◎農業大国であり牛肉と大豆の世界最大の輸出国であるブラジルは投機的な土地開発を加速させている。
ブラジルの宇宙機関は8日、2022年第1四半期のアマゾンの森林伐採面積が過去最高を更新したと明らかにした。
国立宇宙研究所の森林破壊検出システム(DETER)によると、1月から3月の間に伐採された熱帯雨林の面積は941㎢(東京23区の1.5倍)に達したという。
ジャイール・ボルソナロ大統領は2019年の就任以来、アマゾン開発に力を注ぎ、熱帯雨林を伐採し、カリなどの天然資源採掘を推進してきた。
環境保護団体は雨季にあたるこの時期の記録更新に懸念を表明した。1月から3月のアマゾン伐採は雨の影響で少なくなる傾向にあり、先住民族も木々をほとんど燃やさない。
環境保護団体と先住民族はボルソナロ大統領が推進するアマゾン開発を後押しする法案に強く反対しており、各地で抗議デモを行っている。
議会下院は現在、憲法で保護されている先住民族の土地でのカリ鉱山、石油探査、水力発電ダム開発を認める複数の法案の審議をワーキンググループの調査が完了するまで止めている。
この法案は採掘や探査に必要な事前の環境調査などを簡略化し、農作物の栽培に欠かせないカリや除草剤の使用許可範囲・種類も合わせて拡大する。
ロイター通信によると、大統領府と環境省はDETERが公表したデータの質問に応じなかったという。なお、今年1月と2月の合計伐採面積も過去最高を更新し、環境活動家の不安をあおっていた。
農業大国であり牛肉と大豆の世界最大の輸出国であるブラジルは投機的な土地開発を加速させている。
ミナス・ジェライス大学の環境管理学教授であるラジャオ氏はアルジャジーラのインタビューの中で、アマゾンの現状を「悲惨」と表現した。「この時期の伐採面積が過去最高であれば、第2四半期以降はさらに記録を更新する可能性が高いでしょう」
ラジャオ教授は森林破壊などがもたらす地球規模の気候変動について、「人間の生活圏から遠く離れているアマゾンにも相当の影響を与えている」と指摘した。「人間が生活していないエリアの森林も乾燥し、枯れ、山火事が発生しやすくなっています...」
国連気候変動委員会は今週、各国政府の温室効果ガスを削減する取り組みは明らかに不足していると警告した。
取り組み不足の主な要因は化石燃料の使用だが、森林破壊も世界の温室効果ガス排出量の約10%を占めているため、見逃すことはできない。
グリーンピースのブラジル森林キャンペーンを担当しているマゼッティ氏は8日、ソーシャルメディアに「ブラジルは必要な対策を取っていない国のひとつ」と投稿し、ボルソナロ政権を批判した。「気候変動に興味を示さない政府がいる限り、地球温暖化は止まりません」