◎西側諸国はロシア産原油の取引価格に上限を設け、サウジや他の湾岸諸国に増産を呼びかけている。
サウジアラビアをはじめとする主要産油国は2日、5月から年末にかけて原油生産量をさらに日量115万バレル削減すると発表した。
このサプライズ減産はウクライナに戦争を仕掛けているロシアの原油収益を後押しし、世界規模のインフレと燃料の小売価格高騰に拍車をかける可能性がある。
西側諸国はロシア産原油の取引価格に上限を設け、サウジや他の湾岸諸国に増産を呼びかけている。
サウジの国営メディアはエネルギー省の声明を引用し、「日量50万バレルの減産はOPECおよびOPECプラス加盟国の一部と協調して行われる」と報じたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
OPECプラスは昨年10月、200万バレルの大幅減産に踏み切り、米政府を激怒させた。
同省は声明の中で、5月以降の減産を「石油市場の安定を目的とする予防的措置」と説明している。
イラクは日量21万1000バレル、アラブ首長国連邦(UAE)は14万4000バレル、クウェートは12万8000バレル、カザフは7万8000バレル、アルジェリアは4万8000バレル、オマーンは4万バレル減産すると発表。各国の国営メディアが伝えている。
一方、ロシア国営タス通信は2日、首相府報道官の話として「50万バレルの自主減産を年末まで延長する」と報じた。ロシアは西側がロシア産原油に価格上限を設定してことに対抗し、2月に減産を開始していた。
今回減産を決めた国はいずれもOPECプラスの加盟国である。OPECは今のところ声明を出していない。
バイデン(Joe Biden)米大統領は昨年10月の日量200万バレル減産を批判し、「結果が伴う」と警告。民主党員はサウジとの協力関係を見直すよう求めていた。
サウジは政治的な理由で減産に踏み切ったという西側の批判を否定し、健全な市場価格を維持するための措置と主張している。
原油価格は下落傾向にあり、先週末の北海ブレント原油先物は1バレル80ドル前後で取引され、昨年10月の95ドルから10%以上下落している。