◎IMFは融資の条件として公費の削減など求めている。
2021年9月28日/チュニジア、首都チュニス、サイード大統領の統治に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)

チュニジアの労働組内UGTT(チュニジア一般労働組合)は23日、国際通貨基金(IMF)が同国の政府に提示した融資条件を拒否した。

IMFは融資の条件として公費の削減など求めている。

UGTTの事務局長は記者団に対し、「チュニジア人は低賃金、失業、貧困に苦しめられており、IMFの提案は到底受け入れられない」と語った。

チュニジア訪問を終えたIMF中東・中央アジア事務局は22日の声明で、改革の実施を条件として、「チュニジアに対する援助プログラム交渉を今後数週間のうちに開始する用意がある」と発表していた。「ウクライナ戦争がもたらした経済危機は、野心的な改革の必要性を高めています...」

同事務局はチュニジア政府に以下の改革を求めている。
▽税の公平性を高める。
▽公務員賃金を抑える。
▽多くの国民に提供している補助金を最貧層限定とする。
▽社会的セーフティーネット(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障する制度)を強化する。
▽国営企業を改革する。

同事務局は、「現政権が主導する改革プログラムは、より信頼性が高く、一般の支持を集めやすいため、過去の改革より成功する可能性が高い」という見方を示している。

しかし、UGTTは昨年7月のクーデターで議会を抑え、己の権限を強化したサイード(Kais Saied)大統領とIMFが協議すること自体間違っていると異議を唱えた。

サイード氏は政府のコロナ対策と経済政策の失敗を非難し、当時の首相を解任したうえで議会を一時的に停止し、自分の権限を強化した。野党や活動家はこの強権的なやり方をクーデターと非難し、各地で抗議デモを続けている。

サイード氏は今年3月に議会を解体し、汚職やその他の犯罪を理由に全国の裁判官57人を解任した。憲法改正の是非を問う国民投票は7月25日に、議会選は12月に行われる予定。

サイード氏は21日、IMF代表団を迎えるにあたり、IMFに対し、「融資と引き換えに要求する改革案はチュニジア国民に配慮したものでなければならない」と述べた。

2022年3月20日/チュニジア、首都チュニス、カイス・サイード大統領の統治に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)
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