◎28日夜の抗議デモだけで警察官170人が負傷し、少なくとも180人が逮捕された。
2023年6月29日/フランス、首都パリ、17歳の少年が警察官に射殺された事件に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)

フランス全土で17歳の運転手が警察官に射殺された事件に抗議するデモが行われ、一部で暴動に発展した。現地メディアが29日に報じた。

レンタカーで首都パリ郊外のナンテールを走行していたナエル・Mさんは27日、停止命令を無視し、警察官に射殺された。

警察によると、28日夜の抗議デモだけで警察官170人が負傷し、少なくとも180人が逮捕されたという。

フランス24は関係者の話しとして、「少年を射殺した警察官は殺人罪で起訴される見通し」と報じた。

この殺人事件に対する怒りは全国に拡大。少年の母親がデモの中心に立ち、警察の武力行使に抗議した。

リールとマルセイユでは暴動に関与していないデモ参加者も逮捕されたと伝えられている。

少年が殺害されたナンテールでは中心部にあるビルが炎に包まれた。

ソーシャルメディアで共有された動画には道路に撒き散らされたゴミの山が燃える様子や、警察官に石を投げつける暴徒の姿が映っていた。

パリ市はさらなる暴動に備え、29日の現地時間21時にバスと路面電車の運行を停止。一部地域に夜間外出禁止令を発出した。

リールやトゥールも交通機関の運行を停止している。

27日と28日の夜にいくつかの都市で暴動が発生し、多くの建物や車が被害を受けた。警察は騒乱に対処するため、全土に警察官約4万人を緊急配備した。

ダルマナン(Gerald Darmanin)内相は29日、「前日の暴動で警察官170人が負傷し、デモ参加者少なくとも180人が逮捕された」と明らかにした。

正義を求めるナンテールのデモ行進も暴動に発展し、警察官が負傷した。報道によると、このデモには6000人以上が参加したという。

ボルヌ(Élisabeth Borne)首相は記者団に対し、「17歳の少年が亡くなったことに対する怒りは理解できるが、暴動は容認できない」と語った。

17歳の死は仏警察の過剰な武力行使を非難する団体や活動家の怒りを煽り、議論を呼び起こした。

ある活動家はフェイスブックにこう投稿している。「フランスには警察官を保護する司法制度があり、それが不処罰の文化を生み出している。彼らは暴力団のように振る舞い、非武装の市民に銃を向ける...」

ナヘルさんの母親はRTLラジオのインタビューで、「国家警察と司法制度を非難しているのではなく、息子を死に至らしめた警察官を非難しているのだ」と語った。

ナヘルさんを射殺した警察官は「自分の命が危ないと思ったので発砲した」と証言しているようだ。

警察官の弁護士はRTLラジオの取材に対し、「彼は法律を遵守し、必要な手順を踏んだ後、銃を発砲した」と語った。

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