◎レバノンは近代史上最悪と呼ばれる経済危機の真っただ中にある。
2023年1月25日/レバノン、首都ベイルートで行われた抗議デモ、レバノン・ポンド紙幣を持つ男性(Hassan Ammar/AP通信)

レバノンの検察当局は23日、中央銀行のサラメ(Riad Salameh)元総裁とその弟および関係者を横領罪などで在宅起訴したと発表した。

フランス、ドイツ、ルクセンブルグの司法代表団は先月、首都ベイルートを訪れ、サラメ氏の資金洗浄(マネーロンダリング)疑惑に関連する取り調べを行っていた。スイスとリヒテンシュタイン当局も疑惑を捜査している。

レバノンは近代史上最悪と呼ばれる経済危機の真っただ中にある。通貨は紙くずになり、市民はインフレに直面。人口の4分の3以上が極度の貧困に陥っている。

市民は国を統治するイスラム過激派組織ヒズボラの数十年に渡る「不作為」が壊滅的な危機を招いたと非難している。

サラメ氏はかつて、レバノンの財政安定の守護神と称されていたが、今では持続不可能な債務を積み重ね、レバノン・ポンドの暴落を招いた張本人のひとりとして非難を浴びている。

サラメ氏の弟は政治家の後ろ盾を得て、ベイルートの知事などを務めてきた。

AP通信は関係者の話を引用し、「検察はサラメ氏、その助手、弟の3人を公金横領、マネーロンダリング、税法違反などの罪で在宅起訴した」と報じている。

APによると、この起訴で欧州司法代表団によるサラメ氏の捜査が遅れる可能性があるという。

この発表の直前、在レバノン・ドイツ大使館の代表団がベイルートの検察庁を訪問した。APによると、代表団は主任検察官との面会を希望したが、スケジュールの都合で実現しなかったという。

それ以上の詳細は明らかにされておらず、検察が3人を在宅起訴したことと、欧州司法代表団の捜査の関連も不明だ。

欧州当局はサラメ氏が中銀総裁時代に富を蓄えたと疑っているが、同氏は米金融大手バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチで銀行員として働いた時代にそれを得たと主張している。

サラメ氏の銀行員時代の最後の年収は約200万ドル。同氏の資産2300万ドルは中銀総裁就任前の「賢明な投資」で得たものらしい。

2022年8月23日/レバノン、首都ベイルート、2年前に爆発事故を起こした穀物サイロ(Hussein Malla/AP通信)
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