10月からクリスマスに延期させた。
ユニバーサルピクチャーズの大作ホラー映画、「キャンディマン(原題:Candyman)」も2021年への延期が決まっている。
ブラック・ウィドウのストーリーは、これから公開される他のマーベル・シネマティック・ユニバース作品と連動しており、ドミノ効果を生み出した。
カナダの俳優、シム・リウが主演する「シャン・チー(原題:Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings)」は2021年5月7から同年7月9日に。そして、アンジェリーナ・ジェリーなどが出演する「エターナルズ(原題:Eternals)」は2021年2月から11月5日への延期が決まった。
エターナルズに出演するクメイル・ナンジアニはツイッターにコメントを投稿、「ディズニーは社会的責任を果たした。延期は正しい判断である」と述べた。
クメイル・ナンジアニ:
「健康と安全以上に大切なものはない。今、映画館が100%安全だと断言できる人はいないはず。パンデミックが落ち着くまで、私は皆に映画を勧めようとは思わない」
Eternals delayed to Nov 5, 2021. Marvel made the right & responsible decision. There’s a pandemic. Nothing is more important than health & lives. I can’t tell ppl to go to a movie theater until I feel safe going to one.
— Kumail Nanjiani (@kumailn) September 23, 2020
Take care of yourselves. I promise it’ll be worth the wait!
ベン・アフレックとアナ・デ・アルマスが出演する「水の墓碑銘(原題:DeepWater)」の公開も、2020年11月から翌年8月の”ストリーミング配信”に変更された。
なお、ディズニー社はDisney +関連作品の動向を発表していない。
同社の「ムーラン(原題:Mulan)」「ハミルトン(原題:Hamilton)」「アルテミスと妖精の身代金(原題:Artemis Fowl)」は、いずれもストリーミング配信に移行。ムーランは一部地域で劇場公開されると同時に、Disney +での配信が始まった。
ムーランの製作費は約2億ドル。中国での興行が芳しくないため、これを回収することは難しいと噂されている。
・映画ムーランが壊滅的なボイコットコールに直面している理由
【2020年公開予定の作品(抜粋)】
作品名 | 公開予定日 |
エンプティ・マン (原題:The Empty Man) | 10月23日 |
ソウルフル・ワールド (原題:Soul) | 11月20日 |
フリー・ガイ (原題:Free Guy) | 12月11日 |
ナイルに死す (原題:Death on the Nile) | 12月18日 |
ワンダーウーマン1984 (原題:Wonder Woman 1984) | 12月25日 |
【2021年公開予定の作品(抜粋)】
作品名 | 公開予定日 |
Everybody’s Talking About Jamie | 1月22日 |
キングスマン: ファースト・エージェント (原題:The King’s Man) | 2月12日 |
ラヤと最後のドラゴン (原題:Raya and the Last Dragon) | 3月12日 |
Bob’s Burgers | 4月9日 |
Ron’s Gone Wrong | 4月23日 |
ブラック・ウィドウ (原題(black widow) | 5月7日 |
Cruella | 5月28日 |
ルカ (原題:Luca) | 6月18日 |
シャン・チー (原題:Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings) | 7月9日 |
ジャングル・クルーズ (原題:Jungle Cruise) | 7月30日 |
水の墓碑銘 (原題:DeepWater) | 8月13日 |
The Beatles: Get Back | 8月27日 |
ザ・ラスト・デュエル (原題:The Last Duel) | 10月15日 |
エターナルズ (原題:Eternals) | 11月5日 |
ウエスト・サイド物語 (原題:West Side Story) | 12月10日 |