◎イランの経済はクルド人女性のアミニさんが治安部隊に殴り殺された事件に抗議する全国デモの影響でさらに低迷すると予想されている。
テヘランの投資家は全国各地で抗議デモが続いていることと、イラン核合意の再開が全く見通せことに不安を示し、イラン・リアルを売り飛ばした。
取引所によると、1日の終値は1ドル=33万8000リアル。10月31日の33万2000リアルを更新し、最安値を付けた。
イラン核合意が締結された2015年7月は1ドル=3万2000リアルで取引されていた。
イランの経済はクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんが治安部隊に殴り殺された事件に抗議する全国デモの影響でさらに低迷すると予想されている。
アミニさんは9月13日、テヘランを訪問中にヒジャブ(スカーフ)を適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。
デモはイランから世界に拡散し、イラン指導部にかつてない圧力をかけている。
デモは当初、イランで着用を義務づけられているヒジャブに焦点を当てていたが、現在は1979年のイスラム革命以来国を統治する最高指導者とその他の聖職者への挑戦に変容した。
ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)などによると、治安部隊は反対意見を封じ込めるために実弾を使用し、少なくとも270人を殺害、約1万4000人を逮捕した。
しかし、デモ隊は厳しい取り締まりに屈することなく抗議を続けている。専門家は「経済の低迷、高失業率、インフレ、汚職がデモ隊を街頭に駆り立てている」と指摘している。
イラン核合意は数カ月前に交渉が停滞して以来、崩壊に向かっているようにみえる。
合意再開を目指す米国とEUはデモ隊に対する弾圧とロシア軍に自爆ドローン数百機を供与したことを受け、イランに追加制裁を科した。
米国はロシアへのドローン供与を停止するようイランに求めているが、駐イラン特使は先週、米国の圧力を非難した。
トランプ政権は2018年にイラン核合意から離脱し、イランの外国資産を凍結したうえで、イランの原油、天然ガス、石油化学製品などに対する投資を禁止した。これにより、イランの経済は著しく悪化した。